コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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姉の呟き
はじめまして


このページを開いている人は、どのくらいいるのだろうか。もしかしたらウチがとんでもない有名店になって、これを書いている5年後10年後にはとんでもないアクセス数になってるのかもしれない。そうならないかな。

 

前置きはこれくらいにして、でも何を書けばいいのかよく分からない。とりあえず、今までの経緯でも書こっか。はたして興味のある人がいるのかはわからないが。

 

姉妹共同で喫茶店をすることとなった。字面を見ると物語みたいだ。実際すごくワクワクしていた。ことの始まりは、大学を出て以来職を転々としていた妹からお誘いがきたことだ。こちらとしても夢も目標もなく保育士をしていたところだったので、二つ返事で引き受けた。二つ返事って言葉始めて使ったけどええな。どんどん使ってこ。

 

さて、妹は高校生あたりの頃からコーヒーが好きで、私もしょっちゅう淹れてもらっていた。淹れるたびに家族みんなに欲しいか聞いて回っていて、コーヒーを飲んでもらうことが好きなんやろなぁとは思っていたので、特に反対もしなかった。妹が、やりたいことをやっと見つけられたっていう嬉しさはすごかった。まぁそれからは色々大変で、ここに書いてもしゃーないくらいの面倒くさい手続きの連続だったので、割愛。晴れてお店を構えることができた。

 

しかしコーヒーについては葵の仕事なんで、自分にやれることを探さなきゃいけなくなった。接客とかレジ打ちとかくらいしかできない。優しい妹は「コーヒーにだけ集中できるから、今のままでも十分助かってる」なんて言うけど、一応姉としてのプライドもある。たとえ、実際の気持ちの7割くらいは「喫茶店経営」という言葉に惹かれて考え無しにフラフラと誘いに乗ったとしても、だ。コーヒー以外に喫茶店に必要なメニューとは、即ちサンドイッチなんかの食べ物や、ケーキみたいなデザートや、その他の飲み物だ。飲み物はコーヒーに力を入れるみたいなんで、私は食べ物系の開発に乗り出したわけだ。

 

しっかしこれが簡単にはいかない。まぁそう簡単とも思ってなかったけど、料理にはそれなりの自信があった。でもいざ作ってみるとどうも「お店の料理」感がないというか、家庭の味感が出てしまう。葵にはこだわりすぎなんて言われたけど、ここは妥協したくない。一応納得のいったものも2、3品できてメニューにも載ってるけど、改善の余地アリ。どんどん増やしていこうと意気込んでたけど、あんまりやりすぎるとメインである妹のコーヒーが霞みかねない。ウチが夜中にキッチンに立ってるのにもいい顔せーへんし、5品くらいまでできたら自重しようと思います。

 

あ、この前お客さんに「琴野さん」て呼ばれたんで書いておくと、私たちの苗字は「琴葉(ことのは)」です。なら何であんなややこしい店名しとんねんという話になるけど、まず妹が「カフェ○○」とか「喫茶○○」じゃなくて「○○珈琲」が良いと言った。それじゃあ安直に「琴葉珈琲」でいいかと思ったが、「琴葉」を「ことのは」と読める人はそうはいない。ならいっそ全部カタカナでと「コトノハコーヒー」となったところ、今度は語呂が悪いという意見が出た。ウチの友人のとあるアホからである。最初はアホの言う事と聞き入れなかったけど、えらい熱量で力説されると、ウチも葵もなんかホントに語呂が悪い気がしてきて「コトノコーヒー」に落ち着いた。今思うと「コトノコーヒー」もたいして語呂が良くないし、むしろ悪くなってる気もする。あと読みづらい。けどまぁ、決まったもんは決まったもんである。というかその名前で看板まで作ってしまったのだからもう今更どうしようもないのだ。店が繁盛して余裕ができたら、変えてやろうか。

 

というわけで。この看板をより良いものにするためにも、皆様の御来店お待ちしております。

 

 


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