コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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高いしな

前回「コーヒーはちょい高めを選ぶのが安定」と書いた。これは別に店の売上に繋げようって意図じゃなくて、だいたいの場合マジなのだ。国とか品種とかでまとまってるイメージあるし、実際にだいたいはそうなんやけど、ちょいちょいアテにならないことがある。慣れたあの味やと考えて飲んだら思ってたんと違うってことが起こる。それをちょっと値段帯上げるだけで、こう、そつのない感じの味のコーヒーを飲むことができるのだ。値段相応かはともかく。サンプル飲むときも事前に葵に値段聞いて「ええお値段しとんねえ」とか思って飲むんやけど、まあハズレはない。まあウチは基本ここでしかコーヒー飲まんから一般的に言えることなんかは正直わからんけど、とりあえずコトノコーヒーでは間違いない。

 

じゃあ毎回高いの飲むかって聞かれると、当然財布の事情ってものもあるわけで。それも特別に興味のない人間であればなおのことである。実際この前に金髪ちゃんも「おいしかったけど次飲むのはいつになるやら」みたいなことを言ってた。ウチも似たような感覚だ。なんかの記念に一回ってぐらいならともかく。毎月給料日のすぐ後になるとちょい奮発していくお客さんはまあまあいるけど、私はそんな定期的に頼む気にはなれない。まあ今お代払わず(お金は払っとるんやけど)高いコーヒー飲めちゃってるから、そのへんの欲求も薄くなっとるかもなあ。今日どこぞのアホがコーヒー三つ頼んで飲み比べしてたけど、あれは好きでもないのに金をかける特異な例だ。よう飲めたなあんな量。

 

そのへん、うちのお客さんは二つに分けることができる。単純に、コーヒーが特別好きな人と、そうじゃない人だ。そして我々店員側の姉妹もそれぞれ分かれている。だからって何か争いがあるわけでもないけど、ある程度親しくなるお客さんのタイプが、ウチらの間で別れてはいる。でも結局オススメの仕方は「これ安いわりにおいしいですよ~」って感じのものになる。言葉は似たようなもんやけど、ニュアンスは違ってくるんやから不思議だ。価値を感じてる人間と感じてない人間では、同じ内容でも伝わるものは違うらしい。

 

あ、そうそう。なんやかんやでうまいこと品評会で入賞した豆を確保できたんで、たぶん来週ぐらいからお店に出します。通販にも回したいけど、まだちょっと考え中です。この品評会入りも間違いないタイプである。ただ競争率がえらいことで商社さんも常に確保できるわけじゃなく、そうなればうちみないな喫茶店に回ってくる確率も当然低くなって、しょっちゅう置いとけるわけじゃないのが問題だ。あと結局高いし。


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