コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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遠くからの常連さん

今日は女子高生らしきお客さんが三人でやって来た。いつもの女子高生組とは違う、初めて見る子たちである。そもそも、うちに学生さんはあんまり来やんし、来たとしても一人で豆買いに来ましたって感じの子が多い印象だ。まあ立地的にも店の雰囲気的にも、学校帰りに友達と駄弁る場所としてはイマイチなんやろうなあ。とにかく、初めて見る顔の女子高生三人組のお客さんっていうのは、コトノコーヒーでは外国人観光客とかよりもよっぽどレアなお客さんなのだ。ウチはちょっと身構えるし、葵なんか「お店に入って来たのにも気づいていません」みたいな感じで、器具いじりながら知らんぷりである。

 

勝手に警戒しとるウチらをよそに、その子ら三人のうち二人が席に着いて、眼鏡の子だけ、先に焙煎豆の注文をしにカウンターへやって来た。そのときに「お店に来るのは初めてですけど、いつもこちらの豆を買わせてもらっています」と、丁寧なあいさつを頂いたのだ。礼儀正しい子やなってことでウチの変な緊張は解かれ、ついでにコーヒー好きが来たことを察知した葵がこっちへ寄って来た。マジでこれだけでこの子の警戒は解かれるので、いつか知らん人にホイホイついてってしまわんやろうかと、かれこれ十数年前から心配している。

 

それはともかく。通販の方でだけ名前をよく見る人はまあまあいる。正直覚えてるか自信なかったけど一応名前を聞いてみたら、ちゃんと覚えてる名前だった。なにせ毎度宛先が北海道やから印象に残るってものだ。ウチの中では「北海道の○○さん」って記憶されてたけど、勝手にもうちょっと年上の女性をイメージしてたんで、まさかの女子高生と知ってびっくりだ。

 

すると今度気になるのは、なんでそんな遠いところからわざわざ、ってことである。しかも友達引き連れて、こんな何もない場所のちっぽけな喫茶店に。それをそのまんま伝えたら、今は友達と旅行中、今日はこの辺(って言うても電車で30分ぐらいの距離の場所)へ友達と一緒に来てて、せっかく近くに来たんやからってことでここまで来てくれたらしい。わざわざありがとうございます、ホントに。ウチは有難いやら申し訳ないやらって感じやったけど、葵はウキウキでコーヒー談義を持ちかけに行ってた。他の二人待たせちゃってたんで後にしてもらったけど。

 

しっかしこうも時間かけて来てもらってると、店側としても気合が入るってもんである。焙煎豆はめっちゃ丁寧にラッピングさせてもらいました。でもさすがに「また来てくださいね」とは気軽に言えやんだなあ。

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