コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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一長一短

ちょっとマジで通販の方の売れ行きがすごい。インターネット恐るべしである。逆に実際のお店の方に来るお客さんは、通販の伸びようほどは増えていない。それでもここ最近、毎日数人は「初めて見る顔かな?」ってお客さんがいるんで、いないことはない。まあたとえ近所であったとしても交通の便は悪いから、一つ県境をまたごうもんなら行く気も失せるというものである。じゃあ店の場所移せよという話ではあるし来てくれるお客さんのこと考えたらその方がいいんやけど、これはあんまりやる気になれない。

 

理由は私の立場に立ってみれば簡単に分かるはずだ。目立たない場所にある喫茶店って、知る人ぞ知るお店的な、隠れ家的な雰囲気出るでしょ?んでもって今の立地でも生活に困らない程度にはやっていけてるんですよ?そんなお店の店員ですよ?なかなかこの状況を手放す気にはなれないのだ。いやまあ真面目な話をすると、葵が人の多い場所が苦手なんでほどほどの立地にしといたって理由なんやけど。ウチのはお店を移す理由にはならないけど、葵を頑張って説得する気にならない理由としては十分だろう。人が多すぎなくてアクセスのいい土地が空いてたら検討するかもやけど、まあそんな都合のいい場所早々ないしなあ。それにウチも葵も、単純にここら辺の町に愛着があるんでよっぽど何かない限りこのまんまやと思います。

 

あと気づいたことなんやけど、通販の方ばっかり忙しいっていうのはあんまり楽しくない。いや、仕事なんで楽しい楽しくない言ってられないんだけど、やっぱ店頭の方であっちこっち動き回る忙しさと豆の在庫を確認して計算して発注もしての忙しさでは、やっぱお店で忙しい方が充実感があるのだ。たとえ身体のあちこちが痛くなろうと、それすらも動いた証と思えば誇らしい。うそ。痛いだけやわあんなもん。そのへん考えれば通販の忙しさは身体にダメージ来やんから楽やなあと思ってた矢先に事件が起きた。

 

事件って言ってもそんな大したもんじゃないんですけど、在庫が不安になってきた豆の一つが普段よりちょい安くなってたんで、思い切って結構な量を一気に注文した。このときはちゃんと捌いきれるかの不安ばっかりで、実際にお店に届いた時のことを考えていなかった。昨日届いたんやけど、まず宅配業者の人がトラックから下ろすとき明らかにいつもより重そうだったのだ。これはヤバいなと思いながらウチも持ち上げようとしたんやけど、これが全然上がらない。台車の存在が完全に頭から抜けてたウチは必死に持ち上げようとして、遂にやった。腰を。

 

おかげで今日はやれることが少なくて、だいぶ葵に任せてしまった。今も寝っ転がりながら文字を打っている。若いからといって無理するとこれである。みんな気をつけてね。

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