コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

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お邪魔します

こんにちは。少し前からこのお店でアルバイトをさせていただいている、結月というものです。

お仕事が終わったあと茜さんに捕まり、こうしてキーボードを叩いています。前回は逃げられたのですが、今日はそうもいきませんでした。

何を書けばいいんでしょうか。下手な内容は書きたくないですし、緊張して頭が回りません。今、手が少し震えています。

 

実際に働いてみて知ったことはたくさんありました。私は簡単な仕事がほとんどだったので大して知っているわけではありませんが、在庫の管理なんかはとても大変そうでした。茜さんも書かれていましたが袋が本当に重たくて、頂いた湿布はその日のうちから使いました。

何やら難しそうなことの書いてある紙とにらみ合っている茜さんは、なかなか普段見ない表情をしていてかっこよかったです。

葵さんからは、豆の種類であったり色々教えてもらいました。特に淹れ方については私はネットで見た程度のものだったので、教えていただけてとても嬉しかったです。

 

今日は、私の友人が様子を見に来てくれました。彼女には、コーヒーに特別興味があるわけでもないのに毎回付き合ってもらえて、とてもありがたいです。

葵さんもそれと似たような理由で、茜さんに感謝していると言っていました。コーヒー好きの楽しみは、コーヒー好き同士だけでは成り立たないものなのでしょうか。

友人には少し申し訳なく思っているのですが、「何も楽しくなかったらああも付き合わない」と茜さんが言ってくれたので、そういうことだと思っておきます。少なくとも店内の曲を気に入っているのは確かですし。

 

サンプルの試飲はとても楽しかったです。その場の人数分だけの豆を炒って、挽いて、淹れるというのは特別感があっていいです。

葵さんに求められたので、せっかくならと私の方からも感想を言ってみたのですが、的はずれな答えではなかったようで安心しました。

特に茜さんは酸味など苦手な味があるからか、その点については葵さんよりも敏感なようで驚きました。今度私の友人にも試してみようかと思います。

 

もう少しで学校が始まるので、アルバイトもひとまず終了して、また一人の客に戻ります。それが少し待ち遠しいような、まだもう少しこっち側にいたいような。

アルバイトを始めて多少仕事にも慣れたつもりではあるのですが、やはりまだ、お店側の人間になったのだという意識は薄いままです。

私はまだしばらくは、客側でいいかなと思います。それであわよくば常連なんて呼ばれればいいかな。

色々と、貴重な体験ができたと思います。お二人には感謝しています。

 

 


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