コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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急なお仕事

前に金髪ちゃんが出した五円玉、さすがに飾ってはないんやけど一応取っておいてあったんで、今日また2人がやって来た時に出した。金髪ちゃんは「どうぞ飾ってくれ」と言わんばかりの態度やったもんで、ウチも悪ノリして「じゃあこの辺がええかな〜」ってやりとりがあったけど、紫ちゃんがあまりにも必死になって止めてくるんで断念しました。あのときはその五円玉で大感激してたのになあ。こうやって彼女を金髪ちゃんと2人でからかってると、あんまりやりすぎると葵が飛んでくるので程々のところで止めておく。五円玉はこのまま保存しとくつもりである。

 

さて、この前3つの商社さんから一気に豆のリストを受け取った。例年のことってわけやないんで偶然タイミングが重なっただけっぽい。正直財布の方も大して余裕ないし、別に今仕入れ時でもないんで、あんまり買うのはちょっとためらう。かといって送られてきた以上無下にするわけにもいかず、どれを買うかの選別作業をしなきゃいけなくなったのだ。でも突然こういうイベントを放り込まれると頭がいっぱいになって、どっちも疎かになりがちなんで、とりあえず手をつけずにいつも通り仕事することにした。先延ばしにしたとも言う。

 

んで、一昨日細かいけど雨が降ったんで、この天気ならお客さんも少ないやろってことで葵と一緒に選別を始めた。データで貰ったものと紙で貰ったものがあったんで、データのは印刷してカウンターに広げた。このへん統一してくれると管理がマジで楽になるんやけどなあ。一応それとなーく言ってみたりはしとるんやけど、まあ個人経営の喫茶店が口出しできるところではないのかもしれない。

 

リストを2人で一緒に見ていって、気になったものに葵がチェックを入れる。それにウチが今の台所事情を考えながら決めていく感じだった。やりながら、何か前に葵と似たようなことした記憶がある気がするなあと思ったら、葵の大学の履修登録のときだ。葵が面白そうな授業にチェック入れて、ウチが必要な単位数やら時間割やらを考えて後から調整したのだ。こんなに一気に仕入れる豆決めたことは今までなかったのに、変なデジャブを感じた理由はそれだった。

 

似たような経験があったからか作業は結構スムーズに進んで、お客さんが来る前に終わらせることができた。サンプルの試飲ができるかとかも考慮すると、あんだけの量からでもだいぶ絞れるものだ。こういうところで姉妹の息が合うのは昔からやったんかなあ。


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