コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

95 / 169
鏡の有無に関わらず

ここ最近天気が落ち着きませんが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は泊めてやっている恩を忘れた居候にプライバシーを踏みにじられ、ブログを勝手に更新されました。まーじで余計なことしやがったわあいつ。ほとんど仕事用やから大してダメージはないけど、よくもまあやってくれた。とりあえず今日の晩はあいつに酒は一滴も飲ませないことにした。いや、あえて飲み干した缶を渡して残った数滴だけくれてやった方が、気分はすっきりするかもしれない。普通にパスワード突破されてるし。変更しとこうかなと思ったけど、どうせまた簡単に突破されそうな気もするし、もう見られちゃったもんは仕方ないんでこのままにしておく。別にウィルス持ち込むわけでもないしな。

 

今日からもう売りに出しちゃってるけど、届いたコーヒーについてアホが書いてる分に付け足すなら、ミルクを入れるとコーヒーの味が引き立つってところだ。一口目の頼りない感じはなく、牛乳の味と合わさってもちゃんと主張してくれるので、意外とミルク多めで丁度いいぐらいである。ていうかあいつ何か賢ぶって書いてるけど、実際飲んだときはウチと一緒においしいおいしいと言って語彙力のない感想を喚き散らしてただけで、書いてあるのはほとんど葵に翻訳してもらったものだ。よくもまあ堂々と書けるもんやな、何て面の皮の厚いこととか思ったけど、ウチがいつも使ってる常套手段でした。非難する権利があるのは葵だけである。

 

結局、バイオリンの演奏は予定通り(何の予定や)昼に行われてしまった。まあ雰囲気には合ってるし、別にウチ一人じゃ手が回らんほど忙しかったわけでもないから文句ってほどの文句もないんやけど。基本クソやかましいあいつが静かにバイオリン弾いてるっていう状況自体がなんかすんごい違和感あって落ち着かないのだ。パッと見の見た目は良い方なんやから一生黙っとればええのになあ。って葵に漏らしたらお前が言うかって念のこもった視線を頂いた。自意識過剰かよ調子乗んなと思われるだろうが、幸い目の前に髪色が違うだけの鏡があるんで、自分の外見の客観視はできている方なつもりだ。しかしまあ、これは最近気づいたことでもあるんやけど、私のような人種はそれこそ黙ったら死ぬのである。外面の良さを気にしてつまらん生活送る方が耐えられないのだ。あいつにも似たような鏡ちゃんはいるはずだし、黙ってた方が良いって分かってても口を開いては余計なことを言う人間なのだろう。実際アホは前の時みたいに途中から喫茶店にはまるで合わない激しめのを弾き始め、遂には歌い出す始末である。昨日の酒がまだ残っていたウチは、もう止めるのも面倒なんで飽きるまで自由に弾かせておいた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。