昨日、お店が終わってからちょっと用事ができて、電車でわざわざ隣の市まで行った。夜中に車を出す気にはならんかったんと、用事の内容というのが「財布を落としてしまったから駅まで来て電車賃を渡してほしい。もしくは車で家まで送ってくれてもいい」というものだったからである。よく知らん町で酒を飲みまくって酔っ払って、挙句財布を無くした上に「別に自宅まで送ってくれたっていいんだよ？」などと電話越しで図々しく抜かすドアホを車に乗せてやろうとは思えるほど、ウチは優しくない。
後で葵に事情を話したら「夜中に酔った女の人を一人で帰すのはまずくないか」と言われたけど、何かそのへんは特に心配にならなかった。なんでやろ、あいつが何かしらの被害に遭ってる姿が想像できないのだ。家に帰ったあとラインを見たら、自分の部屋でわけのわからん踊りを踊ってる一分ぐらいの動画が送られてきたんで実際大丈夫だったんだと思う。ちょうど帰ってきてすぐ酒を飲んでたところだったんで、私は送られてきたそれを見て爆笑し息が苦しくなって、葵に心配された。今朝見ても何も面白くなかったんで、お酒は怖いなあと思う。
そんでまあ金を渡してから家に帰る途中の話になるんですけど、乗ってた電車の扉が開いたときにめっちゃコーヒーの匂いがした。勝手知ったる地元というわけでもないけれど、お店を開いてからはずっとこの辺で生活してるわけで、少なくともその駅の周辺に喫茶店があるなんて聞いたこともなかった。近くに喫茶店があろうもんなら葵が真っ先に飛びつくやろうし（敵情視察とかではなく単純にコーヒー飲みたさで）、あとそんときは気づかんかったけど、夜中に喫茶店が営業なんかしてるわけもない。変やなーと思って外を見渡してたら、その匂いの元を見つけた。コーヒーの自販機が開いてたのだ。
ほら、駅によくあるその場で飲めるあれだ。それが何か作業してるみたいでパカッっと開いてたわけである。あんな狭い機械の中で挽いて淹れてを繰り返してたら、そりゃあ匂いもしてくるだろう。いや、地方都市一歩手前みたいな町の駅で自販機が開いてたからめっちゃコーヒーの匂いがしましたーっていうオシャレさゼロの話なんやけど。普段お店で飽きるほど嗅いでる匂いなんで、謎の懐かしさすら感じた。コーヒーの匂いで懐かしさを感じるとは、いよいよ毒されてきてる気はする。
あんまり寄る場所じゃないけど、今度行ったら一杯飲んでみようかなと思う。いやどうやろ。お店始めてからある程度上等なコーヒーばっかり飲んでるから、もう自販機程度じゃ満足できないかもしれない…。わりとまじで。