好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
二年後。
えっ、その二年間は何をしていたのかだって?
とにかく毎日筋トレや実践戦闘の繰り返し。
レイリーさんがいうには実践戦闘はともかく筋トレはヤバいらしい。
普通は傷ついた筋肉が修復して肥大化していくもの。
そしてそれは時間が経てば縮小していくもの。
だけどその縮小が僕にはないようで、能力により一番いい筋肉がついた時点で一時停止して筋トレでどんどん大きくなっていくらしい。
そんなに筋肉大好き!みたいにならないようにしないとなー
なので途中から実践戦闘がメインになった。
あっ、覇気に関しては才能なのか能力のお陰かレイリーさんから教わることはほとんどなかったようだ。
で、ある日のこと。
「あっ、レイリーさん」
「なんだいハジメ」
「出掛けたいんですけどいいですか?」
「………被害は最小限にするんだぞ」
最近僕がどこか出掛けるというと必ず遠い目をする。
あれ、僕何かしたかなー
「……ちなみに、何処に行く気だ……」
「オハラです」
「君は!!また!!問題を起こす気かあッ!!!!」
そんなつもりはないのだが有無も言わさずに鉄パイプに武装色を纏わせて頭に向かって振り抜いた。
まぁ、一時停止の前では能力者をとらえるはずの武装色さえも意味を持たないらしい。
つまり本当にこの「トメトメの実」は最強種だったようだ。
で、意味もなく頭に当たった鉄パイプはただ折れただけになり僕はまったくダメージはなかった。
それでもレイリーは殴らずにはいられなかったようだ。
「……はぁ~、行くのを止めろとは言わない。言っても君は聞かないからな」
「ですね」
「ですね、じゃない!!!」
温厚だったはずのレイリーは何処に……
まぁ、ハジメと二年も一緒にいれば温厚なレイリーでもキレるのは必然である。
「……ハジメが無意味なことをするとは思わん。
だが、オハラはいまはダメだ……」
「世界の秘密を知るからですか?」
「ッ!!!!??
……一体どこまで……」
「全然ですよ。
ただオハラが何をしているのか、そしてその敵はどこの誰なのかは知ってます」
世界政府。
名前だけで国民、いや世界を騙している親玉。
僕の認識はそんな感じなので大嫌いである。
そして僕の大切な考古学者に消えることのない傷をつけようとしているのだ。見過ごすわけがない。
「……何をするつもりだ」
「ある考古学者の少女を救いに。
その結果がオハラを助けることになるかは分かりませんけど」
「………こういうと薄情ものかと思われるかもしれないが全てを救おうなど神でもないかぎり無理だ。
そこの線引きはハジメ、君がするしかない。それがその少女の大切な人達だとしてもだ」
「分かってますよ。
でも僕は救えるものを救うだけです。
神なんて思ってません、手に届くなら掴むだけですので」
そういって歩きだそうとしたハジメをレイリーが静止させる
「……君は、ハジメは
「知っているのはこの先、この海で最も自由に生きる人達のことだけです」
…………………………
オハラにたどり着いたハジメの目の前ではあり得ない光景があった。
「……ひ、酷すぎる……」
すでにバスターコールが押されて全知の樹は燃えていた。そしてオハラの近くにいたと思われる民間船も燃えて海に沈んでいくところだった。
そう後の赤犬がオハラの考古学者を、いや、オハラの人全てを逃さないように一般人に向けて大砲を打ったのだ。
この時から行き過ぎた正義を執行している。
それを目の当たりにして平常心になんていられなかったのだが、当初の目的を思い出したハジメはグッと堪えてオハラに上陸した。
もちろんここまで小舟と一緒に一時停止をしていたので見つかる問題はなかった。
しかしONE PIECEの海はそれだけで生き残れるわけもなく、大シケや災害など当たり前のようにあり、たどり着くまでに大幅に時間がかかった。
出来るならもっと早く来たかった。
二年前から知っていたからすぐにでもオハラに来たかった。
しかし自分が向かったことによる想定外の出来事がオハラの最期を早める可能性があった。
なぜならこの二年間の間にレイリーがハチに助けられるという出来事がまだ起きていないのだ。
それは僕がレイリーに修行をつけてもらっているから。
つまり、自分の行動がどんな風に動くか分からない。
それも二年前に接触するなんて危険すぎた。
だからオハラが終わる直前にと思ったが、まさにいまオハラが終わりを向かえるタイミングで着くなんて……
「間に合って……くれ……」
全速力で全知の樹を目指すハジメ
ここまでくれば少女は、ロビンはサウロに、青雉クザンに助けられているはずだ。
そこに介入すればきっと歴史が、僕の想像よりも大きくずれる可能性がある。
なら今僕が救うのは
『燃えてなくなるよりマシだ!!!』
『文献を図書館の外へ!!!』
『一冊でも多くの本を!!!』
『一節でも多くの文章を残せ!!』
『数千年もの先人達の言葉が・・・未来へ届くように!!! 』
遠くからでも聞こえる必死の叫び声。
燃え盛る『全知の樹』の中では、学者達が総動員で樹の中の本を外の湖へと投げ落としていた。
もう目の前まで来ている。
なのに全知の樹が音を立てて倒れ始めていた。
「……ま、に、あええええぇ~!!!!」
その樹もとうとう全てが燃えて、倒れた。
全ての本を持ち出すことは叶わなかった。
そして全知の樹の中には考古学者達が、一人の考古学者がやっと会えた娘の事を思っていた。
(ごめんねロビン…私は母としての言葉さえ、あなたに残せなかった……。)
そう聞こえない言葉を残して母、ニコ・オルビアは静かに目を閉じてこの運命を受け入れた。
数日後、レイリーの元へハジメは戻ってきた。
しかしその顔は生気を失い、いつ倒れてもおかしくない状態だったという。
そしてハジメはいまぼったくりBARで看病を受けていた。
ハジメの額からタオルをとり、新しいタオルを額においたシャッキーはどういう状況だったのかいま聞き終わったところだった。
「つまり…間に合わなかったのね……」
「……そうだろうな……
…新聞にもオハラは終わり、生き残りのニコ・ロビンが賞金首になったと載っている」
「まだこんなに小さいのに……」
「あぁ、それでも世界政府にとっては脅威なのだろう。
そしてそれをハジメは知っていたようだ」
「ッ!!?
一体何者なのハジメちゃんって……」
すると話を返事するかのようにハジメの指が僅かに動いた。そして目を開けて意識を取り戻した。
「ここがどこか分かるハジメちゃん?」
「はい、分かります」
「今日はもう休みなさい。
話は後日にでも聞こう」
「いえ、大丈夫です」
上半身を起こしたハジメ。
少し顔色が良くなってはいるがまだ体調が悪いようだ。
「………残念だったね。
こういう時人は無力だ、助けたくとも助けられない」
「…………」
「それでも君が行ったことは無駄じゃない。
彼らもきっとハジメに感謝してるよ」
「そうですね。
感謝され過ぎて死ぬかと思いましたから……」
「ハジメちゃん、今日はもう寝たほうがいいわ。
気持ちの整理がついてから……」
「いえ、ここももう危ないです。
早く移動しないと捕まりますので」
そういって立ち上がろうとするハジメをレイリーが止める。
「海軍なら私が追い払おう。
……そうか、君もオハラに関係したと見なされたのか……」
「……そんな……」
「オハラに関係したといいますか、悪魔に取りつかれたといいますか……」
「そうだ、ハジメは知らないかもしれないが「ニコ・ロビン」は生きてるよ。賞金首をかけられたのだかね……」
「はい、知ってますよ。
もう悪魔のごとく付きまとってきましたから……」
「「………………うん?」」
そこで異変に気づいた二人。
どうもハジメと会話が噛み合わない。
それどころか……
「ちょっ、ちょっと待つんだ!?」
「はい、待ちます」
「どうやらハジメと私達の持っている情報に食い違いがあるようだ。
どういうことだ、オハラは滅びたのではないのか?」
慌てている二人にハジメはいつものペースで、無表情でこう語ったのだ。
「はい、オハラは滅びました。
でも全知の樹にいた人達は助かりましたよ。
そのあと一時停止で皆さんの存在を消して島から脱出。
流石に船はなかったので海軍の船に人を割り振りましたけど。
で、そのあとにニコ・ロビンの元にお母さんを連れていったら喜んでくれたのは良かったんですけど、なんか妙になつかれまして、何処に行っても「お兄ちゃん、お兄ちゃん」って付いてきて……なんとか皆さんがいる隠れ島に連れていって別れてきたんですけど、もう行動力がすごくて、何処に行っても居場所が手に取るように分かるんじゃないかってぐらいに付いてくるので、何度も何度も振り切ってやっとここまで……
でも、あの「悪魔」はまたすぐに来ます。
なのですみませんが僕はしばらく消えます。
それをいいに来たのです、では」
そういって姿を消したハジメ。
残された二人はただただため息しか出なかった……