コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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コーヒー屋さんのお勉強

この前の高校生組との勉強会した日の夜に、テレビで「大人にもわかる高校数学!」みたいな番組がやってたからとりあえず見ることにした。最初の方は昔の記憶を思い出しながら「ああはいはい」って風に見れたんやけど、どっかを境にまるで内容が頭に入ってこなくなった。「そんなんあった気もするな」って方程式が三つぐらい並んで出てきたあたりやったと思うけど、あんまはっきり分からん。一応最後まで見たけど、ウチの数学知識はほとんどアップデートされずに終わった。葵は普段やとさっさと自分の部屋に行っちゃうんやけど、この日はリビングからいなくなるのが気持ち早かった気がする。番組の内容を見てウゲッて顔してたし。

 

勉強といえば、お店を始める前に喫茶店経営について軽く調べたら、結構な数の記事とか本が存在することを知って驚いた記憶がある。今もういっぺん検索かけてみたけどやっぱあるし、検索候補で「喫茶店 開業」があったんで、やっぱり興味を持つ人は多いのかもしれない。私は葵の誘いに乗っかっただけやけど、やっぱ当時のウチには喫茶店に長続きするイメージがなかったんで、わりとちゃんと勉強して備えようとしたのだ、これでも。

 

でもいざ準備が始まってみると、葵は案外先を見通した計画を立てていたのである。これならコーヒーの事なんかなんもわからん素人が聞きかじった程度の知識で首突っ込まん方がええなってことで、あんまりそのへんは考えなくなった。ちなみに葵がその計画通りに進められたのは半分ぐらいで、あとはもうやりたい放題だった。私も最初のうちはハラハラドキドキだったけど、だんだん緊張もなくなって適当にやってたらご覧の有様です。ノウハウも何もない。一応家のどっかに、買ってからちょっとしか読んでない経営の本が三冊ぐらいあるはずやけど、どこにいったんやろなあ。何かに役立つかもと思って残してあるけど、いい加減捨てるか実家に置いてくるかした方がええかな。その前にほしい方は譲るんで言ってくださいね。

 

実際コーヒー屋やってみると、お客さんや商社さんとの付き合いとか予想以上の肉体労働とか、イメージと違った部分も多いし、まあ始める前にあれこれ騒いでも仕方ないのかなあとは少し思う。にしたって準備しなさすぎって言われるとその通りなんやけど。それでも喫茶店らしさみたいなものを崩さないように、ウチだって空気を読んで黙ってすました顔することだってあるのだ。いっつも騒いでるわけやないんですよ?面倒なことやった上で「もの静かな喫茶店定員」をやってるときが一番気分いいかもしれない。喫茶店経営の本もちゃんとこういうこと書いたらいいと思うなあ。文句つけときながらロクに読んでないんですけど。


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