コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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外にばっか目を向けてもいられません

昨日は商社の人がやって来た。この前まで海外に出張してて、最近帰って来たらしい。色んな商社さんと関わらせてもらってるけど、こういう出張の話はちょいちょい聞く機会がある。現地のコーヒー事情なんかは葵が目を輝かせて聞いてたけど、ウチにはさっぱりだ。農園とか製法とか「そういやそんな名前見た気がするな〜…」ぐらいの単語が飛び交う会話になんて、とてもやないけど混ざれない。

 

それと、お土産にヘンテコな置物をもらった。四足歩行の動物っぽくもあるし、手足を地面に着けた人間っぽくもある。結局何の置物なのか聞きそびれてしまったから、また次来た時に聞こうかな。それか答えは聞かんと、いつの間にかコトノコーヒーに置かれた謎の像ってことにしてもええかもしれやん。葵に提案したら珍しく乗ってくれたし。でも言っといてあれやけどそれやと気味悪いし、気味の悪さが限界までいったら答え合わせにしようと思います。そんな単体で見たらちょっとアレな見た目でも、お店に置くと案外自然に溶け込むんやから不思議である。他のヘンテコ置物軍団と並べても違和感なし。あの商社さんは良いセンスしてた。今後とも仲良くしていきたい次第です。

 

ちなみにウチは海外に行ったことがない。韓国行きたいなーってめっちゃ思ってた時期もあったけど、気がついたら熱が冷めていた。日本以外に行ったことはないのに、商社さんからの話は聞くから妙に偏った情報だけ入ってくる。今のところ海外に興味はないけど、仕事が仕事やし、いつか葵と一緒に現地へ足を運ぶことになるんかもしれやん。今聞ける話だけでもちゃんと聞いとけば参考になるかなあ。

 

そうそう、これまで騙し騙しやってたけど、いい加減焙煎機の調子がヤバい。そろそろ素人が触れる範囲でどうにかなるラインを超えたっぽいのだ。まだ致命的な壊れ方はしてないけど、葵が焙煎し終えた豆を見て「ん?」って首を傾げることが増えてきた。なったもんはもう仕方ないし焙煎機くんはうちの生命線でもあるので、さっさと修理をお願いした。

 

もちろん修理代もタダじゃない。ていうか結構高い。騙し騙しやってたのにも理由があるのだ。でもコーヒーの味に影響が出るとなれば、さすがに腹を括るしかない。この前在庫切れかけの豆の追加発注を多めに行ったのも重なって、今やうちの財布はすっからかんである。海外旅行の計画以前に店の経営が安定してないのではいけない。こういうときも葵は「まあどうにかなるでしょ」ってスタンスやし、ちょーっと頭が痛いな…。


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