コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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そんな予定はないけどね

休み前後の忙しさもようやく完全に消え去り、いつものコトノコーヒーらしくなりつつある。ここ最近はバンバン新しいのを仕入れまくってるけど、それももう落ち着いていくと思います。忙しい時期さえやり過ごしてしまえば、あとは椅子にでも座ってゆったりと過ごせる気楽な仕事である。葵は趣味を仕事にしてウチはそれに乗っかってるような形やけど、よくもまあこんな仕事ぶりで生活が成り立っているものだ。きっとありがたいことだと思う。

 

しかし、忙しくなくなるということは、普段と違うこともあまり起きなくなるということで。さあ何かブログに書くものはないかと考えていると、常連の先生さんが、コーヒーを飲む前にメガネを外しているのが目に映った。これは、葵もたまにやってるやつである。そっちの方がリラックスできるらしくて、似たようなことする人がおるんやなあとぼーっと眺めていると、どうかしましたかと聞かれてしまった。喫茶店で、店員がカウンター越しにじっと見つめていたら、そりゃ気になってしゃーないはずだ。ワケを話せば、葵と似たようなことを言っていたから、メガネかけてる人にとっては結構あるあるなのかもしれない。

 

そのままだらだら話を続けていると、先生さんが「そういえば、ご姉妹で喫茶店をしているんですよね?結構珍しいですね」と言った。何をいまさらと思うかもしれないけど、これが意外と振られない話題なのだ。品揃えの方に特徴がありすぎて、姉妹で経営してるという部分に気づかれにくい。馴染みの業者さんからも、「女性の方がやってるお店なんだなと最初は思った。姉妹だと気づいたのは一月くらいたった後」と言っていた。じゃあどんな人たちがやってるイメージありますか?と聞けば「夫婦で一緒にっていうお店は多いと思いますね」と返された。

 

なるほど、確かに言われてみれば、今まで行ったことのあるお店も夫婦でやってるところが多い気がする。将来ウチか葵が結婚したらそうなるんやろかと想像してぞっとした。もし葵がいい人を見つけて結婚して、その人も経営に加わるとなれば、ウチの場違い感が半端じゃない。夫婦経営の喫茶店に紛れ込んだ異物と化す。かといってまた保育に戻る気にもなれそうにないし、そうなったらどうしようか。ていうか旦那の方が姉妹経営の喫茶店に紛れ込んだ異物やんけ、あっちをつまみ出してやろう。

 

しかし、それもこれも葵が結婚しなければいい話だ。振り向いて「くれぐれも結婚なんてせんと、ウチと仲良くやっていこな」と葵に言ったら「そんなこと言いながら、お姉ちゃんのほうが先に結婚しそうで怖い」と言われてしまった。先生さんもうんうんと頷いている。こうなったらだいたいウチが間違っていることが多いんで、まるで納得いかんけど、反論はしない。

 

まあどうなろうと、コトノコーヒーは我ら琴葉姉妹のお店である。追加で増えようが減ろうが、ウチらはずっとお店に居続けるつもりだ。ほら、美人姉妹をお目当てにしてくれてるお客さんもいるかもしれませんし…?

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