コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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おでかけ

この前の休みの日に、外に出たがらない葵をひきずって買い物に出かけた。あの子はほっとくとマジでずっと家の中にいる。昔は、それこそコーヒーを買いに出かけることもあったけど、今じゃ自宅で好きなコーヒー飲み放題なわけで。たまーにお客さんからオススメのお店の話とかを聞くと出かけることはあるけど(店で別の喫茶店の話なんて普通する?別にいいんですけど)、基本は家にこもりっきりである。外に出ないと気が済まないウチとはえらい違いだ。まあ健康にもよくないよねということで、強引に家から連れ出したわけだ。

 

それで、いつもなら電車で15分くらいの距離を二人で喋りながら歩いた。最初はいやいやついてきてた葵も、まあ楽しく喋りながら体を動かしてれば、気分もよくなったみたいだった。ただ、服とかを買うつもりやったけど、歩いて帰るのに衣類はさすがに重たいなあとなって、お店に置けそうな小物を適当に見繕うことになった。気づいてるお客さんもちょいちょいいらっしゃったけど、窓のところに変な顔した鳥の置物が増えています。あとカウンターに、これ以上は言わんとこか。自分の目で確かめてみてね。

 

買い物も終わって、予定より早くなっちゃったけど帰ろうかというところで葵が、せっかく外に出たなら飲んでいきたいと、スマホで近くのコーヒー屋を調べ始めた。しかし地図のアプリを見ても、チェーン店だったり何か違うなと感じて却下されたりで、葵のお眼鏡に適うような場所はなかった。アプリに表示されたうちの店が結構な高評価になっていて、二人で画面を覗きながらニマニマしたぐらいである。結局、たまにはチェーン店の喫茶店にでも行こかとウチが提案して、そこに行くことになった。いやー、さすが全国展開されてるだけはある。意味のわからん袋も置いてなければよう知らん絵も飾ってない。雰囲気づくりという点では学びはあったと思う。なんか期間限定みたいなコーヒーがメニューに載ってたから葵がそれを注文したら、たいしておいしくなかったらしく、終始微妙そうな顔をしてたけど。期待しないまま店に入って、期間限定みたいな特別感にちょっと期待が回復したけど、また落とされたようだった。かわいそう。ウチみたいに、なに飲んでもうまいうまいと繰り返してるくらいのバカ舌の方が幸せなのかもしれない。

 

そうしてチェーン店から得た学びは特に活かされることもなく、わけのわからん小物が追加されたのであった。見てたお店に麻袋も置いてあったから、ずっと一人じゃ寂しいやろうし、ここらであの子にもお仲間を増やしてあげようかと言ったら、葵に本気で止められた。「お姉ちゃんはホントにそういう理由で増やしかねない」ってさ。あんまり否定もできないんで、黙って受け入れた。

 

なんかいい感じのものとかあったら、教えてくれると助かります。どうせコンセプトも何もないんやから、それっぽかったらどんどん増やしていけばいいのだ。十年後とかはえらいことになってるかもしれない。


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