好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
初めはただ死んでほしくなかった。それだけだった。
それだけなのに、それだけなのにどうして……
「ドクターッッ!!!!!」
「ったく…この、バカ息子…が……」
ゆっくり見えていた。
自分を庇ったドクターが倒れていく様を。
なにも出来なかったと後悔しながらその姿を見るしか出来なかった。
ボフッと雪に倒れこんだところで現実に引き戻されたチョッパーはすぐにDr.ヒルルクに駆け寄り声をかける
「ドクターッ!!ドクターッ!!!」
しかし返事はなく矢が刺さった背中から血が溢れだしていく。
すぐに治療をしないと!!と刺さった矢を抜こう手を伸ばすが
(ダ、ダメだッ!!!ここで抜いたら血が大量に抜けてしまう!!
それに出血多量どころかこんな場所じゃ低体温症だって……)
すぐに医者とやるべきことが分かったチョッパーは矢は抜かずに傷口を抑えることにした。それでも激痛には変わりなくDr.ヒルルクから悲鳴に似た呻き声が聞こえる。
「しっかりしてドクターッ!!!医者ッ!!医者を呼んでくれッ!!!」
一人では無理だと、誰かに手伝ってもらわないとダメだと悟ったチョッパーはワポル達の方を見て叫んだ。しかしそこに写ったのは目を反らすイッシー20とバカにした表情で笑うワポル。
「カッバじゃない!!??誰が始末しよとしたカバを助ける!!?」
「ドクターはお前らが病気だと信じてここに来たんだぞ!
それに目の前に患者がいるんだよッ!!医者なら救え…」
「ここは俺様の国だぁッ!!!俺様に逆らうやつなんて死んでしまえばいいんだッ!!!!!」
まっはっはっはっ!!!と叫ぶワポルに驚愕するチョッパー。
こんなにも酷い奴だと、少しでも良心があると思っていたのに…
さっきからワポルの後ろにいるイッシー20と思われる人達も全員が視線を背けている。
いまこの場にいる医者はチョッパーだけ。
「……お、お前ら……それでも"医者"なのかよ」
「ッッ!!!」
「ドクターはアンタらみたいな奴らでも救おうと、治療しようとしたんだぞッ!!!それなのにどうしてこんな奴の言うことを聞くんだッ!!!」
「こんな、奴だと……このカバめぇ!!!!」
チョッパーの言葉にイッシー20は戸惑いの表情を見せた。
しかしワポルがクロマリーモから拳銃を受け取り銃口をチョッパーに向けて引き金を引いた。
銃弾はチョッパーの頬を掠め傷口から血が流れる。
それでもチョッパーはその場から動かない。後ろにはDr.ヒルルクがいるのだから。
「町じゃみんな苦しんでるんだぞッ!!
それをドクターやドクトリーヌや俺が診察してるけど足りないんだッ!!!患者や苦しんでいる人がいるのに救おうとしないなんて
チョッパーがイッシー20に語りかけている中でもワポルは容赦なく引き金を引いた。腕や足に掠ったりその何発かその身体を貫通している。
激痛が走る中でもしっかりと意識をもって、
「いまこの国は
治療する方法も分かっているのにやらないのはッ!!」
「いい加減黙れッッ!!!」
そしてついに銃弾はチョッパーの胴体を捉えてしまった。
よろめくチョッパーの姿に喜んでいるワポル。しかしチョッパーはグッと足に力を入れて踏みとどまり
「
周りの空気がビリリと振動したかのような感覚だった。
チョッパーの声はワポル達を威嚇し萎縮させ、イッシー20には怒りと渇を感じさせるものだった。
そして"とある二人"には称賛と感動を与えた。
「ったく、知らない内に"男"になって……
一人前の言葉をいうにはそれなりになってもらわないとね」
「素直に"良く言った"と言えばいいと思いますよ?
それに僕は感動しましたけどね。ヤブ医者よりヤブ医者って、なかなか的を得てると思えますよ」
振り返るとそこにはDr.くれはとハジメ。
そしてその側には重症だったドルトンが治療を終えて包帯で巻かれていた後だった。
「ドクトリーヌッ!!ハジメッ!!!」
涙目で二人の名前を叫ぶチョッパー。
手を振るハジメと、何も反応せずにDr.ヒルルクの元へ向かい
「チョッパーが表現している"ヤブ医者"が死にかけたら説得力がないからね。治療してやるよ」
「………ババァ……めぇ……」
「それだけ言えればまだ死なないよ。
ほら小僧。止血しな!」
「分かりました」
そういってDr.くれはが注意深くDr.ヒルルクの背中に刺さった矢を引き抜く。そこから夥しい血が流れる前にハジメがその傷口を触ると
「血が…止まったッ!!?」
「あれ?チョッパーは初めて見たんですね」
「いいからさっさと治療するよッ!!!
チョッパーッ!!!そいつらは小僧に任せてこっちを手伝いなッ!!!」
「は、はいッ!!!!!」
チョッパーが受けた弾丸は幸いにも致命傷を外れ、傷口を押えればDr.ヒルルクよりもまだ軽症だった。それでも足取りは重く、そしてそんなやり取りをみすみすワポルが逃すわけもなくチョッパーに銃口を向け引き金を引いた。
だがその銃弾がチョッパーに当たる前に、間にハジメが割り込むことによってチョッパーには被害はなかった。
「ハジメッッ!!!」
「大丈夫ですよ。こんなの何発撃たれても意味ないですから」
撃たれた!!と心配したチョッパーだが、ハジメは何ともない表情で受け答え、さらにさっき当たった銃弾をチョッパーに見せた。
「はぁッ!!?」と驚くチョッパーだが「さっさとしなッ!!!」と激怒するDr.くれはに急かされて一旦そのことを忘れることにした。
しかしそれを忘れられないもの達もいる。
それは撃った本人であるワポル。ポカーンと口を開けて何が起きたのかと驚いている。
「な、なんだお前はッ!!?」
「知る必要はありませんよ。
正直"インペルダウン"送りなんですけどね、
「何を訳の分からないことを言っているんだッ!!!」
「さて、確か方向は………あっちか。
後は角度とパワーを……こんなものでいいのかな?屋根から吹き飛ばしからなかなか難しいかも………」
「人の話を聞けよッ!!?」
ガン無視するハジメに戸惑うワポル。
チェスやクロマリーモが「いまの内にッ!!!」と言ったことによりもう一度銃口をハジメに向けようとしたが
「ど、何処に行ったッ!!?」
一瞬目を離した隙に消えたハジメを探すワポル達。
すると突然ワポル達三人の身体が動かなくなってしまい
「な、なんだこれはッ!!?」
「い、いうことを…」
「きかないッ!!?」
「どうやら本編よりも角度がいるようなのでかなり強めで行きますね。まぁ、死にはしません」
「な、何をする気だッ!!?」
「早めに向こうに行くんですからちゃんと改心してくださいね。ダメだったら定期的に"お仕置き部隊"を派遣しますから。ちゃんと人のために役にたってくださいね」
「会話をしやがれええぇッ!!!」
そんなこと聞くわけもなく「それでは行きますね」と動けないチェスとクロマリーモをワポルと一纏めにして、両手をワポルの胴体にそっと添えたあと
「白ひげさんの一撃。解除」
「「「ドギャバアアアアァァァァァッッ!!!!!!!」」」
以前にこっそりと白ひげが放った一撃を一時停止したことがあった。ここぞッ!!て時に使おうと思っていたものだがワポルに相当イライラしたのかついつい使ってしまったハジメだった。
でも世界最強の一撃である。
ハジメが思っていた以上にぶっ飛んだので着地地点に落ちるか少し不安になってきたところである。
まぁ、それでも"ワポメタル"は出来るだろうと楽観視するハジメは、あのワポルならすぐに八咫烏が見つけてくれるだろうし、出来ていなかったら強制させればいいと考えていた。
そんなことは知らず吹き飛ばされたワポルの姿を見たチョッパーは
「………す、すげぇ……」
「……ほら、手を止めるんじゃないよ」
「は、はいッ!!」
つい呆けてしまいDr.くれはに注意された。
そのDr.くれはもハジメの力には驚いていたようで
(確かに"大将"と呼ばれる力はあるようだね…だけど"優しすぎる"ってのが弱点かね……)
と、縫合を終えて一息をつく。
しかし傷口とは別にDr.ヒルルクの病気について気づいてしまった。
(……もって"半月"だね……
このバカ、私を騙そうとしてたのかい…ったく……)
これまで目視しかDr.ヒルルクの症状を診ることが出来なかった。だが今回の治療でついでにどれだけ病気が侵攻しているのか診てみたら
それはDr.くれはにバレないようにと
(この子に、心配をかけないようにしてたのかい……
……本当に、男ってやつはどうもこう意地を張るのかね……)
思わず傷口を叩こうとしたのをグッと押えて、このバカなヤブ医者に一つイジワルをしようと考えた。
「手伝いな小僧ッ!!!」
「?? 何をするんですか?」
「バカとハサミは使いようってね。使ってやるよ!!」