三日後ぐらいに、また新しい豆が入ります。品種とか国名とかはよく覚えてないんで入荷情報の方で確認してね。二つあって片方は全然覚えてないんやけど、もう片方はたしか東南アジアっぽい名前やった気がする。葵に言われて何となく思い出したけど、前に仕入れてウチも飲んだことのあるものらしかった。去年ぐらいだそう。
ウチのアテにならないおぼろげな記憶と葵の言葉によると、苦味が目立つ結構刺激強めの味のコーヒーだ。ただ苦味がきついわけじゃなくって、スッキリとしたわかりやすさ？があって美味しいという。わかりやすさって何なんやろ。また届いたらすぐ飲んでみることにします。酸味はほとんど目立たないらしいのはありがたい。ウチも苦手な味ではなかったのは若干の記憶があった。逆に言えばそれぐらいしか覚えてないけど…。いや一年前に飲んだコーヒーの味とか思い出せるわけないやん？覚えてる方がおかしいと主張したいところやけど、仮にもコーヒーのお店の店員としては覚えとかなあかんとこなんかなあ。
もう片方は初めて買うものだ。本来そこそこ値の張るものらしいんやけど、商社さんのリストになかなか割安で載ってたんで飛びついたという感じ。普段ならもうちょっと慎重になるしできるだけ避けて通るところなんやけど、ここの商社さんは今まで安かろう悪かろうみたいな商品を交ぜたりはしてないし、とんでもなく激安ってわけでもなかったんで即購入を決めた。どんなものかは着いてからのお楽しみやけど、葵は期待してるみたいなんでいい感じなのかもしれない。こっちは量が多くはないんで店頭販売のみになります。最近通販の需要が増えたからできるだけそっちに回したくもあるんやけど、こういう安めの豆は量が少ないのもセットみたいなもんやからなあ。難しいところです。
仕入れ関係は私もだいぶ慣れてきたけど、初めの頃は勝手が分からなかったりで失敗もあった。今になってそのへん振り返ると、これ葵が全部ひとりでやってたらって想像するだけでぞっとする。疑うことを知らないとまでは言わないけどまあピュアやし、コーヒーの話ともなればそれはさらに加速するのだ。相手の良心が痛んでくれるのをお祈りするしかなくなる。やばいなーおっかないなー、って話をこの前葵に振ったら「お姉ちゃんこそ詐欺とか引っ掛かりそう」と返されてしまった。確かに言われてみれば、テレビで詐欺被害のニュースとか再現ドラマの被害に遭った人を見て「ウチやん」って思うことも少なくない。喫茶店を狙った詐欺とかあったらやばいかもなあ。あるんかな。