コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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お店には間違いなく必要ですし

この前、スーパーでよく並んでる1リットルの紙パックのコーヒーが半額になっていた。スーパーで半額、と聞けばとりあえず食いつくのがウチである。ついつい手が伸びかけたけど、家じゃあ頼んでなくても葵が自分のコーヒーのついでに淹れてくれるわけやから、買ったとてお世話になることはないだろう。なんなら、あの妹のことである。冷蔵庫に入った紙パックを見られたが最後、他の女の私物でも見つけたみたいに詰め寄ってくること間違いなしだ。

 

まあどうせ買っても飲まんしな、と思ったところで、隣に同じく紙パックのレモンティーが割引になってたもんやから、伸ばしかけた手をそのままレモンティーの方へ持って行って、カゴに放り込んだ。

 

しかし、何の理由もなく安くなる商品なんかないわけでして、まあ賞味期限が近かったのだ。おかげで最近は、ちょっとでも「リラックスしたいなー」と思ったら、キッチン行ってレモンティーを多めに注いで、立ったまま二口三口で飲み干すというのをやっていた。果たしてこれで本当にリラックスできているのだろうか。いやおいしいんですけどね。

 

しかも結局、葵に問い詰められた。いや、問い詰められたっていうのは言い過ぎかもしれやんけど、とにかく葵がムスっとされた。コーヒー淹れてもらっとるときに「そういえば、あの紅茶どうしたの?」と聞かれたのだ。「安くなっとっただけやけど」って答えたら返事は「ふーん」でそのまま終わったんやけど、何か言い訳してるみたいな気分やったな。その後葵が飲んでる姿を見かけたんで、まあ許されたことでしょう。

 

お店で出しとる紅茶も、想像していたよりも注文されている。最初は何から何までコーヒーばっかりのお店やったから、メニューに追加したはいいものの果たしてどんだけ頼まれるんやろか?という感じだった。仕入れる量なんかも色々考えさせられたものである。それからちょっとずつ注文が増えて行って、今では紅茶の注文も珍しくない。いや、喫茶店で紅茶が珍しいってのも変な話やけど。嬉しかったのは、二か月に一回ぐらいの来店ペースだったお客さんが、紅茶が追加されてからは三週間に一回ぐらいは来てくれるようになったことだ。「近くに喫茶店あるけど、コーヒーばっかだしねー」と足がやや遠のき気味だったところを、紅茶君が引き止めてくれたらしい。紅茶派のウチとしては、なんとなく葵に勝ち誇りたい気持ちになった。

 

そんなこんなで、たまーに葵が紅茶飲んでるところを見ると、何となく嬉しくなって腕組んで頷きたくなる。別にあの子紅茶きらいってわけでもないんやけど、我ながら鬱陶しい姉である。姉はこんなやし妹はムスっとなるし、もしかしたら我が家に紅茶は面倒しか生まない…?いやでも、おいしいから、おいしいから…。

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