コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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もう一度、ご注意ください

常連さんの一人に学校の先生やってられる方がいる。いつもカウンターに座ってちょいちょい話をするんやけど、この人が今日「これってウィンナーコーヒーと何が違うんですか?」とメニューを見せながら聞いてきた。お客さんの指が示す先は、もちろんホイップカフェオレである。さあ、これは困った。ありそうで何気に今まで一度もなかった質問なのだ。「はいはい、ウィンナーコーヒーと何も変わりませんよ」とは口が裂けても言えない。ちらりと葵の方を見たら、ミルを動かしながら顔を下に向けつつ、目だけがこちらを見ている。どんな感情が込められた視線かは詳しくわからないけど、たぶん良くないものである。じゃあなんだ、「あんなもんコーヒーとは呼べません!だいたいクリームが…」などと葵の思いをお客さんにぶちまければいいのか。散々聞かされてきたからちゃんと伝えられる自信はあるけど、そういうわけにもいかんやろう。その場で目を閉じてうなりながら考えこんだ。お客さんからすれば、何を迷ってるんだってもんだろうが、こちらとしては大きな問題である。最終的に出た答えは「まあ…似たようなもんです…」となった。葵からのなんとも言えない視線はいまだ背中に感じているし、お客さんもよくわからなそうな目をしていた。中途半端で、なんなら何も解決していない最悪の答えだったかもしれないが、これがウチにできる精一杯であった。どないせいっちゅうねんあんなもん。ブログに載せる許可をもらったので、その先生さんにもこのブログの存在を認識していただいただろう。もう一度この場で述べさせていただきます。コトノコーヒーにおいて、「ウィンナーコーヒー」は禁句です。

 

この先生さんはだいたいお店に来る日も時間も決まっていて、話す内容もだいたいお仕事の話である。私にとって教師というのは子供のころ盛大に迷惑をかけた憶えしかないので「こんな子がいて~」と話に出てきた子に昔の自分と重なる部分があると、そのたびに当時の先生に申し訳なさを感じてしまう。ただ目の前の先生さんも、愚痴というには楽し気に、ニコニコしながら語っていたので、結局のところかわいい生徒という認識なのだろう。いろいろ大変だとは聞くけど、いい先生である。あのときの私もそうなっていることを願うばかりだ。

 

子供のころの私といえば、小学校から帰ってくるなり玄関にランドセルを放り投げて「○○とあそんでくる!」と言ってそのまま家を飛び出していく、というのが常だったそうだ。自分ではあまり記憶にないし、そりゃ何回かはあったやろうけどそんなしょっちゅうやったか?と思うのだけど、母も妹も口をそろえてそんなことばかりだった、というのだから仕方ない。ウチは基本アホなので「母&葵VSウチ」という状況になった時点で「絶対ウチが正しい!間違っとるのはそっちや!」といくら言ってもウチの負けが確定する。まあ実際ほとんどウチが間違ってることばっかやし、合ってたことなんて片手で数えられる程度しかないんやけど。そのレアケースでさえ、ほうら見たことかと言ってると「あんたがいっつもアホなせい」とまたウチが悪者にされてしまうのだ。アホに正しさはない。この世の不条理だと思ったが、よくよく考えれば当然のことである。

 

もし先生さんがこれを読んでいたら、このことをどうか心に留めておいてほしい。私のようなアホを生み出さないよう、お願いいたします。

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