コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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ずんだオーディション

昨日、イタコさんが三姉妹そろって来てくれた。この日は朝早くにこっちの方で仕事があって、お昼からは妹さんらと適当に遊んで帰るという予定だったらしい。その遊びに寄る場所の一つにコトノコーヒーが入ってたということで、ありがたい話です。イタコさんの名前は通販の方でよく見かけるので、見つけるたびに何だか嬉しくなるし、こうやってたまに来てくださるだけでテンションが上がる。長い休みの間にしか会えやんいとこみたいな感覚だ。親戚でもない他人に変な感情抱かれて迷惑な話なんかもしれやんけど、こっちは勝手にワクワクしています。

 

次女ちゃんは席に着くや否やといった感じで、葵にずんだ餅に合うコーヒーは見つかったか聞いていた。前と変わらず、その辺の熱量はすごい子だ。葵はそれに「ちょっと待っててください」と言って(このときちょっとニヤっとしてたのをウチは見逃していない)奥に引っ込んでいってしまった。そうなると、戻ってくるまでイタコさんと末っ子ちゃんは完全に待ちっぱなしである。ウチが勝手にコーヒー淹れるわけにもいかんし、試作品のチョコケーキをちょっとだけお出しして誤魔化していた。お客さんをほったらかしにするのはお店としてもあれなんで謝ったけど、次女ちゃんもまあよくあることらしくて。お互い妹が大変ですね~みたいな話になった。葵に聞かれていたら殴り飛ばされていたに違いない。嘘、あの子は優しいのでそんなことしません。かわいらしく怒るだけです。あとその話のときに末っ子ちゃんがイタコさんを白い目で見てたような気もするけど、気にしない気にしない。

 

それからちょっとして、葵が三つのちっちゃい紙コップにコーヒーを入れて戻ってきた。今度は明らかに得意げな顔をしてた。次女ちゃんも待ってましたという風に前みたいにずんだ餅を取り出して、いざ実食である。このとき葵が持ってきたのは、多分合う、合うかなあ、ワンチャン合うか…?の三種類だ。神妙な面持ちでずんだ餅とコーヒーを交互に口に入れる次女ちゃんを他の四人がじっと見つめる謎の光景ができあがっていた。特に葵は次女ちゃんの反応に合わせて表情が変わるのが面白かった。

 

結果、優勝したのは多分合うやつでした。ウチも試させてもらったけど、めちゃくちゃにマッチするわけやないけどまあ合うかな、といった感じだった。そもそもずんだ餅とコーヒーって組み合わせの時点で無理があるやろうし、ここまでいけたら十分やと思う。いずれずんだカフェができたら、このコーヒーがメニューに載るのか、期待である。

 

末っ子ちゃんは今度こそ何にも頼らずブラックを飲み切ってやろうと意気込んでたんで、イタコさんから頼まれて飲みやすそうなコーヒーを出した。クセもなくてすっきりしてて、その分ちょっとお高めなんやけど。最初は気を張ってた末っ子ちゃんも次第にグビグビ飲めるようになっていって、飲み切った後には清々しいほどのどや顔を見せていた。人はこうやって周りに見守られながら成長するんやなあと思いました。

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