コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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オアシス的な

さあさあお店も忙しくなってまいりました。バイトの高校生ちゃんは今日は予定があったらしく明日からなんで、これまで通りのあわただしさです。今もクタクタになりながらこのブログを書いてる。せやけどまあ、明日からはこのしんどさも多少は楽になると思えば気持ちも楽である。とは言っても、まだお店に届いてるのは三種類だけでまだあと二つ控えてるんで今日なんてまだマシな方やろうし、いうても忙しさ自体は今日とあんまり変わらんかもしれやん。特に近所の常連さんなら基本一袋、多くて二つとかだから焙煎もそんな時間かからんけど、遠くから来てくれてるようなお客さんは一気に六とか、多いと十袋とか買ってくこともたまにあるから大変だ。焙煎済みのやつをある程度は用意してあるとはいえ、やることが多くなる。

 

あ、今回の無茶な仕入れ方も例によって利益のこととか何も考えずやったんで、忙しさのわりには儲からない感じです。何かこうやって書くと「お店の利益よりお客様第一!」みたいなアピールに見えるけど、実際のところは何も考えてないだけである。強いて言うならお店やお客さんより葵のやりたいことをしてるんで「葵第一」だ。よう経営成り立っとるな。この前いくつかお世話になってる商社さんの内の一つの担当さんが変わったんやけど、今回の仕入れラッシュの話をしたら「お店は大丈夫なんですか?」と心配されてしまった。そりゃああんなのを初めて目にしたら何でやっていけてるのか不思議やろうなあ。なんならウチもいまいちわかっていない。その辺は葵の方が肌で感じ取っていそうではある。

 

今日の営業が終わって、葵がようやく落ち着けるといった感じでコーヒー淹れて飲んでた。さっきまであんな焙煎しまくってめっちゃ匂いしてるところにいたのにマジかこの子思ったけど、葵らしいっちゃらしい。ウチも飲むかどうか聞かれたけど断った。さすがに何かコーヒー以外を飲みたい気分だったんで紅茶を飲んだ。砂漠をさまよい続けてようやく水にありつけた人の気分である。この場合はコーヒーの海を泳ぎ続けたって表現の方がええやろうか。別にコーヒーが嫌いなわけやないけど、ああもコーヒーまみれの空間にいたあとに飲む紅茶は本当においしかった。何か浄化されていくような感覚をおぼえた。

 

明日もあることなんで、くだらんこと書いとらんとさっさと寝てしまおうと思います。開店以来たまにアホが挟まる以外はずっと二人でやってきたんで、そこに新しく人が入るとなって葵なんか結構緊張してるみたいだった。あのそわそわ感は小学校のころの遠足前日を思い出す。もしかしたら明日あの子寝不足になるかもしれない。大丈夫やろか。


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