コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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思い出の品程度でも

この前、届いたサンプルを葵と一緒に試飲した。基本的に試飲のときは葵が先に一口飲んで、ウチが好きそうな味かどうかを言ってからウチが飲むというのが流れになっている。ただ、今回は葵が一口飲んだあと目を瞑ってちょっと悩んで、そのまま「どうぞ」って感じで手を差し出してきたのだ。なんかようわからんけどとりあえず促されるままに飲んでみたら、これがなかなか私好みの味だった。いやと感じるような酸味もなくて、まあまあミルクなしでも飲める感じのやつである。それをそのまんま葵に伝えたら、祈るようにこっちを見つめてた葵はその場で小さくガッツポーズをして喜んだのだからわけがわからない。なんでもウチの好みかどうか判断しかねたらしく、不安なままウチに託したらしい。いや、そんなもん託されても。たまにこういう「お姉ちゃんの好みかどうか微妙」ってときはあるんやけど、そのへんが今までで一番微妙だったみたいだ。

 

前に一回、別に好きでもなかったけど葵が落ち込むかなーと思って嘘ついて好きって言ったら、そのあとの飲むペースと量が本当に好みだったときとは違ったらしく、あっさりばれたことがあった。そんとき「人には好みがあるんだから別に苦手なら苦手って言えばいいのに」みたいなこと言われたけど、あの子めっちゃ表情に出ますやん…?たぶん、そこそこ葵と親しいお客さんならみたことあるでしょ、あの子犬みたいなしゅんとした顔。そら嘘の一つもつきたくなりますよ。

 

そうそう、この前金髪ギターちゃんが初めて豆を買っていった。豆、粉ではなく豆である。私が驚いて注文を聞き返せば、ちょっと前にコーヒーミルを買ったらしい。「せっかくこんなちゃんとしたお店に通ってるんだから」って言ってたけど、相方はしょっぱなからミルは早いと思ってるみたいやった。葵も同意してたし、ウチもそう思う。この子はウチと同種なのだ、ウチにはわかる。最初のころはノリノリでミルを回しててもそのうち手入れとかも面倒になってきて、どっかの棚の奥の方にしまわれるか、インテリア感覚で飾られるかするのだ。そして大学生ぐらいになったときに「そういやあんときノリで買ったミルがあったな」と取り出し、それを一生繰り返すのである。頑張れ、金髪ちゃん。でもまあ、今友達と楽しみを共有するためのものとしては、そんなに悪い買い物でもないんじゃなかろうか。ただ、金髪ちゃんの「いつもの」を家で再現しようと思うと、ホイップを作る道具がまた別で必要やな。

 

あ、ブログ上やから金髪ちゃんって呼んでるのであって、実際の名前はちゃんと知ってますからね?勝手にゲームのキャラクターに例えられてたからって裏では金髪ちゃん呼ばわりしてるなんて、まさかそんなことするわけないやないですか。ねえ?

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