今日、アホが招き猫を抱えて来店した。その絵面のあまりの訳の分からなさに、ウチも葵も呆然としてしまって、声をかけるのも忘れてしまう。気を取り直してなんでそんなもん持ってきたんかと聞けば、「内装用にいい感じの置物と、衛生面で心配のいらない猫が欲しいんだろう?ほら、両方持ってきてあげたよ」などとほざきやがった。はじめはなんのことかと思えば、なるほど確かに、ここ最近にブログでそんなことを言った気もする。葵は後ろでクスクス笑ってた。これで普通の招き猫なら、喫茶店には合わんやろって突き返せるのに、これまた珍妙なデザインをした変な招き猫を持ってきてて、まあ店の雰囲気に合わんこともないぐらいのもんやったから、一応置くことになった。この前買ってきた鳥と鹿の置物もたいがい愉快な見た目をしてるので、今更というのもある。アカン、このままやと変な動物の置物ばっか集まりそうやわ。別に集めてるわけやないんで、そんなんばっか持ってこられても困りますからね?あとで招き猫の値段を聞いたら、こんな間抜け面やのに結構な高さだった。やっぱあいつは金の使いどころを間違えてると思う。
とは言うものの、最近、ウチらもお金の管理が甘くなってきている。理由はわかっている。欲しい豆の話を聞けば葵がそれを欲しがり、ウチもまあ葵が楽しそうやしえっかと許可を出し、そのロクな見通しも立てずに仕入れた豆が何故か売れるからだ。なまじ売れてしまうだけに、まあ多少無茶したところで結局売れるから生活が苦しくなるわけでもないしーとか考えてしまう。ブラジルのやつを筆頭に、葵が欲しがるわけではないけど需要があるものはウチが仕入れの管理をしてる。なんなら商社さんのほうで「これはコトノコーヒーさんの分」っていう在庫を確保してもらえてるみたいなんで、ウチ自身はわりと適当にやってるんやけど。ウチがお店のお金とかは面倒みるから、葵は好きなことしてなーっていうスタンスのはずが、まるでちゃんと管理できてないのが現状である。
そんなわけで、ウチもこっから頑張らんといかんと思い立った次の日に、いらん置物を買ってきたわけだ。マジでそろそろ「茜さんはなんでお店にいるんですか?」とか聞かれかねない。この招き猫に毎日拝んどけば、これから先も適当にやって生活が成り立つとか、ないだろうか。そう思えば、おかしな顔もどことなくご利益のありそうな表情に見えなくもない。今度から招き猫に拝み係として生きていこうか。そう思って、その招き猫の前で手を合わせてみたら、アホに「間抜けが間抜けを拝んでる」と指をさして笑われた。お前も似たような顔しとるやろとムカついたから、頭を押さえて無理矢理拝ませたった。ていうかお前が買ってきたんちゃうんかい。
ただ、毎年なぜか売り上げが落ちる月があるので、そんときまでには調子を取り戻しておかないといけない。あ、拝んでばっかりじゃなくて、ちゃあんと料理の方もしてますよ。レモンケーキできたし。なんかちょっと、裏メニュー的な感じにしてみようか。注文の途中で招き猫を拝んだらそれがサインとか、どうですか?だめ?