コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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ぼーっとしよう

さてさて、お店の休みも終わってまたお店も始まったわけやけど、さっそく来ては豆を買っていくお客さんの多いこと。冬眠前に蓄えていたはずの豆が切れてて、即補充しにきましたって人が多かった。普段は豆を買ってくだけでお店では飲んでいかないってお客さんも結構おるんやけど、そんな人らもこの日は豆買って喫茶の方でも飲んでいくことがあった。ホンマにコーヒー飲まんと死ぬんちゃうかこの人ら。コトノコーヒーは他の店なんかよりちょい遅れ目で休み明けになったんやけど、なんか切羽詰まってたらしいお客さんらを見るともうちょっと早めに開けてあげればよかったかなと思う。ただ、もう開いてるコーヒー屋さんも他にあるやろって中で、うちが始めるのを待ってくれてたとも言えるんじゃないかと気づいたときはちょっと嬉しかった。今後ともよろしくお願いします。

 

この休みの間はウチも地元の友達と出かけたりしたんやけど、最近どうも外でコーヒー飲む気になれやんなあってことに気が付いた。家でゴロゴロしてれば葵がおいしいコーヒーを淹れてくれる素晴らしい環境にいるせいで、変に舌が肥えたのかもしれない。前まではここまでじゃなく普通に飲めたはずなんやけど、酸味だとか苦味だとか、最近になってウチの中に定着し始めた知識が頭に浮かんでしまうようになった。そのうえ仕入制限係としては値段のことまで考えちゃうわけで、この味でこの値段かよとか考え始めちゃうともう終わりである。葵は安物は安物と割り切って外でも飲んでるから、ウチもいつかそうなれるとええんやけどなあ…。

 

そんなわけで、外で飲むのは紅茶とかの方が多くなった。もともとコーヒーよりは紅茶派なんで、何も考えずおいしく飲めていい。でも紅茶だって色々あるんやろうから、知識蓄えちゃうとまた素直に飲めなくなるのかもしれない。本当の紅茶が好きならともかく、ウチみたいな「どっちかって言えばこうちゃー」ぐらいの人間は何も考えず飲むのが丁度いいんかなあ。お店始めるってなった頃は、ウチも「コーヒーに詳しい店員のお姉さん」を夢見たりしたんやけど、バカ舌がそれに近づいたところであんまりいいことはなさそうである。

 

一応、家でも葵と一緒に紅茶とか緑茶とかを飲むことがある。葵はお茶の淹れ方がわからないんで、このときはウチがやることになる。て言ってもティーバッグ使ったり急須でちょいってやる程度なんやけど。コーヒーはともかく、お茶についてはウチも葵も対等に素人なわけで、何も考えずぼーっと飲める。私なんかに言われるまでもないかもしれやんけど、コーヒーばっかり飲んでるお客さんも、たまにお茶を飲めば頭空っぽになれるかもね。一応お店にもあんま注文されない紅茶がありますよー。


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