好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
「あ、あば…ばぁ………」
「……じ、じ……どぅ………」
「………が、…ぐぐ……ぅ……」
息絶えていた。
楽しい楽しい宴はあっという間に終わりを迎えた。
気持ちよく寝ている三バカをアルバーナの外へ連れ出してレイジュが持っている"麻痺""激痛""思考低下"を引き起こす毒を生成してもらいそれを眠気覚ましにと飲ませたのだった。
昔からロビンに毒の耐性をつけるためと食事や修業に使われていたが、今回の毒はそれを上回る猛毒。死ぬことはないがこの世とは思えない激痛を知ることとなる。
「さぁ、修業よ。
ここからメリー号まで走りなさい。10分事に最下位はラッシーの爆撃を受けてもらうわ。あと速度はヒッコシクラブより速いこと。遅れたら爆撃だから」
説明をしているがもう死にかけている三人に届いているのか怪しいところである。
「みんなも走ってねー。最下位とかヒッコシクラブより遅れても爆撃はないけど、男共はロビンのゲンコツ。女性はロビンのビンタだから」
「こっちのほうが酷くないッ!!?」
えっ。そうかな。
遅れなければいいだけの話だけどなー
というかそれぐらい出来ないとこの先大変だよ。
「昼間だと流石に死んじゃうから夜にしたんだよ。優しさ優しさ」
「間違ってる……優しさの方向が間違ってる……」
うるさいなウソップ。君もルフィ達に混ぜるよ。
「俺は、ルフィ達と同じでいい」
「俺もだ」
と、ここで名乗りを上げたのがゾロとサンジ。
いややるのは構わないけど……
「やるならレイジュの毒、受ける必要あるけど」
「構わねえ」
「これ以上ルフィ達に引き離されてたまるか」
覚悟はいいんだけど………
ご本人がそういうならとレイジュに頼んで二人にも毒を浴びせると
「…………あだ、だ…ぁ………」
「………じ、じじぇ………ぇ……」
ルフィ達と同じように死にかけることになるのに……
こいつらは昔からこういう修業をしてるからある程度大丈夫なんだけど、ゾロとサンジには流石に……
「やっぱりレースは参加しなくていいから、とにかくヒッコシクラブより速く走ることね」
さすがに素直に首を縦に振るう二人。
ロビンとレイジュはヒッコシクラブの背中に乗り、ハジメは準備運動をしてラッシーをかかえた。
「ハ、ハジメも走るのか!?」
「走らないとあそこら三人は狙えないからね」
ハジメでもヒッコシクラブの背中からルフィ達を狙えない。
ましてやラッシーは生き物で武器。狙いを定めるなら接近するしかない。
「さぁ、始めるよ。よーい、スタートッ!!!!!!」
…………………………
「………なぁ、俺は夢を…見てるのか……」
「……違う、はずよ………」
ゴールであるメリー号で船番をしているキロロとバースト。
遠くから聞こえてきた大きな音に警戒をしていたのだが、近づくにつれて何か見覚えのあるものが見えてきた。
爆炎が上がる中をひた走る者達。
そしてそれを後ろから見覚えのある武器で当たらないように攻撃している人物。そしてヒッコシクラブの上でのんびりとくつろぎでいる人物。
どれもこれも……これから共に冒険するだろう人達だ。
「………俺、やっぱり粛清されたほうが良かったかも……」
「………キャハハ…………もう、遅いわよ…………」
これからアレに巻き込まれるのかと思い胃がキリキリと痛む二人だった。
……………………………
「ビビ様ッ!!!」
「あら、どうしたのイガラム?」
今日は国民にビビの姿をお披露目、元い、成長したビビの姿と声を届けることになっていた。
そのためドレスコートをしていたビビは、突然扉を開けてきたイガラムに驚く。
「あ、あれ……」
「本当にどうしたの?悪い夢でも見たの?」
「い、いや、それは………」
「いいからさっさと出ていきなさいッッ!!このバカ亭主ッ!!!!!」
イガラムの妻である女性がビビの着付けをしていたのだが、いつまでも出ていかない夫に対して物を投げて退出を促した。そそくさに外へ逃げ出すイガラムはずっと胸に引っかかるモヤモヤにまだ苦しめられていた。
「いや……まいった……」
「国王」
声がする方へ向いてみると
「娘の着換え姿を見に来ただけなのに…あんなに怒られるとは……」
「何やってるんだアンタはッッ!!!!!」
どうやら自分と、いや、自分よりもおかしい行動をしていたコブラ。まさか娘の着換えをみるなんて……と頭をかかえるイガラムだった。
「それで、どうしたのだイガラムよ」
「いえ…ビビ様が……また国を出る夢を……見まして……」
そう、ここに来たのは嫌な予感がしたのだ。
イガラムが見た夢では「私、海賊女王になるわ!!」と決意を決めたビビの姿だった。その瞬間に起きたイガラムはそれが夢だと分かったがどうしても確かめたくてここに来たのだ。
普通なら夢だと分かった時点で安心するのだが、ビビがここにいると確信したいまも未だに不安が消えずにいた。
「国王……もし、ビビ様がまた海に出たいと申し出たら……」
「………………そう、だな……………」
その不安の原因は分かっていた。
ここまで送り届けてくれた、元凶を倒してくれた麦わら一味。
あの人達に、あの人達の生き方に憧れを抱いていると。
そして大きな恩を返そうと考えていることを。
しかしビビは王女。危機的だったこの国の為にやらないといけないことがあることも分かっている。そしてなによりビビは国を、国民を愛している。だからこそ離れることはないと分かっている。
分かっている。のに、ずっと不安が取り除けずにいる。
そしてイガラムからの問いに対して考えていたコブラが
「…………きっと、それはビビの中で最善だと導き出した答え……なら、私はそれを応援するのみ……」
「国王ッ!!?」
「私は、ビビに、何もしてやれなかった……
国が酷い状態でも何もな………あの子は一人で、イガラム、君と共に外へ出た。その間も何も出来なかった私がこれからのビビの人生をとやかく言えるものか………」
国王として、表とはいえ海賊から国を守っていたクロコダイルを無下には出来ない。しかしそんなクロコダイルを怪しいと潜入したビビも止められなかった。
何も出来なかったのだ。
国を思うあまりに自ら雁字搦めに……身動きが取れずに……
「しかし、あの状況では……ッ」
「分かっておる。それでも…もう少し何か出来なかったのかと……考えてしまうのだ………」
「……………………」
そしてビビが連れて帰ってきた海賊のお陰で国は救われた。
クロコダイルと同じ海賊なのにも関わらず、まるで"仲間"だと思わせるぐらいに仲良くなって………
そんなビビが麦わらの一味と共に行くと行っても……
……二人の頭にはそんなビビのその後の未来を想像し
「しかしッ!!まだビビを嫁にはやれんぞッ!!!!!」
「どんな想像してんだアンタはッッ!!!!??」
「五月蝿いわよアンタ達ッッ!!!!!!!!」
…………………………
「ったく……あの男共は………」
「あはは……」
「ではビビ様。暫し休憩を。また呼びに来ます」
そういってビビとカルー以外いなくなった部屋。
カルーの怪我もすっかり良くなりぐっすりと眠っている。
そんなカルーを優しく撫でながら窓の外を見るビビ。
そこから見える景色は晴れ渡る空と砂漠。
その向こう側にルフィ達の船が…………
「私、どうしたらいいんだろう………」
返事が返ってくることはない。
それでも呟きたくなるその思いは2つあった。
国に残り王女としての務めを果たすこと。
海に出て麦わらの一味として世界を見ること。
国を出るまで何も知らなかった。と思わせるぐらい世界は広かった。特に麦わらの一味と出会って驚くことばかり。しかしそれでも楽しかった日々。
この先そうやって過ごせたらどれだけ楽しいか……
だけどそれと同じくらいにこの国と国民が大切。
これから復興していかないといけない状況で王女である自分が抜けることなんて出来ない。
どちらもビビにとって大切で譲れないもの。
しかし選ばないといけない。それもあと数時間の内に。
一度だけアルバーナに近い海岸に寄せてくれると言ってくれた。
仲間になるなら歓迎すると言ってくれた。
でも、それはビビが決めてとも言われた。
ルフィ達と共にいけばそれは海賊になるということ。
王女であるビビが海賊になるなんて…アラバスタ王国を捨てたと思われても仕方ない。さらに隣国や世間ではアラバスタの印象がグッと悪くなることも間違いない。
そんな考えがずっと駆け巡っていた。
本当に自分がやりたいこと。そして誰にも迷惑をかけないこと。
そんな都合のいいことなんて起きないと分かっていても、無駄と分かっていても考えてしまう。
そうして今でも答えが出せずにいた。
「………本当に、どうしようか……ねぇ、カルー……?」
答えが返ってくることがないと分かっていてもついつい問いかけてしまう。一人で考えないといけないのに………
「やっぱり、悩んでいたのね」
「えっ?」
声がする方へ向いてみるとルフィ達と一緒にメリー号に向かっていたはずのロビンがそこにいた。
「ど、どうして……ここに……」
「私は分身よ。そして一度でも行った場所、知っている人の所に私を咲かせることが出来るのよ」
それを聞いて呆気に取られた。
しかしすぐに「あっ、出来るのか」と思い立った。
あの戦いの最終局面で大きな手や足が現れたのはロビンの仕業だと聞いている。なら、こんなことも簡単かと……
「で、どうするのかしら?」
「そ、それは………」
その言葉に焦るビビ。まだ決めきれていない状況で問いかけられて軽くパニックするビビにロビンは珍しく謝った。
「あぁ。ごめんなさい。
問い詰めるつもりはなかったのよ。」
「い、いえ……」
「私はね、貴女に言いたいことがあったの」
「なんで、しょうか……」
警戒するビビ。
これまでのことを考えるとトンデモナイことを言われそうと思い出したからである。特にルフィに対して。
「それは…………」
…………………………
「どうだった?」
「ええ。随分と驚いていたわ」
ビビに向けた分身体を戻して記憶を見たロビン。
常時記憶を、現状起きていることを見ることも出来るが繋がり過ぎるとこっちに集中しないといけないために、必要な記憶だけを見たりこうして分身体を戻して全ての記憶を見たりしている。
「でもお兄ちゃん、これで良かったの?」
「まぁ、後はビビが決めるだけだし、いいんじゃない?」
二人だけしか分からない会話に誰も入れない。
というか、入れる余裕がないのだ。何故なら……
「お、おいッ!生きてるかお前らッッ!!!!」
「………これは、笑えないわね………」
ルフィ達はともかく、ナミやカヤ達の"普通組"もメリー号の甲板でぐったりとしていた。
常に爆炎、爆撃、爆風が浮きあげる中を必死に走らないといけないのだ。その原因がルフィ達。というかシステムである。
常に誰かが最下位になるので確実に爆発があるのだ。
それに巻き込まれるナミ達はヒッコシクラブに遅れないようにと必死に走った為に肉体的にも精神的にもダウンした。
「なんの毒を使ったんだよレイジュッッ!!!」
「普通よ普通」
「薬の効き目が遅いんだけどッ!!!」
「……サービスかしら」
「いらねぇよッ!!!!!」
この二人も走ったのだがチョッパーは獣形態、脚強化させていたために問題なし。レイジュに至ってはもう余裕があったので途中からロビンと一緒にヒッコシクラブの上で寛いでいた。
どっちにしろこの二人には後でルフィ達の解毒をしてもらうつもりだったので修業を甘めにしておいた。まぁレイジュはすでに強いのでお遊び感覚による参加ではあるがそれでもなにか掴めるものがあるということで参加してもらっている。
「な、なんでこんなに……キツイの……」
「飲みすぎよ」
「修業内容が濃くなってないですか?」
「気のせいよ」
「にしてもちょっと……」
「貴女の場合は歳よ」
「………上等だわ…ッ!!買うわよ。ロビンッ!!」
「あら、私に勝てると思ってるのベルメール?」
「「お願いだからいまはやめて〜!!」」
クタクタなのにそんな喧嘩をされたら止められないと本気でお願いする二人。しかし実際にそんなことをしている暇はない。
「はーい!起きてください。
そろそろ軍艦が来ますよー」
「そんな旅行感覚で言われてもな……」
「相手はスモーカーと同じ大佐のヒナ大佐ですから。
油断してると捕まりますよー!!」
その言葉の後、突然メリー号の近くで爆発があった。
そうここからでも見える位置に軍艦が来ていたのだ。
「や、野郎共…出航だぁ……!!」
「おお…」「おお…」「おお……」
元気は無いがそれでも捕まらないようにと必死に身体に鞭打って出航するために動き出す。しかしそんなに海軍は甘くない。
メリー号に向けて大砲を準備して玉を放つ。
しかしその玉は普通の砲弾ではなく
「や、槍だとッッ!!?」
放たれた黒槍はメリー号の胴体へと…………