更衣室でいつものトレーニング用の服に着替えて受付のところに来ました。
既に同年齢ウマ娘がいて軽く走り込みをしているようです。
みんな凄いやる気に満ち溢れてるなぁ、中央トレセンで走れること自体光栄な事だしこんなもんなのかな?
恐らくだけどここでもし負けてもいい走りをすればスカウトされる可能性もありそうだし。
あ、やばい。私も身体暖めないと。
受付の所に行くとグレーに近い鹿毛をボブカットにして左耳に黄金のリボンと黄金のチェーンをしたウマ娘が一人一人対応してました。
「やぁ、君もレース出走者かな?」
「あ、はい!」
「ここの自分の名前にチェックマークを入れてくれるかい?」
自分の名前にチェックを入れて出すと何か気づいたようで少し驚いていた。
「ほう、君があのたわけの妹か」
「た、たわけ?」
「あぁ、すまない。よく生徒会室に来て会長の仕事の邪魔をするのでな」
あぁ、間違いない。姉さんだ・・・
「・・・姉がご迷惑をかけてすみません」
「いや、君が悪いわけじゃない。気にしないでくれ。あぁ私はエアグルーヴだ」
女帝さんだ。
「トウカイレイナです、確か生徒会の副会長でしたね」
「ほう、よく覚えているな」
さっきマヤちゃんから教えてもらいました!
「あぁ済まない。あんまり話すと他のウマ娘に不平等だからな、頑張ってくれ」
「ありがとうございます」
ゼッケンを貰ってレース場に出て大きく深呼吸する。
あぁ、あの時いつも走ってたトレーニング場の匂いだぁ、懐かしい・・・
貰ったタオルとスポーツドリンクを近くのベンチにおき邪魔にならないように髪を縛る。
(よし、これでよし)
屈伸、軽い伸脚などして筋肉をほぐしたあと軽く走る。
(左回りの1400、短距離とマイルのちょうど中間ぐらいか。今の私たちにはこれぐらいが十分なのかな)
「よし!あとは軽く走りますか!」
「あ、あのすみません!」
「ん?」
後ろを振り向くと私と同じゼッケンを着たウマ娘がいた。
「あの、トウカイテイオーさんですか!?」
「あー、すみません。トウカイではあるんですけど、テイオーじゃないですね。」
「え?」
「トウカイレイナです」
ヘアゴムを外していつもの髪型に戻す。
「ごめんなさい、似てて紛らわしいですよね」
「えっと同じトウカイってことは親族?」
「トウカイテイオーは姉です。」
それを聞いた周りのウマ娘達が耳をすぐさまこちらに傾け始めました。
見えてるからね君たち!
「あ、あのトウカイテイオーさんにサイン頼めたりは・・・」
あぁまたか。
姉さんが皐月賞を取ったあたりから小学校でも似たようなこと頼まれて親しい友達ぐらいだったら良かったんですけど全く違う学年の知らない人とか先生から頼まれ始めて大変だったんですよ()
「すみません、そう言うの受け出すと止まらないので全部断ってるんです。さっき姉さんいたので後で捕まえてもらえると幸いです。」
「そうですか・・・そうですよね、すみません。」
両耳を曲げてしっぽも明らかしょんぼりしちゃいました。
「サインぐらい頼んであげればいいじゃん可哀想に」
ボソボソと聞こえてきます、ほんとにこれが嫌です()
もうこんな所にいられるか!私は自分の家にかえらせてもらう!
と思ったけどなんか既にお母さんとお父さん既に来てるんですけど・・・
飴舐めた男の人と話してるし逃げ道はないんですか・・・
ないですかソウデスカ。
お父さんカメラ回す気でいるし初めての運動会じゃないんだからやめてくれないかなぁ・・・まぁ後で走り方見直しに丁度いいか。
[開会式を始めるのでレースに参加するウマ娘は並んでください]
遂にこの世界で初めての公式?レースだ!
遂にレイナの初めてのレースだ!
ワクワクしながらレース場の観戦席に行くと既にパパとママがいた。
「パパとママ速いね?ラインで話してたのさっきなのに」
「あらテイオー、久しぶりね。
パパがねレイナに伝え忘れたって言ってた時から準備してたのよ。それにテイオーの初めてのレースもビデオ残してあるからレイナの分も撮っとかないと」
「レイナならそこまで気にしないと思うけど・・・」
「パパが気にするのよ、撮りたかったなぁって何回も言ってたから。」
パパを見ると既にビデオが待機してあった。
「ちょっとあなた、まだ気が早いんじゃない?」
「何言ってるんだよナチュラル!やっとレイナがレース出る気になったんだぞ!これまでの分しっかり撮っとかないと!」
「あ、見つけましたわよ、テイオー!!」
「あ、マックイーン。」
やばい抜けてきたの忘れてた。
「あなたって人は何をしてましたの!?」
「ごめんごめん、ちゃんと抜けるって話したじゃん」
「限度ってものがあります!」
「ごめんごめん、今度パフェ奢るからさ。これだけ見たいんだ」
パフェで大人しくなるマックイーン、やっぱりちょろい(確信)
「・・・まぁいいですわ。それよりも後ろにいる方は?」
「あぁ、パパとママだよ。」
後ろを振り向くとそこにはいい笑顔のママがいました。
「テイオー?」
「は、はい!」
「あなた自分のやるべきことをしないで仕事抜けてきたの?」
ママの覇気に流石のマックイーンとトレーナーもビビってる・・・
「え、えっとそのあの・・・」
「・・・まぁいいわ。今日は許します。でもちゃんと自分の仕事はちゃんと片付けるのよ?」
おぉ・・・レイナのおかげで助かったよ!!レイナありがと!後ではちみー買ってあげるね!!
「ごめんなさいね、確かメジロマックイーンさんかしら?」
「あ、はい。メジロマックイーンですわ。貴方は・・・」
「私はテイオーの母のトウカイナチュラルと言います。菊花賞おめでとうございます。」
「あ、ありがとうございますわ。」
マックイーンはボクより1年早くデビューして確かクラシックレースは菊花賞しか出なかったんだよね。
それでいて1着だからね、さすがはメジロ家。
「これからもテイオーとよろしくお願いしますね、この子よく甘いの食べてたから心配で・・・」
「大丈夫ですわ、テイオーは私のライバルですもの。はちみー毎日飲んでるのはあまり納得いってませんけど。」
あ、まずい。
「はちみー?」
「あらご存知ありませんの?テイオーよくトレセン前で販売してるオープンカーではちみーっていう飲み物を買ってるんですわ」
それを聞いてママは少し溜息をつきました。
「テイオー、レースで勝ってお金に不自由無いのは分かるけど体には気を付けるのよ?この歳から糖尿病なんて笑えませんからね」
あっ、許してくれるんだ意外。
「ママ今日凄い寛容だけどなんで?」
「そりゃテイオー、やっとレイナがレースに出るんだ。朝から凄い「あなた?」大丈夫ちゃんと撮ってるから!」
後ろからおくれてやっとトレーナーもこっちに来た。
「あら沖野さんお久しぶりです。確か皐月賞以来でしたね。」
「お久しぶりです、ナチュラルさん。ビデオ持ってきてるなんていいご両親ですね。」
「可愛い娘のためですからね、それにレイナの初めてのレースでもあるので。やっぱり最初のレースは応援してあげたいなって。ね?貴方?」
「あ、あぁ。そうだな。」
「あらトレーナーさん、いいですの?あそこにトレーナー専用の席ありますけど」
マックイーンが指をさした先は既にカノープスやりギルのトレーナーがレースに出るウマ娘を資料を見ながら定めていた。
「ぎりぎりまでここで見る。走り方とかしっかりとみえるしな。」
「トレーナーさんは今の走りを見て誰が勝つと思いますの?」
「そうだなぁ・・・」
トレーナーが準備運動してるウマ娘をよく見始めたようだ。レイナも軽く走ってるけど。
「あの一番の子とかかなぁ、あの子はここ何回かのレースで勝ってる。自分の走りをできたらしっかり勝てそうだな」
「えー、トレーナーはレイナのことはあまり見てないの?」
「落ち着けテイオー、ちゃんと見てるぞ。だが今までレース経験もなくてあの走りだけで判断しろなんて俺なんか素人にはまだ無理だよ。
基本に沿った走りはしてるが」
「足を触ってやっと色々と分かりますのに素人ではないんじゃないですの?」
「ちょ、ここではやめてくれマックイーン、誰が聞いてるかわからないんだから。」
「ならやめようと努力してくださいまし!」
「アハハ・・・」
そう言っているとトレーナーの携帯が鳴りました。
「あ、やべおハナさんに呼ばれたわ行ってくる。」
トレーナー、何か思い出したようで急いで行っちゃった。
「もうあの変態トレーナー・・・それであの子がテイオーの妹ですの?」
「そうだよ~」
マックイーンがレイナとボクを交互に見てくる。
「な、なにマックイーン」
「話には聞いてましたけどここまで似てるなんて・・・」
そう言われると嬉しいねぇ。
「レイナ普段はいつも下ろしてるんだけどね、いつも走ってる時は髪をまとめてるからボクに間違われることがあるんだって」
「まぁそうですの。」
「ボクが皐月賞取ってから余計酷くなって髪切ろうとか考えてたんだよ、あんなに髪の毛綺麗なのに勿体ないよ。」
「妹さんも色々と苦労してますわね・・・」
そう言ってるとレイナがまた間違われてた、いつものように髪留めを外して誤解を解いていた。
「まぁ・・・下ろしても結構綺麗ですわね。」
「でしょ〜」
そう話していたら他の出走予定のウマ娘から少し悪口が聞こえた、しかもウマ娘には聞こえるぐらいの小さい声で。
「・・・なんなんですのあの人たちは!仮にもトレセンに「大丈夫だよ、マックイーン」テ、テイオーあなた悔しくありませんの?」
「大丈夫だよ、レイナが走りで証明してくれるから。」
軽く開会式をするそうで一度練習を取りやめて生徒会長や理事長?が座っている席に来ました。
近くにはトレーナーと思わしき人が何人か座っています。
多分直前まで飴舐めてた人が姉さんの所属してるチームのトレーナーかな?
「生徒会長のシンボリルドルフだ。今日この場にいるトレセンに入学したい未来のG1ウマ娘の諸君に会うことが出来て嬉しく思う。
今回のレース場はここトレセンに通うウマ娘達が普段使っているレース場だ、この私を含め、ミホシンザン、ミスターシービー、マルゼンスキーなど錚々たるウマ娘たちがここで同じチームや同級生のウマ娘と切磋琢磨しお互いを鍛えあった場所だ。君たちに有意義な時間をもたらすと誓おう。それにここは中央でウマ娘を従えている優秀なトレーナーたちが君たちを見ている。この意味は言わずもがな分かるね?君達の本気の走りに期待している、以上だ。」
お父さんすごいなぁ
いやこの世界だとお父さんじゃないかシンボリルドルフ会長か。
「あぁ、言い忘れていた。本来ならこのレースには賞金はない予定だったんだが秋川理事長からの計らいで多少だが出るようになった。」
本当ですか!?
賞金でリンゴ買おうかな!
「では私はこれで失礼しよう。レース内容は生徒会副会長のエアグルーヴが説明するから心して聞くように」
シンボリルドルフ会長が台から降りてみんなが拍手すると次はさっき受付をしていたエアグルーヴさんが台に立ちました。
「副会長のエアグルーヴだ、事前にレースの詳細は見ていると思うが説明しておく。
レースは芝、1400m、左回りだ。
おそらく君たちの中には長い方が得意というウマ娘もいるだろうから距離による優越を無くすために自治体主催のレースより長く設定させてもらった。
配られているゼッケンに枠番が書かれた紙を入れているからそれに従ってゲート入りするように。」
「さぁやって参りました!
第1回トレセン主催の12歳以下オープンレース!芝、1400m、左回りです!
今回レースは生徒会が主催でシンボリルドルフ会長が一人でも多くのウマ娘にレースのチャンスを上げたいという願いの元計画されました!
これからのG1ウマ娘が個々のメンバーから生まれることを期待して選手紹介をしていきましょう!」
「・・・
7枠7番!テルパンダー!
自治体のレースで3回ほど1着経験あるウマ娘です!
続いて8枠8番ホットダンス!
1着の経験はありませんが2着や最近の練習では好タイムを出しているウマ娘です!
そして9枠9番!トウカイレイナ!
なんと自治会などのレース経験はないそうで今回が初めての公式のレースだそうです!完全なダークホースです!」
名前が呼ばれたので簡単に周囲に軽く会釈してゲートの中に入る。
外枠かぁ・・・さっき姉さんの妹って言ったから後ろに行ったら絶対ブロックさせられそう・・・よし決めた!
目をつぶってゲートの音に耳を澄ませる。
「各ウマ娘ゲートに入り、スタートしました!」
ちょっと無理してでも前に出て自分のペースを作る!
「9番トウカイレイナ!ほぼ完璧とも言えるスタートを切りそのまま外枠から先頭を奪い取りました!
その後をおうのはブリッジコンプとツーリングバイク!
他は後方からおう形!トウカイレイナ少し掛かっているかもしれません。一息ついて欲しいところ!
そしてツーリングバイクの一馬身後ろから4番手5番手アクアオーシャン、スカンダが並んでいます!」
一応余裕なので大丈夫です!
見る限り坂も緩やかなやつしかないからね。
それにマイルは逃げしかやってないからむしろ好都合!
「スカンダの後ろはソワソワ、ソワソワは追い込みが得意なウマ娘です。今回もいい位置につけています。」
先頭はやっぱり自分のペースで走れるけど空気抵抗がすごいな・・・
「さぁ先頭は変わらずトウカイレイナ!はやくも2番手ブリッジコンプと2馬身ほどリードか!
ブリッジコンプの後ろからはツーリングバイクとステンツがマークしてます!
おっと先頭トウカイレイナ第1コーナーに入りました!」
左回りのコーナーは姉さんにだって負けるつもりは無いよ!
少し体を傾けてなるべく外側に出ないようにしてるけど馬の時とはだいぶ感覚違うなこれ。
「トウカイレイナ見事なコーナリングです!2番手ブリッジコンプ左回りはやや苦手か少し外に膨らんでいる!
おっとステンツがブリッジコンプの内側の隙間に入りブリッジコンプと並んだ!」
「第1コーナーから第2コーナーへトウカイレイナ快調にとばす!
2番手はステンツがやや下がりブリッジコンプ単独になった!
3番手ステンツ、ツーリングバイクとが横並びにならびなり残りの4人は2馬身以内に収まり前を狙う!」
第2コーナー抜けて直ぐ坂道だからだけど歩幅を狭めて走る練習もしてあるから問題ない!
「トウカイレイナ第2コーナーを抜けて坂に入りましたがスピードは一向に落ちません!もはや独走状態だ!そして坂を抜けた!残り300m!」
最後は少しずつ歩幅を広げてスピードに乗る!
先頭の景色は誰にも譲らない!
「ほかのウマ娘もスパートをかけますが先頭との差は縮まる所か少しずつ開いていく!
これがトウカイ家のウマ娘か!?余裕の走りだ!」
「トウカイテイオーと似た素晴らしい末脚でゴール板を超えました!
1着はトウカイレイナ!ジュニア級のウマ娘と遜色ないタイムでゴール!」
(いつもレース終わったら1番に竹さんが頭撫でてくれたのにな)
少し寂しく感じながら走りきり少しずつスピードを下げて観客用のスペースの方で止まる。
「レイナァーー!!!」
少しびっくりしながら呼ばれた方向を向くと笑顔で姉さんが手を振ってくれていた。
「初勝利おめでとー!!」
その周りには良くやったと満足顔の母さんにビデオを回しながら少し泣きそうになってる父さん、そして姉さんと同じチームらしきウマ娘が拍手してくれていた。
少し泣きそうになるが堪えて笑顔でピースした。
負けて泣いてしまった子がやっと泣き止んで最後に表彰式が始まりました。
「賞状
日本ウマ娘トレーニングセンター学園主催1400mレース
第1位
トウカイレイナ殿
大会におけるあなたの輝かしい栄誉をここに讃えます
日本ウマ娘トレーニングセンター学園 生徒会長 シンボリルドルフ」
表彰状を受け取るとみんなが拍手で讃えてくれました。
「ありがとうございます。シンボリルドルフ会長」
「テイオーから話は聞いているよ、君がここに来るのを楽しみにしてる」
姉さん何言ったんですかねぇ・・・まぁいいか。
さて優勝賞品豪華になるって話してたし何かなぁ。
一度握手をして元居た場所に戻るとまたシンボリルドルフ会長がマイクを取りました。
「さて賞金はまた後日に渡させてもらうことにしよう、この場で手渡しするには少し高い金額だからね」
理事長さんどれだけ出したんですか()
「さて今回勝てなかったウマ娘諸君には今からここにいるトレーナーにご教授を願う時間を設けようと思う。ここにいるトレーナーたちはチームリギル、スピカ、カノープス、シリウスなど中央でチームを組んでいる優秀なトレーナーだ。教えてもらうのはなかなかないだろう。」
みんなすごくうれしそうにしてます、中央のトレーナー資格取れる人たちに教えてもらえる機会なんてそうそうないし凄くいい機会なんだろうな。
「さてそして優勝者は既に書いてある通り三日間学校の体験入学をしてもらおうと思う、チームも気になっているところがあれば融通を聞かせよう」
やっぱり姉さんが言ったとおりだったんだ。これはもう決まってるよね!
「さてトウカイレイナ君はどこか気になっているところはあるかな?」
「えっと・・・じゃあスピカでよろしくお願いします!」
姉さんが満面の笑みをしているのが遠めでも分かった。
次はリアル馬は阪神3歳牝馬ステークスになります、大体話はできてるんで何日以内には出せるようにします!