コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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それでも長生きは目指しましょう

突然忙しさから解放されると、お店が終わった後もなんか仕事をした気にならない。バイトちゃんもいて負担も減るから余計である。この前飲んだサンプルの豆はなんやら遅れてるらしく、それが届くまでこの感じは続きそうだ。暇なわけやないんやけど、なーんか気が入らんと言うか。仕事終わって即ブログを書こうとして、せっかくやしと思って、バイトちゃんを捕まえて書いてみる?と聞いたら、恐れ多いだの何だの言ってえらい勢いで逃げて行ってしまった。

 

たかだか個人経営の喫茶店のそのまたオマケみたいなブログやのに、あの子にはやたらと見上げられている気がする。ああも純粋な目を向けらるのはウチも葵も慣れてないんで妙にむずかゆい。葵はコーヒー関係のことがあるやろうからともかく、ウチはマジで大したことしてないんやけどなあ、とか言ってると葵に叱られちゃうんで訂正しておきます。私は超貢献しています。最近新しくお菓子作ってないとか知らなーい。

 

でまあ今日はそんな気の抜けた感じでのんびりやってて、そこによく見るお客さんがやって来られまして。常連さん2歩手前ぐらいのペースで来るお客さんなんやけど、どうもこのへんに住んどる人ではないらしい。これは常連さんらとコソコソ話しながら聞いたらことやから間違っとるかもやけど。本人に直接聞いたれ!!と思っても、窓際の席でゆったりコーヒー飲んでるご老人に声とかかける気になれない。本人の服装も落ち着いた感じで、あそこだけ切り取って絵にしたいぐらい良いビジュアルである。あれにはウチの自慢のコミュニケーションスキルもあえなく敗北した。

 

しかし、それはそれとして何者なのかは超気になる。テーブル席やのにわざわざ話しかけに行くのは変じゃないかとか、普段なら少しも思い浮かばないような考えを跳ね除け、本日遂にお話しすることに成功した。葵とバイトちゃんは見守ってくれてる、わけでもなく二人で楽しそうにコーヒー飲んでた。

 

ガッチガチに緊張してて結局大したことは聞けず、このへんには住んでなくてちょっと離れたところからわざわざ通ってくれてるらしいというのと、ブログの許可をもらえただけである。いや、頑張りましたよ私。掲載許可聞けただけ御の字だ。

 

多分あの人の半分も生きてないウチが言うのもあれやけど、良い歳のとり方したんやろなあって思った。老紳士って言うほどピシッとした格好してたわけやないけど、それでもあんだけの風格?みたいなの出せるのってすごいことじゃなかろうか。ウチにはどんだけ歳をとっても無理そうだ。

 

あとどっかで似た雰囲気の人おった気がすると思ったら、イタコさんや。いやイタコさんも年下やったんですけど…。あのご老人も若い頃からあんな風だったのかもしれないし、そう思えばウチはもう手遅れやな。


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