コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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あんこには合っても

あんこ系の和菓子はわりとコーヒーに合うと今更ながらに気づき、メニューにようかんでも加えようかと思ってます。ようかんってキッチンで作れるもんなんかも知らなかったけど、ネットで調べたらレシピがいっぱい出てきたので、多分できると思う。最近は既にあるもののアップグレードばかりだったので、久々に食べ物担当として腕がなるというものだ。乞うご期待。サボりがちな私でも、こんだけブログに書いておいたらもう後には退けないだろう。

 

さて、つい先日、前に来てもらったイタコさんがまたいらっしゃった。しかも今度はお仕事終わりじゃなく、うちを目当てに来てくれたというのだから、お店を経営している側としては嬉しいものである。例のお高い豆をご所望だったので、残り2袋分のうちの一つを渡した。

 

その日は1人じゃなくて妹さんたちも一緒に来ていた。妹さんは2人やったんやけど、小さい方が小学校高学年と言っていたので「えらい年の離れた妹さんなんですね」と話すと、イタコさんが笑いながら自分の年齢を教えてくれた。めっちゃ若かった、なんなら年下でした。いや、前は着物と化粧の感じもあってめっちゃ大人っぽく見えたし、あれは仕方ないと思う。本人も言われ慣れているようで笑って許してくれたけど、接客をする側の人間としては結構な失言だったと思うので、今度からは下手に年齢を話題に出さないよう気をつけよう。

 

もう一人の妹さんは高校生らしくて、カフェをオープンするのが夢だというのだ。これは先達としてえらい顔できるかと思ったら、カフェはカフェでも結構特殊な感じみたいで(ずんだカフェって言ってた。なんか怖くて詳細は聞いてない)、私たちの方から教えられることは多くなさそうだった。なんならコーヒーがあるかどうかも怪しそうである。コーヒー以外でも適当に適当を重ねたような店のつくりなんで、「なんかそれっぽいもんを目指したらできる!」という何の中身もないアドバイスしかできなかった。情けない先達である。

 

体裁を保つためにも一応葵に、ずんだ餅に合いそうなコーヒーってあるん?と聞くとそもそもずんだ餅を食べたことがないという。そういやウチも友達と遊びに行った先で食べたとかで、誰かが持って帰ってきて家族で食べたようなことはなかったはずだ。すると、葵の言葉を聞いた妹さんが目を光らせて、バッグからずんだ餅を取り出して「食べてみてください!」と言ってきたのには流石につっこんだ。喫茶店で飲食物を取り出すなよ、なんてことはこのお店じゃ今更なんで特に何も思わんかったけど、バッグからずんだ餅が出てくればツッコミの一つもいれたくなるというものである。書いてて思ったけどずんだ餅って保冷剤とかいらないのだろうか、バッグの中に保冷剤も入ってたの…?

 

葵はそれを口に入れたあと、目を瞑って俯きながら咀嚼し、飲み込んで「なるほど」とつぶやいた。ウチにはわかる。あれは多分、ずんだ餅が口に合わなかったのだ。「いい感じのものがあったらお伝えしますね」と連絡先を交換して、葵はちょっとの間奥に引っ込んだ。優しい子なので、多分これから先もコーヒーを飲む時意識するだろうし、見つかれば連絡するだろう。

 

あ、末の妹さんがそれなりの豆のコーヒーをブラックで注文されて、例のあの子を思い出して身構えたけど、五分の一くらいまで飲んで、あとはミルクと砂糖を入れてました。そうそうこれや、これが普通やんな。


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