コトノコーヒー 姉の呟き   作:みえふぁ

98 / 169
難しいところ

せっかく人手が増えてるうちにバンバン仕入れてみようかと考えたけど、目ぼしいものが毎度毎度そんなに多くあるはずもなく、普通にいい感じのをちょっと選びました。これでもここ最近は仕入れるペースを上げてはいるんやけど、まあ知れてる。変に気合入れずに普通にやるのが一番なんやろな。買い物に行くときなんかは一人増えるだけでまあまあ楽ではある。その分買う量は増えるけど持ち手が増える方がありがたい。むしろ、二人で暮らしてたときの慣れが足をひっぱることがしょっちゅうだ。消耗品なんかはあとで買い足しにいきゃあそれでええんやけど、魚の2尾入りのパックをうっかり買ってきちゃったりしたら大変だ。実際やらかしたし。おかげでその日の夕飯担当だった私は、献立の変更で一人でてんやわんやしたというわけだ(もっかい買いに行くという選択肢はない。面倒やし)。

 

もう一週間もしないうちに届きそうな豆があるんですけど、サンプルのときのインパクトは未だに残ってる。まず葵が袋越しに匂いを嗅いで「これはお姉ちゃんたち苦手かな」と言ったのだ。袋越しの匂いで何を感じ取ったんやこの子はってのは思ったけど、とにかく葵がそう言うのならそうなんだろう。それならと少な目に淹れてもらうようお願いしたんやけど、いざカップに入って出てきたのは普通にいつもぐらいの量だった。

 

忘れてたんかな?と思って葵を見てみれば、笑っとるんか顔をしかめてるんか分からん変な表情をしている。この顔の葵は、ウチが好きかどうか判断しかねてるときのものである。案の定「ちょっと飲んでみたけど、もしかしたらお姉ちゃんも大丈夫な味かもしれない」と言った。好きだったら少な目なのはもったいないと思ったそう。こういうときは本当にどっちかわからんやつで、七割方大丈夫やけど三割ぐらいでアウトな感じだ。身構えながら一口飲んでみると、まずまさしくウチの苦手なフルーティな酸味というやつが来た。来たんやけど、一瞬でおらんくなって、後はすっきりしてて飲みやすい、まさにウチの好みという味だった。その情報を整理するのに時間がかかって、飲んでしばらくうつむいてた。あと葵からの視線も感じてたんで、顔を上げるときにはちゃんと感想言えるようにしとかななっていうのもあった。

 

全体の感想としては、好きなコーヒーです。一発目の酸味にはビビったけど、来るとわかってて、その上すぐ消えてくれると知ってればなんてことはないし、その後がもうがっつり好みだった。葵にそれを伝えれば一発手を鳴らして喜んだあと二、三回飛び跳ねてた。こういうときの葵の反応はホントに面白いんで、今度から録画してコレクションとかしてみたいな。直後にアホがしょっぱなから牛乳いれようとしてるのが葵に見つかって、もったいないもったいないと二人で止めに入った。飲み方を強要する気はないけど、これは一回でいいいからそのまんま飲んでほしい。値段も味のわりには安いと思う。早ければ日曜日に届くので、よかったらどうぞ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。