好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
「これだけ買えば大丈夫かな?」
「十分だよ」
「そっか。ドクター、喜んでくれるかな?」
「喜ぶよ。チョッパーがしてくれるんだからね」
そっか。とニコニコと笑うチョッパーの腕の中には沢山の食材が入った紙袋を持っていた。
チョッパーからDr.ヒルルクに感謝したいと相談を受けたハジメは「なら、料理を作ってあげたら?」と提案した。
そして町に降りて買い出しに向かうと「これを持ってけー!」と色んな人から感謝を込めて色んなオマケを持ったりした。
これには二人とも驚いたが人々からの感謝の気持ちはこんなにも嬉しいものだと感じよりDr.ヒルルクにお礼をしたいと思った。
「ハジメにも感謝してるんだぞ。俺を助けてくれたんだからな」
「それはどうも。でもチョッパーの生き方を教えてくれた二人にお礼してあげな」
「うん。ドクトリーヌには別の日にするんだ。
流石にお酒は買えねから何にするかまだ決めてないけど」
「気持ちが込めてればなんだって嬉しいよ。
まぁ、Dr.くれはは表には出さないだろうけど」
こんなにもいい子に育ってくれたチョッパー。
昨日潜入して見てきたワポル……いや、"カバカ"と比べれば天と地以上に差があるなー
近々あのカバカを吹き飛ばそうと計画を練るハジメ。
しかし、それはあまりにも早く訪れることになる。
なにも変わらない日常。
だから普通にDr.ヒルルクと一緒住む洞窟に戻ってきた二人だったのだが、扉の向こうから話し声が聞こえてきた。チョッパーは思わず扉を開くのやめて誰だろうと聞き耳をたてた。
『……あんたもバカだね……』
「ドクトリーヌ?ここに来るなんて初めてだな……」
そこで中に入ればよかった。
しかし邪魔したらいけないと思ったチョッパーはその場にとどまった。いま思えばそれが悪かった。
『バカでも構わねぇ。"アイツ"を、いや、アイツらを頼む』
『そんなことをいうぐらいならなんであの時引き受けたんだい?』
『なにいってやがる。元々お前が押し付けたんだろうが。
それを返すだけだ。問題はないはずだ』
『言った覚えはないね。それに…
………タイミングが、悪かった。
まさかそんなことをここで話すなんて……
本編からすでにかけ離れたストーリー、何が起きても仕方ないとは思ったが…まさかこの展開が始まるなんて……
自分の死期が近づいてきたと悟ったDr.ヒルルクがDr.くれはにチョッパーを預けるシーン。そして最後にこの国を治療しようと単身城へ向かい、病にかかったイッシー20を治そうとした。
しかしそれは真っ赤なウソ。カバカの言うことを聞かないDr.ヒルルクを始末しようとした作戦だった。しかしDr.ヒルルクはそれを知った上で向かったのだ。
そしてカバカに殺されるまえに、毒キノコで死ぬまえに、人として死ぬまえに、いや"人は人に忘れられた時"とメッセージを伝えるために盃に入った液体を飲んだ。そしてDr.ヒルルクは消え強く強くチョッパー達の心に刻まれた。
だけどDr.ヒルルク。いまこの時、それはあまりにも……
『なら、どうしようってんだ?
アイツらに俺の死に様を見せろっていうのか?』
『医者だったら分かるだろう。
この世に生きるものは必ず"死"が訪れるんだ。
あの子だって例外じゃない。ただ寿命が長いってだけさ。
だから医者はその死が訪れるまで諦めないのさ。ましてや自分の病に対してね』
『別に諦めたわけじゃねえ。
だが、俺にはやらないといけないことがある。だから…』
『だから私に預けるってかい?ふざけるんじゃないよッ!!!
だからアンタはヤブ医者って』
「その通りだッ!!!」
その大きな声にチョッパーの肩がはねあがった。
ここで聞くのを止めればいいと思ったがすでに遅いと思ったハジメは全てを聞いてもらうために、そしてDr.ヒルルクの思いを知るために聞き耳をたてる。
『ヤブ医者でもこの国を治療したいと思ってる!
そのためにはアイツらを治療しないといけないんだ!』
『分かってるのかい?向こうに行ったら最後。…
『死なねぇよ。………知ってるかババァ。
人が死ぬときはな……
まさか…そのセリフをここで聞くなんて……
本当に死ぬ気なんだ。と思ったその時ガサッと音がし思い耽っていたハジメが現実に引き戻された時にはチョッパーが何処かへ走り出した後だった。
「チョッパーッ!!!!!」
もしかして!!と思い声をあげるがすでにハジメの声は届かずチョッパーは森の奥へと消えた。すぐさま追いかけようとしたが先に扉が開き二人が姿を現した。
「……聞いてしまったか……」
「Dr.ヒルルク。どうしてあんなことを……」
「そんなこと言っている場合かい!?
追いかけないとあの子、死ぬよ!!」
そうだ。いまは追求している場合ではない。
チョッパーが行くところは分かっている。
…………………………
「まっはっはっはっ!!!
カバめッ。こっちが仕掛ける前に来るなんてな!!」
「……どうなってるんだ……」
チョッパーは知らなかった。
イッシー20が病気であることは知っていたがDr.くれはやDr.ヒルルクから「アイツらは大丈夫だ」と言われていたから。でもさっきの話しを聞いてきっとイッシー20が重たい病気なんだと思い、それを治療すればきっとDr.ヒルルクはあんなことは言わないと思って、チョッパーはイッシー20を治療するためにきたのだ。
しかし、イッシー20がそれが仮病だと聞かされていなかった。
Dr.ヒルルクはDr.くれはから聞いてはいたが、医者として半人前のチョッパーに"医者が仮病する"なんてことを"医者が病人を診ない"ことを知ってほしくなかったのだ。
だから隠していた。
全てが一人の国王の手により自らの国を"病気"にさせていることを。
「このトナカイが!!お前が来なければもっと早くあのカバがここに来たのにな。まぁそれでもトナカイがこうして釣れたんだ。良しとしてやる!!!」
「……なに、言ってるんだ……」
状況が読めないチョッパーにチェスとクロマリーモが嘲笑うように言い放ってきた。
「この国はワポル様のもの。
それに従わないヒルルクの存在は邪魔しかない」
「だから始末するためにここにおびき寄せようとしたわけだ。
結果、作戦を失敗に導いたお前が釣れたという訳だ」
そこで初めて知ったチョッパー。
何もかも、この国王一人のせいで国が悲鳴をあげていたことを。
そしてそんな卑劣なことをする奴らのためにドクターは……と、怒りがこみ上げてきたチョッパーは「……ウオオオオッ!!!」と叫びながらワポルへ向かって走り出す。
しかしそれを阻止したのは
「は、離せッ!!!アイツらは!!アイツらはッ!!!!!」
「ダメだ!!このまま行かせると君は殺されてしまうッ!!」
「おい!!何をやっているドルトン!!!
せっかく向かってきた化け物を止めるなッ!!!」
「なんの罪もない子を殺めるなんて…間違っているッ!!!」
チョッパーを抑えながら国王であるワポルに指摘するドルトン。
その言葉に怒りが爆発したワポルは
「間違っているだと……誰に口を聞いているんだドルトンッ!!
俺様は国王だッ!!!俺様が絶対なんだッ!!!
チェス!!構わねぇ!!ドルトンごとやれッ!!!!!」
「はっ!!!」
そういってチェスは持っていた弓矢を引き放った。
チョッパーに覆い被さったドルトンの背中に矢が突き刺さる。
「ぐっ!!!」
「なにやってるんだお前らッ!!仲間だろうッ!!!
お前も離れろ!!!死んじまうよ!!!!」
しかしドルトンは一向に退かない。
そしてそんな動かないドルトンに容赦なく矢が突き刺さる。
そんな中ドルトンは弱っていくその声を振り絞って
「……す、まなかった……」
「……えっ……」
「私が…もっと……しっかりしていれば……こんなことには………
……もう、この国は…ダメだ……でも…君が…死ぬことは、ない………」
「だけどッ!!それでお前が死んだらッ!!!!!」
「これは……私の、贖罪だ……だから……」
と、何かを言い終える前にドルトンの身体はチョッパーを抑える力を無くして横へと倒れた。
「お、おい!!お前ッ!!!!!」
「まっはっはっはっ!!!!!カバめッ!!無駄死にしおって!!!」
「…お前ら……ッ!!!!!」
「あとは化け物、お前だけだ!!やれチェス!!!!」
放たれた矢はチョッパーにめがけ飛んでくる。
しかしチョッパーは目を開けたまま後ろにドルトンにこれ以上やらせないためにもその場から動かなかった。そして
「……ったく、むちゃ…しやがって……」
チョッパーを守るかのように手を広げて背中で矢を受け止めたのは、
「ド、ドクターッッ!!!!!」
とあるヤブ医者であり、一人のトナカイをその身で守った。