コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

53 / 173
コーヒーとねこ

前の野良猫を今日また見かけた。けど、近所の人から名前を呼ばれてそっちに走っていってたんで、もうそのおうちの子になってしまったのかな、と思う。けどまあこういう野良猫は、いろんな家でエサをもらい、その家によって違う名前で呼ばれていたりするものである。そんな話を母から聞いたおぼえがある。というわけで、そんとき店にいたウチ、葵、アホ、そしてその妹さんの四人で、ウチらが呼ぶ名前を考えることになった。ちなみにアホの妹はこの日初めてお店に来てくれてた。姉と違って真面目でまともな子なんで、初来店からこんなことに巻き込まれてかわいそうやなあと思う。ほかにお客さんもおらんし身内だけやしで、この日はお昼の喫茶店らしからぬ盛り上がりをみせた。話し始めたときは窓越しに見えてた肝心の猫もいつの間にかおらんくなっとるのに、やたら盛り上がったなあ。

 

こんときばっかりは今までの反省もあって、あいつの勢いに流されやんように踏ん張ってみることにした。そしたら、妹さんのまともな案を無視してバカ二人の意地の張り合いが始まってしまったのだ。あ、葵の案はひどかったです。本人の名誉にも配慮してここでは言わないけど、本人は自覚がないようなんで、直接聞いてみれば答えてくれると思う。ウチとアホのウケ狙いみたいな案と謎の自信を持って一歩も譲らない葵の案の衝突を見かねたのか、妹さんが三人のやつを混ぜ合わせた感じの適当な落としどころを提案してくれて、まあそれでえっかということで決まった。ここにその名前を書くんは控えておこうと思う。各々が好きな名前で呼べばいいのだ。ていうか、別にうちで飼ってるわけでもなければエサの一つもやったことないし。触るのだってよくないような立場の人間が勝手につけた名前である。

 

猫といえば、猫のフンからとれるめっちゃ高級なコーヒーがある。あれはウチもドラマか映画やったかを見て、お店を始める前から知っていた。わりと有名なやつやと思う。あんまり高級品やから、農園にネコを解き放って作られたようなよろしくない豆まであるみたいで、前にうちが少しだけ仕入れることができたときも、ちゃんとしたものですっていう保証書とかついてきた。それを目当てに来てくれたお客さんの中にはその保証書を見せてほしいって人もいるぐらいである。作り方が作り方やから、こんなに丁寧な扱い受けてるのが素人の目には不思議に映ってしまう、味はめっちゃおいしかった。そんな高いのをウチなんかが一杯飲むのももったいないと思って葵のを一口飲ませてもらったんやけど、一口でもすごい衝撃だった。次また入るようならそのときにまた全力でお知らせするつもりです。葵やないんやけど、マジで一口飲んでほしいと思ってしまう。一口サイズなんて用意しても300円とかになってしまうんやろか。

 

最近はホントに値上がりしてるみたいです。ウチらも計画持ってやってこうと思ってるんで、皆さんも財布のひもがゆるまないようにお気を付けを…。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。