コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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先の見通し

花粉症には辛い時期になってきました。葵は相変わらず平気なんで、掃除とかの外の仕事は妹に任せきりになってしまう。とは言いながらも、これでも色々良くなっているのだ。前は職場まで行くまですらしんどかったけど、今はあまり外に出る必要のない仕事なんでだいぶ楽。その上このあたりは花粉がそんな飛んでないっぽくって、今までよりずっと気分よく生活できている。空気清浄機も回せばさらにスッキリするし言うことなしである。

 

花粉症のお客さんからも「この店は気分が楽でいいね」と、花粉避けの場として評判なほどだ。実際、この時期の花粉症の人は、お店にいる時間が明らかに長くなったりする。花粉にお困りの方は、ぜひコトノコーヒーまで。来るまでの道のりで花粉の被害に遭う分には、当店は一切の責任を負いません。

 

前に書いたお酒のコーヒーですけど、一応いつ届くか決まりました。だいたい三週間ぐらい先なんでまだまだ後の話にはなりそうやけど。でもこうやって先の話があると、商社さんに豆を勧められたときに「そのうちこういう豆を買う予定があるので、すみませんね」って体よく断れるのは気が楽でいい。暴走しかけの葵を抑えるときにも「これ買う予定なんやからそんな余裕ないやろ」って風に使えてとても便利。計画立てるのは苦手やけど、たまにこうやって計画性のありがたさというものを実感するのだ。そのうち忘れるんやけど。

 

そうそう、ちょっと前に私の個人的な友人がお店に来てくれた。ここで書いたことがあるかは忘れたけど、何年か前に行った京都旅行で知り合った人で、今でもちょいちょい連絡を取り合っている仲だ。アホとは別ベクトルでめちゃくちゃ気が合う。あいつと遊んでいるのが本能的なものだとしたら、この人とはもうちょっと理性的な方面のお付き合いである。葵から「あの人と話してるお姉ちゃんは賢そうに見える」と、喜んでいいのか分からないお言葉を貰ったぐらいだ。たまにしか会えやんけど、こうやってこっちへ来てくれたり、逆にこっちから会いに行くこともある。

 

でまあ雑談してたら「計画性ないんよね~」って話が始まって。そうやって話しているうちに、この店この先大丈夫なんかと、ちょっとマジで不安になり始めた。こんな話赤の他人にできるもんでもないし、そこそこ真剣にこの話題を口にしたのは初めてやったかもしれやん。母親から「お店大丈夫なん?」と聞かれても「心配いらんて~」で済ませるのに、こういうときは何故かガチで怖くなるんやから不思議である。それまでため込んでた分とかもあったんかもしれやん。

 

でもその友達に軽く「たぶん大丈夫だよ」って言われただけで「まあ大丈夫か」とすんなりいつもの調子に戻れた。ウチがお気楽すぎるってのもあると思うけど、そのさらっとした一言でめっちゃ安心できた。公務員さんらしいので、普段から先を見通して仕事してる人にしか出せない説得力みたいなものがあるのかもしれない。友人に話すって大事やなと改めて実感した。なんにしても変にデカい不安はなくなったんで、またいつも通り、それなりにやっていこうと思います。とりあえず目の前のお菓子改良進めやな。

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