好き勝手にONE PIECEで過ごします。   作:ガイドライン

133 / 268
とある医者の偉業①

約10年前。

人気のない森の中、ある二人が恒例のように言い合っていた。

 

「このヤブ医者がッ!!また患者を重症化させたそうじゃないかッ!!!」

 

「うるせぇ!!向こうの同意をもらってやったんだ!

それに無償でやってんだ!!てめえの悪徳医者とは違うんだよッ!!」

 

「金を貰って何が悪いッ!!!??

人の命はその"金"以下じゃないだろうが!!!」

 

「金の払えないやつは診ないって言ってるもんだぞッ!!!

医者が患者を診なくてどうするッ!!!」

 

「あんたが"医者"を語るんじゃないよッ!!!!!」

 

いがみ合う二人。

数年前にこのドラム王国に現れたDr.ヒルルク。

この男はどんな病の治療も無償で請け負う医者として色んな所を巡っていた。

しかし、実態は無免許医な上に相当のヤブ医者であり、押し売り同然に押しかけて重病人の容態を悪化させたり、止めようとする母親を麻酔銃で撃ち抜いて昏倒させたりと素行が非常に悪いため、評判はすこぶる悪い。

 

いわば"ヤブ医者"

高額な治療代を奪い取るDr.くれはとはウマが合わない。

今日も今日でこうしていがみ合っている。

 

「ったく…医師免許も持ってないヤブ医者でも"アイツら"よりはマシだってのが腹が立つよ……」

 

「"イッシー20"かぁ……一体国王は何を考えてるんだ?」

 

「あんなバカのことなんて知らないよッ!!!」

 

思わず酒ビンを木に投げつけた。

その国は医療が発達した国であり、そしてその医療を、医者を"権力"で牛耳っている国王がいる。

そのため村の人達には医者がくることがなく、いまこの国の人達が病気で死なないのは大金を巻き上げるDr.くれはやヤブ医者のDr.ヒルルクによるもの。

 

「この国はおしまいだよ。あのバカが国王をやめない限りは"死に続けるのさ"」

 

「んなことはねぇ!!俺が蘇らせてみせるッ!!!」

 

「バカバカと思っていたが、本当のバカなのかいッ!!!!!

なんにも策も力もないあんたがどうするってんだい!!!??」

 

「俺に起きた"奇跡"をこの国で起こす!」

 

その言葉に呆れ言葉も出ないDr.くれは。

昔、Dr.ヒルルクから聞いたことのある"奇跡"

絶対に治らない病を"ある出来事"が奇跡を起こし病気を治したという。

 

それをこの男はこの国でやろうとしている。

しかしそんな"奇跡"で…

 

「そんな夢みたいなことを言ってるんじゃないよ。

"奇跡"??そんなものがないからこうして"医者"がいるんだよッ!!!」

 

「その医者でも治せなかった病気を治したんだッ!!!

きっとこの国にも奇跡を起こせるッ!!!!!」

 

「いい加減にしなッ!!!!!

"桜"を見て感動したら病気が治った?バカいうんじゃないよッ!!!!!

それは治ったんじゃない!!身体の免疫力が向上し死期を遅めたに過ぎないのさ。現にあんたのその身体にはッ!!!」

 

「それでも俺はまだ生きてるッ!!!!!」

 

その言葉に目を見開いたあと深くため息をつくDr.くれは。

何度、この不毛な言い合いをしたことか…その度にこの男は何の根拠もないことをここまで断言する。

その度に思い知らされる。

確かに人の思いは時に医療を越えたことを起こすことがある。

しかしそれを鵜呑みにすればこの手にある技術を、積み重ねてきた経験を否定することになる。

 

その奇跡は最後の手段。色んなことを積み重ねてやっと起きるもの。

それをこの男は分かっているのか?いや、本能的なのだろう。

だからこうして奇跡を信じているのだ。

 

(ったく…医者だと名乗るなら、そんな曖昧なものにすがるんじゃないよ……)

 

それでも完全に否定も出来ない。

現にDr.くれはも何度も奇跡というものを見てきた。

だから、それにすがりたいという気持ちも分かる。

しかしその前に医者であるのだ。その手で出来ることをやり尽くさない限りそんな奇跡は………

 

「喧嘩している中すみません」

「ッ!!!??な、なんだお前はッ!!!」

 

突然二人の間に現れた男にDr.ヒルルクは後ろに後退し尻餅をつきながら銃をその男に向ける。しかし銃を向けられているのにその男は全く驚くこともなくDr.くれはに向けて

 

「お久しぶりですDr.くれは」

「顔を出さないと思ったら突然だねハジメ。で、その腕にあるのはプレゼントかい?」

 

Dr.くれはも一切驚くこともなく当たり前のように会話をする。

そしてその男、ハジメの腕の中に抱えられていたのは小さな動物。全身毛むくじゃらで、頭から角が生え、鼻はなんとも珍しい"青色"をしていた()()()()だった。

 

「プレゼント、ですか。そうですね。()()()()()()

「ほう。こっちに寄越しな。治療してやるよ」

 

「よろしくお願いします。治療代は」

「いらないよ。プレゼントなんだろう」

 

そう言ってくれたDr.くれはにトナカイを預けるハジメ。

するとDr.くれははDr.ヒルルクに向かって鋭い視線を送りながら

 

「何をボサッとしてるんだいッ!!!この子を死なせる気かいッ!!!??」

 

「なっ!!お前が治療するじゃ…」

「あんたがするんだよ!ついでにこれからの世話もねッ!!」

 

「ふ、ふざけるなッ!!!なんで俺がッ!!!??」

「さらにハジメの世話もやるんだよッ!!!」

 

「ふざけんなッ!!!!!」

「僕は動物扱いですか?」

 

…………………………

 

文句を言いながらもDr.ヒルルクはDr.くれはの家にある医療器具を使ってトナカイを治療することに。治療している最中、隣から家主であるDr.くれはが小言のように「なんだいそのメスの使い方はッ!!!」とか「集中しなッ!!!」など言ってくるのを我慢しながら。

そしてトナカイの腹部に刺さった枝の除去と折れた腕を固定、打撲などを治療し終わったときにはすでに翌日の朝を迎えていた。

 

「お、終わった……」

「ったく……どれだけ時間をかけるんだい。

こんなんじゃ重症患者は死んじまうよ」

 

「隣からうるせぇだよババァッ!!!!!」

「私はまだまだ若いんだよジジィがッ!!!!!」

 

Dr.くれはにメスを投げられ間一髪避けたDr.ヒルルク。

これをきっかけにまた言い合いが始まると思ったがここにもう一人いたハジメにより続かなかった。

 

「Dr.くれは。しばらくここを拠点にしてもいいですか?」

「拠点?あんた海軍なんだろう。それなら支部を……」

 

「いまの僕は()()()()()()()()()()()

そして僕はこの先のためにやらないといけないことがあるんです。そのためにはここに置いてもらわないといけません」

 

何があったのかハッキリ言わないハジメだが、それでもDr.くれはにはどれだけ重要なことを言っているのかなんとなく理解した。あの目は……覚悟を決めた目だと。

 

「………さっきも言ったけどあんたの世話はそっちだよ」

「なるほど。よろしくお願いします」

 

「勝手に話を進めるなッ!!!なんで俺がそんなことをッ!!!!!」

「"奇跡"。見たくありませんか?」

 

その言葉に反応するDr.ヒルルク。

どうやらハジメはDr.ヒルルクをうまく丸め込むための秘訣を知っているようだ。とその様子を観覧する側に回ったDr.くれはは酒ビンを手にしてソファに座った。

 

「……さっきの話を聞いていたのか?」

「警戒したくなるのは分かります。でも僕の力があれば…」

 

「断るッ!!」

「……どうしてですか?」

 

「知ってるんだぜ俺は。なんの力か知らないけど持っているのは"悪魔の実"の力なんだろう?」

 

「はい。それならDr.ヒルルクの…」

「ふざけんなッ!!!こっちはこれでも医者だッ!!!

そんな"まやかし"に頼るわけがないだろうがッ!!!!!」

 

さっきまで散々"医者"について話していたDr.ヒルルクも"医療"という力以外を認めていない。そしてその延長線にある奇跡だけを信じている。

 

「Dr.くれはと同じなんですね」

「誰が一緒だぁッ!!!」

「ふざけんじゃないよッ!!!」

 

「じゃこっちはとりあえず後回しにして、」

「後回しするな」

 

「このトナカイと一緒にお世話になります」

「それが一番ふざけんなッ!!!!!」

 

…………………………

 

こうして奇妙な()()()()()()()()()()

助けられたトナカイ、ハジメと同じ"悪魔の実""ヒトヒトの実"を食べたトナカイであり、世にも珍しい喋るトナカイであった。

 

目覚めたトナカイはこれまでの経緯を話してくれた。

生まれた時からこの青色の鼻で仲間外れになり、偶然食べた悪魔の実の力で人の言葉を喋れるようになった。

 

しかしこれが更なる不幸を呼んだ。

トナカイの中では更に気味の悪いトナカイとなり群れから追放。

ならと人として生きていこうとするが()()()()()()()()()()()()()ために化け物扱いされた。

 

こうしてこのトナカイはトナカイの群れからも人からも嫌われてしまった。

 

そして目を覚ましたトナカイの目の前にその人間がいて、また攻撃されると思い治療をしていた男に攻撃をした。

それでも何度も近寄ろうとする男に何度も何度も攻撃して、洞窟から飛び出して逃げ出そうとしたのだが………

 

『俺は……医者だぁッッ!!!!!』

 

身に付けていたものを全て脱ぎ捨てて極寒の冬の中を両手を広げてトナカイに敵意がないことをアピールした。

その行動にトナカイは驚いた。自分を見た人間は誰も恐がり攻撃してきたのだ。なのにこの男は………

 

そんなことをしていると男は寒さに負けて倒れてしまった。

どうしようかと慌てていると

 

「不器用でしょう。もっとスマートに出来るはずなんですけどね」

「な、なんだお前ッ!!!??」

 

「これから貴方とあそこに倒れているDr.ヒルルクと一緒に住むハジメと言います」

 

その時、不思議とこの人間は他の人間とは違うと思った。

だからそのあと一緒に倒れた人間を抱えて洞窟の中にある住まいに戻ったのだった。

 

翌日、目を覚ましたDr.ヒルルクはトナカイを見て

 

「なんだ?喋れるのか?」

「凄いですよねー」

「……怖くねぇのか?」

 

「なに言ってるんだお前は?

俺のほうがベラベラに喋れるぞッ!!」

 

「なにと張り合ってるんですか?」

 

その一言でトナカイは、この二人ならと心を開いていった。

そしてトナカイにはDr.ヒルルクから"トニー・トニー・チョッパー"と名前をもらったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。