例のお茶請けの件、ケーキ系の材料の余りを適当に混ぜ合わせてそこに砂糖をちょっと足した焼き菓子もどきみたいなやつが、一応できたにはできた。いろいろごちゃ混ぜになってるから味はよくわからんしほんのり甘いかなあ程度やけど、コーヒーに勝手についてくるやつとしては十分やろ、という具合のもんである。いっぺん葵に試してもらって、「まあいいんじゃない?」みたいな反応をもらったあと、お客さんにも試してもらったら、まあ、似たような反応だった。おいしさ目指して作ったわけやないしこれでいいはずなんやけど、なんとも不安になるというか、頼りないというか。コーヒー飲んでる間に挟むにはちょうどいいとは思う。今日からお出ししています。
さて、そんなものを出し始めたその日にちょうどやってきたのが、高校生ちゃんらである。今日は後輩ちゃんもいた。この子の食いっぷりは前にも書いたと思う。お店を葵に任せて外で掃除してるときだったんで、急いでお店に戻って準備しやなと片付けを始めたら、先輩二人にちょっと笑われながら、このあと別に食べに行く予定があって、今日うちではあんまり食べていかないと言っていたから少しホッとする。コーヒー目当てのお客さんが多いんで、ウチは基本は接客で、注文が入ったら厨房に入る感じなんで、この子が来たときの慌ただしさに、あまり慣れていないのだ。
後輩ちゃんはココアを注文したんで、例の焼き菓子もどきはついてこやんかったんやけど、大人しい子の方のコーヒーについてきてたのに興味を示した。まあどうでタダで出してるもんやし大しておいしいものでもないし、別にええかと思って出してみた。
そしたら後輩ちゃんはココアそっちのけで焼き菓子もどきをパクパク食べていって、あっという間に平らげてしまったのだ。いくらこの子が食べるのが好きでも、このさしておいしくもないものに食いつくとは思っていなかったから驚きである。味が薄いから無限に食べられるらしい。その様子を見てた先輩二人も後輩ちゃんに焼き菓子もどきを献上して、後輩ちゃんはご満悦だった。それ以外には小倉トーストをひとつ頼んだだけやったけど、中身スッカスカとはいえあの量のお菓子と小倉トーストを食べてまだ食べる予定があるとは、あのちっちゃい体のどこに収まってるのか不思議でならない。あ、お代は当然のように先輩らが払っていました。後輩ちゃんもおごられ慣れているというか、図々しさみたいなもんもなくそれがさも当然みたいになっていた。ウチもこの先輩二人の立場やったら同じことしてたんかもしれやん。おっかないなあ。
その焼き菓子もどきですけど、できる限り余りものだけでまかなっていきたい方針なので、その日その日で若干味が違うかもしれませんが、ご容赦ください。味うっすいしわかりやしないと思うけどね。