好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
「実に腹立たしい。生贄という自覚はないのか??」
「あるわけねぇだろうチクショーッッ!!!!!」
フザという鳥の背に乗りシュラはウソップにフレイムダイヤルを埋め込んだ槍を突き立てる。間一髪避けるが後ろにあった大木は突き刺さった場所から燃え上がりあっという間に大木全体に火が回った。
たった一撃でも喰らえば火傷では済まない。
下手したら壊死するほどの……
それを本能で理解したウソップはとにかく逃げる。
「普通なら昨日の時点で生贄の祭壇に置かれたお前らの仲間を処分する予定だったのだ。しかし我が神エネル様の負傷によりズレ込んだとはいえ、貴様らは裁かれないといけないのだ」
「知るかよッ!!!こっちはなにもしてねぇだろうが!!!!」
「この国への不法侵入。そして神聖なアッパーヤードへの入った時点で死刑だ」
「んなムチャクチャだッッ!!!!」
何度も何度もシュラは槍を繰り出すがウソップもそれを避けている。普段ならハンマーやジュータンに乗って宙を舞い、シュラが持っている槍を花束に変えてしまい、驚いているところにその花束から肉食植物を放って倒す。そんな算段なのだが
(チクショー!!!マジック無しって……こんなにもキツイのかよッッ!!!!!!)
いまはロビンにマジックの使用を禁止されている。
戦闘の基盤になっていたマジックを取り上げられどう戦えばいいのかパニックになったウソップは反撃も出来ずに逃げ回っているのだ。
しかし逃げ回っているウソップをシュラがそのままにするわけがない。
これは紐の試練。その意味がやっと分かるときが来た。
「ッ!!!!な、なんだ!!?身体が…動かねぇッッ!!!!??」
突然身体の動きが止められたのだ。
逃げようにも
「やっと掛かったか」
「何を、しやがった……!!」
「ここいら一帯に見えない"紐"が張り巡らせてある。
分かるだろう??貴様はいま"蜘蛛の巣"にかかった状態なのだ」
よく見れば確かに細い細い紐が身体中に絡まっている。
そして見えづらいが光の具合で周りにも無数の紐が張り巡らせてあるのが分かった。
つまりさっきまで逃げ回っていたのは、避けているじゃなく《避けさせられていた。つまりは誘導されていたということ》。
気づくのが遅すぎた。紐は完全にウソップに絡みついている。このままだと……
「さぁ、喜べ。貴様はエネル様に捧げられる供物となるのだ」
「ふ、ふざけるなッッ!!!!」
どうにかして逃げないといけない。
しかしウソップの力ではどうにも動かない。
いまそれが出来るとすれば…………
(な、何を考えてるんだ俺はッ!!!!そんなことしたら死よりも恐ろしいお仕置きが間違いなく待ってるぞッッ!!!!!)
顔を出さないミニロビンだがきっとここで助けを頼んだ時点でお仕置き確定。それも味わったことのない地獄を受けることになる。
いやそれよりも
(カヤに………こんな情けない姿をカヤに……見せて、たまるかああああぁぁぁッッ!!!!!!)
動けない右手を、紐が肉に食い込み血が流れていても、それでも力づくでバックに手を伸ばしてあるものを取り出した。
「ワリィ。一緒に、燃えてくれッッ!!!!」
「なにッッ!!!!!??」
取り出したのは火薬星。それも一つではなく手に溢れる程に握りしめたそれを二人の間に投げつけ一帯を爆炎へと変えた。
………………………………………
「ねぇ。どうして狙撃、しなくなったの??」
「な、なんだよいきなり……」
マジック道具を手入れしている時にフッとカヤに聞かれた事があった。ウソップの父親、ヤソップは狙撃の名手。その息子であるウソップも間違いなく腕利きの狙撃手。
しかしいまは狙撃よりもマジックで戦闘に立っていた。
それはウソップにとって"強さ"そのものといっていい。
だからそのマジック道具をこうして整備していたのだが
「ウソップさん。昔はお父さんのようになりたいって言ってた。でもマジックを手にしてからドンドンしなくなって……」
「………なんだよ。マジックを止めろって言いたいのか??」
「違うわ。そうじゃなくてマジックと同じぐらいに狙撃はウソップさんの力じゃないの??」
カヤの言っていることは分かっている。
離れた場所からアリンコの眉間を撃ち抜く。そんな父親と同じ狙撃に憧れて、そして間違いなく狙撃の腕はあると自分でも思っている。でも
「……狙撃は、遠距離による後方支援だろう。誰にも気づかれずに敵を討ち取る。まさに隠れた花道だ」
「なら……」
「でもよ………そしたら間近でお前がピンチな時に俺は力になれねぇ!!!!!!」
狙撃が嫌いになったわけではない。
むしろ狙撃こそ自分のやるべきものだと分かっている。
それでもマジックを主力として使っているのは"守る人"の存在。
「どうしても近戦闘じゃ狙撃は不利だ!!!!ならそれにあったマジックを使うしかねぇんだよッッ!!!!!俺はお前を守るって決めたんだッッ!!!!!!」
マジックならどんな状況でも対応出来る。
近戦闘も長距離も、カウンターなんて息をするように使える。
肉弾戦になろうがその場から姿を消して背後やトラップなんてものも用意出来る。
でも狙撃だけじゃ、
自分の意地よりも、守りたいものを守るために……
するとハァーとため息をついたカヤが、両手でウソップの顔をパシッと挟むように叩いた。
「か、カヤッッ!!!!??」
「ウソップさんのバカッッ!!!!!!」
まさかのバカ発言に動揺するウソップ。
しかしカヤを守るためにやっている行為をバカと言われたウソップもまた腹がたち言い返そうと
「お前ッ!!!俺はお前をッ!!!!」
「絶対にそれは間違ってる!!!!ウソップさんには狙撃は必要なのッ!!!!!」
そんなことをいいながら涙目になるカヤを見たウソップは毒気を抜かれたように大人しくなり、目の前の、守りたい人を見つめていた。
「嬉しい。ウソップさんがそんなにも私のためにしてくれるのはとても嬉しい。………でも、それでウソップさんが我慢するのは間違っている」
「……カヤ………」
「私を見て。私はもう、元気なったの。
昔の私とは違うわ。いまはウソップさんの隣で一緒に戦える。いられるの。だから我慢しないで。忘れないで。ウソップさんが一番やりたかったことを」
まっすぐ見つめてくるカヤの瞳に吸い込まれそうな気分だった。その言葉に胸が熱くなっているのも感じた。
「それに、ウソップさんなら、マジックも狙撃も、完璧にこなして、お父さん以上の人になれるって……信じてる」
………………………………………
吹き上げる爆炎と煙の中を後ろへとジャンプして回避したシュラ。少しでも回避が遅れれば巻き込まれていた。
「ッ!!!ヤケを起こしたか……」
燃え上がる炎に、もう助からないと悟ったのかシュラはその炎を背にしてこの場を去ろうとした。が
『………やってくれたわね』
「こうしないと抜けれねぇと思いまして………許してくださいッッ!!!!!!!」
声が、聞こえた。
あの炎の中から声が
そして感じたのだ。その片一方が
(な、なんだ…それはッ!!!!)
とんでもなく巨大な何かだと感じるほどのプレッシャーを…
そして、エネルが言っていたように頭に流れ込んでくる意味不明な言葉の数々を………
気が狂いそうになる。すぐに
(あ、アレは…ヤバイッッ!!!!エネル様、いや、それ以上の……ッッ!!!!!)
恐怖で動けなくなった自分に、驚くシュラ。
全身がガクガクと震えている。まさに恐怖に負けた敗者のように………
『……まぁいいわ。あと1分。あと1分で片付けなかったら……分かるわね??』
「イエス!!!マムッ!!!!!」
掛け声と同時に炎が上空へと移動し、そして煙だけになったその場所に目掛けて炎が落ちていく。そして
「……わりぃが、時間がねぇから一気にいくぞッ!!!!」
「ッッ!!!!青海人如きがッッ!!!!!!」
そんな言葉に怒りで、さっきまで動けなかった身体を動かしウソップに襲いかかるシュラ。フザは
あの爆発で周りの紐は千切れはしたが向かってくる敵とシュラの間にはまだ紐はある。このまま直進すればまだ紐にひっかかり動きが止まったところで確実に仕留める。
そんな算段だったシュラだったが、読みが甘かった。
もしかしたら心網を解除しなければ少しは違っていたかもしれない。それでもこの戦いは…………ウソップの勝利に終わる。
もう少しで仕掛けた紐にウソップが引っかかるところだったが突然、その紐を支えていた大木が爆発したのだ。それも一つ二つではない。二人の間にあった全ての紐が爆発により解けてしまったのだ。
何故!と思ったシュラだったがすぐにそれは分かった。
上空から何かが落ちてくる。それが紐を固定している大木に当たっているのだ。
そう。ウソップはすでに見切っていた。
火薬星により紐から開放されたウソップはその爆風により揺らめく紐を
しかしこんなこと普通は出来ない。打ち上げれば上空は風がある。ましてやいま爆風が拭き上げていて、さらに今から炎と煙をバックへ収納するさいに起こる風。そして見つからないようにギリギリで大木に当てるタイミング。
そしてそれを目の当たりにしたシュラはヤケを起こしたのか単調な攻撃を、槍をウソップにぶっ刺すしか思いつかなかった。
「クソがあああああぁぁぁッッ!!!!!」
ヤケになった相手を倒す。いまのウソップにそんなこと
「見なくても、当てれるぜッ!!!!」
取り出したのは灰色に蠢く玉。
それはさっきバックに入った炎と煙の集合体。
煙で炎を包み込んだその玉を手に取ったウソップはなんの迷いもなくシュラに向けて放った。
「必殺!!
煙に包まれ熱が逃げ切れなくなった炎は、シュラに当たった瞬間に酸素を大量に消費しながら周りに広がり、瞬間的に大爆発と大炎上を引き起こした。
シュラの槍は完全に破壊され身につけた服も焼け落ち、爆発によって吹き飛ばされたその身体は大木を次々になぎ倒し最終的にミルキーロードに落ち沈んでいった。
さっきまでいたシュラの場所はメラメラと炎が立ち上り、さっき炎が上がっていたものよりも倍以上の炎が辺りを燃やしている。それをみたウソップは
「………………へぇ??」
『やるじゃないウソップ。自然破壊者の称号をあげるわ』
不名誉な称号を持ったウソップだが、そんな言葉は届いてなかった。ウソップ的にただ自分に受けた爆発と炎をそのまま返しただけだったのに…………
それにとっさに手に取ったあの玉も
いま分かっているのは、何もかもハジメが関わっている。
「…………お前ら、兄妹って……何なんだよ………!!」
「結婚を決めた世界一幸せカップルよ」
聞きたかった言葉は帰ってこなかったが、とにかく。
とにかくウソップのお仕置きは回避されたのだった。