コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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常連さん特典

ありがたいことに、私たちのお店にも常連客と呼ぶべきお客さんがいる。コーヒー以外のメニューが少ないことや多種多様なコーヒー豆の販売をしているのが理由か、硬派というか、落ち着ける居場所を求めているというよりコーヒーを楽しみに来る人が多い。なので、若い女の子二人という常連さんは、結構印象に残っている。

 

お客さんについてこの場でやたらと書くのもアレなので詳細は控えるけど、多分高校生くらいだと思う。飲み物はコーヒー、カフェオレ、それと申し訳程度のココアだけなのに、よく来るなぁ、と思っていた。コーヒーが好きにしても、一人ではなく二人揃ってというのも珍しい。一応、若い子が一人で来ることはある。

 

彼女たちは年頃の女子のわりに静かだ。私があの子たちくらいの頃はそれはやかましく、同じ部のとある男子から「いつから部室は猿山になったんだ」と言われたこともある。流石にあいつの言い方が悪いやろ。今度出会い頭に叩いたろ。

 

一人は大人しそうな雰囲気なのだが、もう片方が金髪でギターケースを背負っているときもあり、普段来ないタイプのお客さんに身構えたおぼえがある。けど身構え損というか、二人で静かに談笑して去っていった。近くに新しく喫茶店ができたらしい、友達と一緒に行こう、というのは高校生ならありそうな話。そして店に入ってメニューを開けばコーヒーのバリエーションが豊富で他のメニューがろくにないとなれば、そうやって店に入った子なら後悔して二度と来なさそうなもんやが、それからも定期的にいらっしゃってすっかり常連客。ウチの何を気に入ってくれているのだろうか。アンケート用紙でも設置しようかと思ったが、多分お店の雰囲気が崩されるので、やめておく。

 

常連客といえば、お店に何度も見えるお客さんがおると、葵がその人の好みを把握してくる。接客は基本的にウチの仕事やけど、「○○がオススメですよ」とギリギリ届くか届かんかくらいの声がカウンターから聞こえる。お客さんに聞こえてないようなら、ウチがそれを復唱するというのがお店で定期的に起こる。これを体験できればあなたも立派なウチの常連さんだ。

 

ちなみに店の命名に関わったアホの友人も用事で近所に来たら結構な頻度で寄ってくれるけど、アレを常連扱いするのは他の常連さんにも失礼な気がするのでしてやらない。大学時代、生活費が底をついてくるとウチの部屋に転がり込んで月末まで居座るようなやつだ。一応恩を感じているのか機会があるとちょいちょい贈り物なんかもしてくれるけど、それとこれとは話が別や。葵の目に入ったら良くない影響があるかもしれやんし。

 

そういえば、妹が通販を始めようとしているので、あいつにはコッチで売上に貢献してもらいたい。「コーヒー以外のことはウチに任せとけ」と言い切った記憶があるが、パソコンやらなんやらはサッパリなので、妹の方に任せっきりになっている。こういうとき「何かウチにもやれることない?」と聞くと「お姉ちゃんは何もしないで」と言われるのがオチだと知っている。しくしく。

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