好き勝手にONE PIECEで過ごします。   作:ガイドライン

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みんな……私、

「一体どうなってるの…ヒナ困惑……ッ!!」

 

ヒナ大佐が得意とする黒槍の陣。

敵船の全方位に軍艦を配置し大砲から砲弾ではなく"黒槍"を撃ち込む。砲弾とは違い爆発するわけではないが突き刺さり敵船に大きな枷として残るそれは相手を捕獲するのにはうってつけの戦法である。

 

しかしいま目の前にいる敵船、麦わらの一味も同じように黒槍を撃ち込み足止め、もしくは船を沈める算段だった。

 

「大佐ッ!!!黒槍が効きません!!!!」

「チィッ!!!」

 

親指の爪を噛み苛立ちを抑えているヒナ。

敵船に放たれた黒槍が全て胴体に刺さる前に落とされているのだ。

 

伸びる手、飛ぶ斬撃、燃える脚、ありえない神蛇、黒槍を溶かす毒。

それだけではなくあの海賊は一人一人が実力があり、放つ黒槍を確実に防いでいる。

 

そして一番やっかいなのは……

 

「………ニコ·ロビン……ッ!!!」

「ふふふ。お久しぶりね、ヒナ」

 

憎しみを帯びた視線を送るヒナ。

目の前には敵である海賊ニコ·ロビン。

捕まえる。のが目的だが捕縛が得意とするヒナの能力でも非常に厳しいと肌で感じている。

 

突然軍艦に、自分の目の前に生えたニコ·ロビン。

それは明らかに悪魔の実を………

 

「こんな殺気を放った貴方は知らないわよ……」

「………知らない。そう、そういえばそうなるのかしら……」

 

はぁとため息をつくロビン。

油断しているように見えるが全く隙がない。

周りの海兵も息を飲み臨戦態勢を取り続けている。

 

「さっきから何を言っているのか知らないけど……貴女を捕らえるわ」

 

「そういうことは、」

 

するとバタバタと周りから音が聞こえる。

周りの海兵の両肩に手が生えてきて、その手が海兵の首を締め始めたのだ。

ここにいた全海兵が一斉に首を締められて落ちる。

残されたのは、ヒナ。ただ一人。

 

「私を倒せる実力を持ってからいうものよ」

 

そしてヒナのまた肩から手が生えて、そして意識はゆっくりと薄れていき、霞んでいく視界には微笑むロビンの姿がうつっていた。

 

…………………………

 

「………………マジか……」

「とんでもねぇな、師匠は…………」

 

飛んでくる黒槍にうんざりしたロビンが「もう、面倒くさいわ」という理由で、周りにある軍艦を、海兵をたった一人で倒してしまったのだ。

 

ルフィを始め麦わらの一味はもう慣れた光景なのかもしれないが久しぶりに見たロビンの恐ろしさにエースとサボは恐怖を思い出していた。

 

この前起きたロビンVSニコルの対戦は規格外すぎて実感はなかったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あれ?ヒナも気絶させたの?」

「えぇ。どうやら私を正しく認識してないみたいだから」

 

「そっか。もうニコルとして向こうもいるから、こっちが言わない限りはニコル=ロビンって分からないか……」

 

「私としてはあの子はしつこいからこれでいいのだけど……」

 

なんか周りには分からない会話をしている二人。

とにかく海軍を倒したいま、目的地へと船を急がせるのだった。

 

…………………………

 

「………何を心配するイガラムよ…」

「そうはいいますが国王…ビビ様ですぞ…」

 

もうまもなくビビのスピーチをする時間。

それでもイガラムは未だにビビがこの国を出るのではないかと危惧していた。

 

あの麦わらの一味との日々はビビにとってとても大切なもの。

それはきっとこの国を天秤にかけるほどに……

 

でもビビには王女としてこの国を守る使命がある。

だからこそこの国に残る。そんなこと分かりきっているが…

 

「私は、ビビ様が何かをやらかすかと……」

「おいおい、そんなこと……」

「酷いわイガラム。そんなこというなんて……」

 

その声の方を見るとそこには正装したビビ。

ちょっとむくれた表情でイガラムを見たあとに

 

「でも、そうね……ルフィさん達と一緒にって…思ったわ……」

「ビビ様……」

 

「お前が決めたなら何も言わん」

「ありがとう()()()!」

 

にこやかに笑うビビを見たイガラムの心はやっと落ち着いた。

そしてスピーチをする場所へ歩むビビの後ろ姿をコブラは何処と無く淋しげな表情をしていた。

 

そしてスピーカ用のでんでん虫の前で止まると、そこから下に、広場に集まっている住民が一斉にビビの名前を叫んだ。

一通り皆に向けて手を振ったあとにマイクを取ったビビはスピーチを始めた。

 

『……少しだけ冒険をしました』

 

その声が聞こえると誰もが声を出さなくなった。

スピーカ用のでんでん虫はこのアラバスタ全土に広がるようにしてある

 

『それは暗い海を渡る“絶望”を探す旅でした

 

国を離れて見る海はとても大きく

そこにあるのは信じ難く力強く

 

島々見た事もない生物、夢とたがわぬ風景波の奏でる音楽は

時に静かに小さな悩みを包み込む様に優しく流れ時に激しく

弱い気持ちを引き裂く様に笑います』

抽象的なそれは国民から実体験ではないかと話ものもいた。

一部の人間しか知らないのだ。この国を救った英雄が本当は誰なのか……

 

『暗い暗い嵐の中で一隻の小さな船に会いました

船は私の背中押してこう言います

「お前にはあの光が見えないのか?」』

 

国民にはこの話が海軍と共に救った話だと思っている。

何もしてくれなかった海軍。そして海賊に救われた国。

そんな真実は世間からも疎まれる。下手したら拒絶もある。

だからビビとしても抽象的なことしか言えない。それでも…

 

『闇にあって決して進路を失わない

その不思議な船は踊る様に

大きな波を越えて行きます

海に逆らわずしかし船首はまっすぐに

たとえ逆風だろうとも、そして指を差します

「みろ、光があった」

歴史はやがてこれを幻と呼ぶけれど

私にはそれだけが真実』

 

他の人に届かなくとも、それを知っている人達に。

この感謝の気持ちと、そして決断したこの思いを届ける。

 

…………………………

 

少し時間が戻る。

ビビとの待ち合わせに指定した海岸にたどり着いた一行。

しかし時間になっても来ないビビ。それでも待ち続ける一行にビビのスピーチの声が聞こえた。

 

そう、ビビは国を選んだのだと……

 

「行くわよルフィ」

「ちょっと待てよ!!!きっと来るからッ!!!」

 

「無理よ。分かるでしょうあの子は国を選んだのよ」

「そんなことねぇ!!海賊は自由で楽しんだぞッ!!」

 

「そこまでにしろルフィ。俺達とビビちゃんじゃ立場が違うんだ……」

 

ルフィだけじゃない。ナミもサンジも、誰もがビビが来ると信じていた。それでもここにはいない。スピーチが流れている。

なら、ビビが選んだ道は国だと………

 

「で、でもよ……」

「ルフィ。こいつはどうも出来ねえよ」

「あぁ。それに一生懸命に選んだ道なんだ。そいつをお前が応援するもんじゃねえのか」

 

「……………………………」

 

黙り込んだルフィ。二人の兄の言葉には確かに自分でも納得がいくものだった。

でも、それでも、ビビが仲間になると信じていた。

 

………『歴史はやがてこれを幻と呼ぶけれど

私にはそれだけが真実』………

 

しかし聞こえてくる声はビビである。

これ以上は無理だと、ルフィでも理解したのだろう。

 

「………出航だ…」

「おいルフィッ!!!」

 

その言葉に待ったをかけようとするウソップ。

しかしその手を優しくカヤが止めた。

そしてウソップが見たのが血が出るんじゃないかと思うぐらいに握りしめたルフィの手だった。

 

同じ気持ちなんだ。

それでも船長として決断したそれをヤスヤスと変えれない。

ウソップもその決断を受け取りながらも苦しみの表情をしながら出航の準備を始めた。

 

「ッ!!!?海軍が追いついてきたぞッ!!!」

 

出航を決断したタイミングで海軍が追いついてきた。

直様出航をしないといけないと誰もが己の役割を努めようとしたとき

 

『そしてみんなァ!!』

 

その言葉に誰もが振り向いた。

海岸のそこに、いるはずのない姿が……

 

「ビビだぁッ!!!!」

「来たぞッ!!船をつけろッッ!!!!」

「海軍なんて関係ねえ!!!!」

 

そう誰もが、ビビが海賊を選んだと思った。

しかし、ここからでも見える。その瞳は潤んでおり

 

『お別れを!!! 言いに来たの!!!』

「…………ビビ…………」

 

涙を流さないように必死に堪えるビビ。

それを誰もが、ビビの言葉を待った。

 

『私一緒には行けません今まで本当にありがとう!!!

冒険はまだしたいけど

私はやっぱりこの国を愛してるからだから行けません!!!

私は─私はここに残るけど…!!!

いつかまた会えたら!!!

もう一度仲間と呼んでくれますか!!?』

 

その言葉にルフィは「もちろんだぁ!!!!」と叫ぼうとした。

しかしナミにそれを止められたのだ。それを言ったら近くにいる海軍にビビが海賊と関わりがあるとバレてしまうから。

 

だから何も言わずにその場を去るしかなかった。

ビビの目からは誰もが背を向けて、その場を去ろうとする姿が……答えはそういうことだと見せられているようで

 

もう我慢できずに溢れてきた涙、だったが……

 

「ッッ!!!!!??」

 

仲間の印が見えた。

アラバスタに上陸する前に腕に書いた"☓"の印が。

あの時ルフィが放った言葉が鮮明に浮かんできた。

 

『これから何があっても左腕のこれが仲間の印だ』

 

そうだ。この印がある限り私は仲間だと。

それが分かったビビの瞳からは沢山の涙が、それでもしっかりと去りゆくメリー号を目に焼き付けて………

 

「出航だああぁぁッッ!!!!!!」

 

…………………………

 

「もう海軍は追ってこないようだな……」

 

背後から来ていた軍艦はもう追ってきていない。

それを確認したゾロが甲板へ目をやると

 

「「「「「「ざみじいぃぃーッ!!!」」」」」」

「まだやってるのかよ……」

 

ルフィを始め、一味の殆どがビビのお別れに涙を流していた。

予測していたとはいえ訪れた別れには相当堪えたようだ。

平然としているとすればゾロを始め、レイジュとハジメとロビン。そしてエースとサボはそんな様子を苦笑いしながら眺めている。

 

バーストとキロロとカラーは航海するためにそれぞれ分担して作業をしていた。もちろん常にロビンが監視しているがいまこの一味より頼りになるのは間違いない。

そしてゾロもそんな頼りにならない者達に対して

 

「アイツが選んだ道だろうが。いつまでもクヨクヨするな」

「うわぁ。サイテイ」←ナミ

「鬼」←くいな

「悪魔」←カヤ

「鬼畜」←ノジコ

「バカ」←ベルメール

「ボケ」←ギン

「アホ」←ウソップ

「クソ」←サンジ

「ハラマキ」←ルフィ

 

「ぶった斬るぞテメェらッッ!!!!!!!!」

 

いままでにないほど悪口を言われたゾロはすでに刀を抜いて本当に切ってやろうと思うほど激怒した。

それを遠くから見守る残りの3人。

レイジュはサンジが作ったジュースを飲みながら

 

「海賊なのだから、仲間の別れなんてあるでしょう」

「まぁ、別れも初めてなんだから」

 

「生きて別れるのだからいいほうよ。死に別れ。その時が来たらどうするつもりなのかしら?」

 

「マイナスなこと言わないの」

 

そう。海賊なのだからそういう仲間との別れがある。

本編ではそんな別れは………いや、それはいま気にすることではない。それさえも変えてしまえばいいのだ。

 

「そうよ。それにお兄ちゃんが()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それって……」

「ロビン。言い方、言い方」

 

そんな事をしている3人をよそに、ゾロ達はまだあんなやり取りを続けていた。

 

「ハラマキって悪口なの??」

「ちげぇーのか?」

「いや、それただの特徴だろ」

「なら剣士ッ!」

「ルフィ君。それ私も含まれるから…」

「なら三刀流ッ!!」

「それ褒めてねぇか……」

「じゃ……緑頭ッ!!」

「だから特徴だよね……」

「方向音痴ッ!!!」

「「「「それだッ!!」」」」

 

「お前ら………」

 

頬がピクピクと動いている。

必死に我慢しているが、ルフィ達はアイコンタクトをして

 

「うわぁ。サイテイ」

「鬼」

「悪魔」

「鬼畜」

「バカ」

「ボケ」

「アホ」

「クソ」

「方向音痴」

「ハラマキ」

 

「マジでいい加減しやがれテメェらッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「…………うん??」」」」」」」」」

 

なにか、違和感があった。

確かにゾロへの悪口はうまく言ったのだが、何故か"ハラマキ"が抜けていない。

 

そしてその声は、皆が集まっている甲板からではなく船内に入る扉から…………一斉にそちらを見ると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビ、ビビイイイイイィィッッ!!!!!!!!」

 

照れ隠しをしながら手を振るうビビの姿が、ここにいるはずのないビビがそこにあったのだ。

その喜びにビビに抱きつこうと本能的に動くはずだった。

そう。そのはずだった。

 

しかしビビの様子が違ったのだ。

いや、見たことのあるものとビビが掛け合っている状態であり、決して想像出来なかった光景に誰も彼も頭がパンク寸前。

 

そしてトドメを指したのはビビ本人だった。

 

「みんな。私………海軍に入ったの!!

 

「「「「「「「「「「は、はあああああああぁぁぁッッッ!!!!!??」」」」」」」」」」

 

そこにいたのは海兵が着る軍服を着こなしていたビビの姿だった。そして後ろにはカルーもいた。

 

そんな姿を見てハジメはこう呟いた。

 

「………さてさて……()()()()()()()()()()……」

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