この前あてもなくテレビをつけたら、バドミントンやったかテニスやったかの大会が流れてたんで、スマホ片手にぼーっと見ていた。大会の規模もよう知らんだけど外国の選手が出てて、その名前を見たときに「コーヒーっぽい名前やなあ」と思ってしまった。その名前のどんな部分がコーヒーっぽかったのかと聞かれると説明しにくいけど、だいたいガ行バ行ラ行多めの「○○○○・○○○」って感じやったと思う。最後にナチュラルとかウォッシュドとか付け足しても違和感なしである。
その場で画面を撮って葵に「コーヒーの名前みたい」って送ったけど既読スルーされた。スタンプぐらいほしいもんやけど、この程度の下らん話題やとあの子にはよく既読無視される。代わりに家帰ってきてから「農園の名前が人名だったりするし似てるものなんじゃない?」みたいなお言葉を頂いた。言われてみればそうやったわ。でもその一言で済むんなら返信ほしい。お姉ちゃん寂しい。
念のため断っておくと、葵は別に冷たい人間ではない。もう他人に緊張することも少なくなって、お客さんとよく話す人懐っこい子になったぐらいだ。ただ、いらんものはいらんと言い切れるタイプの人間なのだ。最近葵と仲いいな~って感じで見てたお客さんが、突然葵に「いやそれは違う」的なことを言われて空振ってる姿はちょいちょい見る。商社さんの営業の人もミスってたりする。おばあちゃんの親切を「いらん!」って拒絶する孫みたいなあれだ。
これでも昔に比べれば相当改善した方なのだ。あの子が知らん間に身に着けてた社会性のおかげで、基本的には表に出ない。ただコーヒーとか好きなことの話になると変わってくる。身に着けた社会性はどこへやら、話にだんだん熱が入っていって、その状態で感覚に合わんことを言われるとその場で素直にぶった切ってしまう。もの静かな喫茶店のマスター、みたいなのをイメージして話に行くと途中から変なのが出てくるんで、あの子と仲良くなりたいよって方はそこらへんご注意ください。
あと自分で言うのもあれですけど、タチの悪いことにコトノコーヒーには私がいる。騒がしい姉と大人しい妹みたいな構図が出来上がるとイメージが余計に間違った方向へいってしまうのだ。ウチが手前でニコニコ接客してる後ろで、カウンターの奥の椅子に座って不愛想にコーヒーの器具準備してる葵がいれば、そりゃあ間違うというものである。こうやって「実際はウチの方がまともですよねー!」って話をお客さんにすると「君は君で変」と言われたので、ウチにはもうよくわからない。両方変です。