去年の12月からの投稿でそこまで月日は立っていませんが、よろしくお願いします、
[うぉぉぉぉぉ、
[お嬢うるさい]
[ごめん…]
船越さんたち情報で今日中山競馬場で行われた有馬記念でトウカイテイオーが見事1位を取ったそうです。
しかもビワハヤヒデや錚々たるメンバーがいての勝利!ほんま主人公みたいな人っているんやなぁって。
あ、いけない人じゃなくて馬か。
今は今日の調教も食事も終わりダイヤちゃんとお話し中です。ちなみに今はお嬢って呼ばれてます。
[そういえばお嬢、いつも走る前に軽く運動してるじゃない?]
ストレッチのことかな?
[うん、ストレッチのこと?]
[そうそう、それってなんでしてるの?]
[そうだなぁ…色々とあるけど1番はケガの予防かな?]
[ふうん…今から色々と考えてるのね]
[ダイヤちゃんは考えてないの?]
[何も考えて無いわけじゃないけどお嬢みたいに速く走るために何か努力してる訳じゃないかな]
[そんなもんなんだ]
[そんなもんよ、牡は牝にモテたいから走ってるって馬いるし]
やっぱりいるのか。
[でもお嬢見てここの同年代の牡はほとんど自信なくしてるわよ?お嬢速くて全然勝てないって]
そう、前話していたあまり歩幅を広げない走り方を最近は練習中で他の牡と併走することがあるのだが、ほとんど先にあちら側がガス欠を起こして失速しているのだ。そのせいでほんとに牝なのか?って最近疑われたほどです。
[えへへ、ありがと]
[褒めてないんだけど…まぁ気をつけてね?]
[?何を?]
[襲われないように]
[…襲う?]
この時、私はダイヤちゃんが何を言っているかまだ理解出来てなかった。
(次の日)
さて今日も今日とて調教日です!
朝早く起きて簡単にストレッチを済ませたあと船越さんに餌を貰う。
なんと船越さん最近恋人が出来たとか。なんとそれが事務員のお姉さんだそうです。
しかも、そのきっかけが私のリンゴのこだわりに対してなんだとか。
赤城さんが別れ際に剥いてくれたリンゴが忘れられなくて少しワガママしたら、なんと自分に出てくるリンゴだけ皮が剥いてあるものが出るようになりました。しかも最初はぎこちないものが多かったのだが段々と綺麗になっていき、終いには自分の目の前で剥いて渡してくれるようになってます。
めっちゃ嬉しいんやけどなんか申し訳ないです…その分ちゃんと言うこと聞いて立派な競走馬になりますので!
「プリンセス、今日は見習いの騎手じゃなくて中央ですごい活躍してる騎手が鞍上だぞ?」
はて?中央?まだデビューもしてないのになんでだろ。
いつも通り船越さんに連れられて準備運動をした後、騎手さん達に引渡す場所でいつもの見習い騎手たちさんが一人の男性を囲っていた。
男の人は自分を見ると微笑みながらこちらに近づいてきた。
この人かな?
「初めまして、プリンセスの厩務員の船越と言います」
「竹と言います。今回は突然の頼みを聞いてくれてありがとうございます」
竹さん…あ、もしかして有馬記念でオグリキャップの鞍上だった人?
実は前世の自分、あまり競馬は詳しくなかったのだが、親が競馬好きで1度だけ連れていってもらったのが1990年の有馬記念だった。
後で調べてわかったのだが、ジャパンカップの後で色々と批判を受けていたオグリキャップが1位を取った時に鞍上を担当していたのがこの人だった。
ちなみに兄であるトウカイテイオーが天皇賞・春の時に負かされたメジロマックイーンに乗っていたのもこの人です。
そんなすごい騎手さんが私に乗りたいそうです。
「オーナーからの依頼を頂いていますし、竹さんの話を聞けるならここにとってもプラスです。プリンセスはどの騎手でも嫌がったことありませんが初めての騎乗ですから他のメニューをこなしてから最後に併走って形でいいですか?」
「えぇ、お願いします。プリンセス、よろしくね」
竹さんが頭を撫でてくれる。
[よろしくね!]
私が頭を下げると竹さん、少し目を見開いたけど直ぐに笑顔で自分に乗ってくれた。
「それじゃあとりあえず、レースを歩きましょうか」
船越さんの誘導でコースに入っていった。
「トウカイテイオー!!奇跡の復活!!!」
今でも目を瞑ればあの時の光景が蘇る。
エリザベス女王杯で3着に終わり、メジロラモーヌ以来の牝馬3冠を逃してしまったベガが復活を望んで挑んだ有馬記念、結果は9着と初めての大敗を喫してしまった。
テキ(調教師)が裕は悪くないと言っていたが、確かにエリザベス女王杯以来ベガの調子はあまりいいものとはいえなかった。とはいえ、あんなに不甲斐ない結果になるまで悪くはなく、自分に悪態をついていた。
勝ったのは何度骨折してもターフに帰ってきたトウカイテイオーだった。
後ろからトウカイテイオーが飛ぶような走りでビワハヤヒデを追い抜いていく姿に、関係者から聞いたトウカイテイオーは飛んでいるように走るという意味がわかった気がした。
今年のレースも終わり、来年出るレースやどの馬に乗るなど情報収集をしていたら、トウカイテイオーの馬主の衷村さんから連絡があった。トウカイテイオーへの乗馬依頼を断ったばかりだったので何を言われるか少々不安だったが、聞いた話によると、ある牝馬に乗ってみてほしいとの事だった。
特に断る理由もなかったので軽い気持ちで受け、指定された日と場所に行き、出会ったのがプリンセスだった。
体は薄焦げ茶で顔の真ん中にはテイオーやシンボリルドルフと同じように白い模様が入っていた。
「それじゃあお願いします」
厩務員の船越さんの手を離れてプリンセスをまずは軽く歩かせる。
ここの見習いの騎手たちからも少し話は聞いていたが、乗り心地はとても良かった。
自分の手綱による方向転換、止まれなどの命令も問題なく聞いてくれて、コースで軽く走らせても問題なかった。
だがトウカイテイオーみたいな飛ぶような走りはしてくれなかった。
(やはり、いくら同じ血統でも走りまでは無理か)
最後に牡馬と併走することになった。
「竹さんよろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いします」
プリンセスが外側で牡が内側だった。
一緒に走らせるが段々とプリンセスが前に出る。
牡もプリンセスに追いつこうとスピードを上げたが、プリンセス自身もスピードを上げ、やがて追いつけなくなった牡が先にガス欠を起こして失速した。
「いいぞ、プリンセス」
予定の距離を走ったので減速して首を何回か撫でる。
「危ない!」
振り返ると併走相手の馬が見習い騎手を振り落としていた。
こちらに被害が及ばないよう、プリンセスを少し離れさせるが暴走した馬はこちらを見て立ち上がると馬のでかいアレが見えた。
どうやら発情しているようだった。
厩務員がなんとか手綱を持って動きを止めようとするが振り切られてこちらに走ってきた。
(走ったばかりだがいけるか!?)
プリンセスを再びコースで走らせる。
プリンセスは自分に応えてくれて走り、コーナーを曲がるが、さっきまで走った疲れやあちらに騎手が降りて単純に走りやすくなった為か段々と牡との距離が狭まってくる。
(プリンセス!頼む!)
鞭でプリンセスを叩いてもっとスピードをあげるように命令する。
鞭を入れた途端、プリンセスの走りが変わった。まるで飛んでいるような感覚にさせるほど広い歩幅、さっきとは明らかに違う足の回転速度。
(これがこの子の本気か!)
思わずニヤけてしまうがすぐに冷静になり、手綱をしっかりと掴む。
再びコーナーを曲がり一周回る頃には牡馬は完全にバテていて厩務員や乗っていた見習い騎手に捕獲されていた。
「竹さん!大丈夫ですか!?」
船越さんが慌ててこちらに近づいてくる。
「こちらは大丈夫です、それよりプリンセスが予定の距離より大幅に走らせてしまったので、調教に影響が出るかもしれません」
プリンセスもやはり全力の走りでコースの半分を走ったのは堪えたらしく、汗だくで息も少々荒くなっていた。
「プリンセスは暫くはプールで調教させることにします。体に怪我がないか簡単に調べたいんですがいいですか?蹴り癖はこの子には無いので触っても構いませんので」
船越さんに言われて降りると、やっとプリンセスも緊張の糸が切れたのか船越さんの腹に顔を突っ込む。
「よしよし、怖かったな。プリンセス、もう大丈夫だ」
頭を撫でながら慰める船越さんに代わり、簡単に触診でプリンセスに異常がないか調べる。
今まで色んな馬を触診してきたが、プリンセスの体は今の3歳馬と同じぐらい筋肉が発達していて、しかもとても柔軟性があった。
まだ発展途上のこの子が競走馬の年齢までしっかりと調教されていたらどんな馬になるのか…想像しただけで心が踊る。
(もっと乗りたい、こいつの背中を独占したい)
そんな欲を抑えて、触診して異常がないことを確認する。
「大丈夫ですね、怪我とかは見られません。疲労が溜まってるようですが」
「ここまで走ったのは久しぶりですからね、仕方ありません」
ブラッシングまで手伝おうと思っていたが、状況が状況なのでまた後日伺うことにしてその場を後にした。
その日の夜。トレーニングセンターのセンター長から謝罪の電話を貰った。こちらには怪我はなく、聞くところによるとプリンセスにも異常は無いのでとりあえずは何も求めずに気を付けてくださいと伝えた。
続いて、衷村さんからも電話が来た。
『竹さん?話を聞いて流石に驚きました。怪我などはありませんでしたか?』
「いえ、大丈夫です。プリンセスのおかげで彼女と僕自身怪我なく済みました」
『そうでしたか…』
声からして安堵した様子が分かった。
『それでなんですが…プリンセス、いかがでしたか?』
「…彼女の背中を独占したいと思ったほど良い馬でした。また調教する時に乗らせていただいてもいいですか?」
『…その言葉を聞けて嬉しいです。こちらからもよろしくお願いします』
その後、彼女の経緯などを聞いて電話を切った。
(あの子となら取れるかもしれないな…)
めっちゃ怖かった…襲われるってそういう意味だったの…
いきなり牡から「俺の子産んでもらう!」って叫んでこっち来た時はさすがにビビりました…彼の息子元気だったし…
竹さんのおかげで平常心を取り戻して逃げれたはいいものの、後ろを見るのも怖くて最後ら辺、本気で走ったからか疲労感がすごいし。
船越さんとオーナーの話し合いで、私の併走相手を牝馬と他の大人しい牡馬にして、あとは暫くはプールで訓練が中心になるそうです。
正直もう牡とは走りたくないと思ったけど、私が牡馬に対して苦手意識を持たないようにするための対処だとか。
別に良くない?牝馬専用のG1レースとかあるってダイヤちゃんから聞いたよ?
そんなこんなでプール訓練や併走をしていたのですが、最近になって変わったことは竹さんが定期的に自分のところに来て併走の時騎手を務めるようになったことです。
竹さんライン取りとか指示とかめっちゃ的確で分かりやすいし、ここで攻めたいって時に竹さんから鞭でスピードアップの命令来るから、結構私との相性良いようです。
走れるのはいいものの、ちょっと問題が起きました。
それがゲートの試験です。
競馬を1度でも見ればわかるのですが最初馬はゲートに入って、ゲートが開いた瞬間に走り出します。
基本的に開いて直ぐに走り出すのですが、自分の場合どうしても上手く行きません。
開いて少しして走り出すのでどうしてもそこでロスが生まれてしまうのです、別に不合格という訳では無いけど、これはいけないと思い色々と試しました。
まずは上手くいっている馬にきく。
ダイヤちゃんはゲート上手だったので聞いてみたんですが。
[勘]
の一言で終わっちゃいました…こういう馬の説明聞いてもダメなやつだ…
諦めて色々と試していると、馬ならではの解決法を見つけました。
それは音です。実は馬は草食動物だから敵である肉食動物にいち早く気づく為に聴覚がとても優れてるんです。
聞きたい方向に耳を向ければ外でコソコソと話してる人の声も聞けるんじゃないかな?
それをゲートに向けて集中して聞くと、ゲートが開く数秒前に特殊な音がするのがわかりました。
それに気付いてからはゲートも克服してあとは身体作りと走り方の研究をひたすら続けていきました。
そんなこんなで時間はあっという間にすぎていきました。
次でついにこの馬の馬名が分かると思います。
あっ名前はもう決まってます!
私事ですみませんが自分学生でこれから期末テストが控えているので休憩時間などに少しづつ書きますが投稿頻度は明らかに落ちると思いますが気長に待っていただけると幸いです。
感想、誤字脱字などあったら感想欄にお願いします!
それでは!