コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

81 / 169
コーヒーこわい

この前の休みに葵と買い物に出かけて、お昼になっちゃってお腹も空いたんで、そのままフードコートで食べていくことにした。でまあ葵が食後にどっからか買ってきたのが、紙コップのコーヒーだった。もちろん120円ぐらいのやっすいものである。珍しくはあるけど、葵は意外と安物でも妥協して飲むことがある、お店を始めてからは帰ったら好きなように飲めるからか機会はさらに減ったけど。そのコーヒーなんやけど、葵が紙コップを傾けた状態で停止してしまったのだ。どうしたんかと見てみれば、口元と手がめっちゃ震えている。ようやく口からコップを離したところで聞いてみれば、どうもコーヒーの熱さにビビってたみたいやった。

 

葵から渡されてコーヒーを持ってみると、なるほど確かに結構な熱さだ。まあこの手の紙コップ入りのコーヒーってやたら熱い印象あるけども。葵はさっきのでは一滴も飲めていなかったらしく(じゃあ何であんな長いこと硬直してたねん)、再チャレンジを始めた。当然また口元手元ガックガクである。それでもやっとの思いで飲めたコーヒーは予想通りめっちゃ熱かったようで、すごい勢いで口から離してた。結局、ふたを外してある程度冷めるのを待って飲むこととなった。でもそんな上等なもんやないから、そんなにおいしいわけでもなくて、葵は適温ってものがあるだろうとか不満を言いながらコーヒーを啜っていた。帰ってすぐにアイスコーヒー淹れて飲んでました。こんなことがあったんで、これからはもっと外で安めのコーヒーを飲む機会は少なくなりそうです。

 

最近になって気づいたことではあるんやけど、そんときの葵ほどじゃないにしても、私もコーヒーを飲むときにちょっとビビりながら飲むことがある。特にサンプルの試飲のときに多くて、初めて飲むコーヒーにウチの苦手な味が入ってないかと身構えてしまうのだ。その苦手な酸味を察知する能力だけは、ウチはどうやら葵よりも優れているらしい。前にバイトちゃんにも褒められたことだ。でもまあ、苦手な味が察知できたところで嬉しかないんですけどねえ。葵みたいに、それがコーヒーならあの味もこの味もおいしいと思える方がよっぽど良いとおもうんやけど、葵やバイトちゃんからコーヒーのことで褒められると舞い上がっちゃいそうになる。

 

あ、アイスコーヒーで飲むよーって人は、買うときに言ってくれれば葵がそれ用に深めに炒ってくれるらしいんで、よかったらどうぞ。買った半分だけ深入りでっていうのも受け付けます。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。