とある商社さんの方からたまに届くリストがあって「こんな豆があるので幾らかどうですか？」って感じのものだ。たとえさして欲しいものが無くっても付き合いってもんがありますし、そんな頻繁に届くものでもないんで、少しはそこから選んで仕入れることにしている。
たまに「これ大丈夫か…？」ってなるような物もある。ウチでもわかるぐらい品種のわりに安かったり、まあ分かりやすくなってるんで避けることはできるけどね。その後葵に一通りチェックしてもらえば大丈夫だ。安くなってるのは１、２年前の古い豆なことが多くて、これはコトノコーヒーでは基本的にパスしてるものである。このへんの方針は葵にお任せしてるんで私には特に詳しい理由は分からないけど「気が引ける」みたいなことは言ってた覚えがある。
それはそれとして一回仕入れてみたこともあったりする。この頃はまだお店始めたばっかりで、安定して売れてる定番の豆の格安版みたいなのが載ってたもんやから「これや！！」と思って仕入れて売りに出したら、特に売れるようになるわけでもなく、むしろ買われなくなってしまった。そんなに上等な豆でもなかったんで定番で買ってくような人はそこまで品質を気にする人間でもないやろうし、何があかんのかそのときはまるで分からなかった。ウチなら迷わず飛びつく。あ、ちゃんと事前に飲んで葵から許可が出る程度にはちゃんとした味してます。結局答えは出なかったんで葵にもろもろ話してみたら、あの子はすぐに答えを出してくれた。「定番の豆が急に安くなってたらヤバいものか疑うんじゃない？」と。なるほど、当然である。今はむしろ、送られてくるリストの不自然な安さを見て避ける側やからよく分かるけど、当時は本当に見当がつかなかった。
そんでまあ、今日のお昼頃やることなくて、カウンターでこの前届いたリストの中をアホと一緒にボケーッと眺めてたら、一つ目を引くものがあった。豆の方はよく分からんだけど農園の名前に見覚えがあって、葵が昔っからある農園なんだと言ってたところである。前にも何回か仕入れたことはあって、品質は結構よかった記憶があった。届くコーヒーの内の何割かってわりと管理が適当っていうか、致命的なやばさはないけど「ええ…？」ってなることはしょっちゅうなのだ。でもここのコーヒーはそういう意味でハズレがなくて、さすがは老舗(この言葉って農園にも使うんか？)やなあといったところである。もちろん味もよくて言うことなしだ。その場で葵に聞いてみたらOKが出たんで、またしばらくしたら入ると思います。そうそう、場所によっては予定外に届くの遅れたりするからなあ。そのへんここは安心安全だ。