好き勝手にONE PIECEで過ごします。   作:ガイドライン

70 / 268
料理長と副料理長と……

「ほら、スープだ」

「ありがとう」

 

 

金を払えば客。腹を空かせていたら客。

なんとも海賊が襲ってくるかもしれないこの海では馬鹿げた言葉だ。

 

しかしそれが実現できるほどこのバラティエのコックや副料理長や料理長は強い。

 

特に料理長である“赫足のゼフ"

グランドラインで名を馳せた海賊。

その海賊がいまや東の海(イースト・ブルー)で料理長。

 

その料理長が自らロビンに料理を提供している。

 

 

「でも意外ね」

「なにがだ?」

 

「貴方が"弟子"を取ることよ。

仲間はいたようだけど、"弟子"を取る風には見えなかったわ」

 

「……ふん。気まぐれだ」

 

 

そんなことをいって厨房へ戻るゼフ。

出されたスープをスプーンで掬い優雅に口へ運ぶ。

そんな様子を周りの客が釘つけとなっている。

 

中身は超超超残念だが、見た目は絶世の美女。

サンジも簡単にメロメロになるのも頷ける。

しかし見た目と中身が天と地、いや、天国と地獄並みにかけ離れているため、未だにショックから立ち直れていないサンジだった。

 

 

「……あんなに…お美しいのに……」

 

「中身が残念、って絶対にいうなよ」

 

「当たり前だろうがッ!!

というか、なに普通にメシ食ってやがるッ!!」

 

 

そんなこといいがならキチンとルフィ達のテーブルに料理を運ぶサンジ。ルフィは出来るだけ散らからないように気を付けながら爆食い。ゾロは酒を飲み、くいなやナミやノジコはおしゃべりしながら食べている。ウソップとカヤはなんかカップルのように……なんてことはなく、ためにもならないうんちくをカヤに披露するウソップ。それを楽しく聞いているカヤ。

 

 

明らかに他の客達から浮きまくっている。

 

 

「いいじゃねえか。あのオッサンから修理代いらねぇって言ってくれたんだからよ」

 

「だとしてもそんな食い方をするやつをこのレストランにおけるかッ!!」

 

「サンジ君?って言ったかしら?

ルフィ君には私から言っておくから…ダメ?」

 

「ぜーんぜん!!大丈夫でーすッ!!!!」

 

 

ルフィに出ていけというサンジだったがノジコの言葉に簡単に手のひらを返した。もうロビンのことは諦めてターゲットをノジコ達に変えたようだ。

 

 

「よければスペシャルドリンクをご用意しますが」

 

「そうねー。ナミはどうする?」

 

「可愛いやつがいい」

 

「好きねー可愛いの」

 

「可愛いは正義よ、ノジコ」

 

「はいはい。私は少し度が強いの。くいなは??」

 

「せ、清酒があるなら…」

 

「渋いのね」

 

「お、お父さんが飲んでいたので……」

 

「カヤはどうする?」

 

「私はお酒はちょっと…」

 

「ならカヤにはオレンジジュースで」

 

「すぐにご用意しまーすッ!!」

 

 

クルクル回りながら厨房へ消えたサンジ。

野郎共のドリンクは聞かずにさっさと消えたことに「ひ、ひでー……」とウソップが呟いた。

 

すると外がなにやら騒がしくなり、その元凶となるものが店へと入ってきた。

 

 

「??なんだアイツ?」

 

「すげぇー格好してるなー」

 

 

ゾロとルフィが気になるもの分かる。

ピンクの髪の毛に、異様なワンピース、そして特徴的な()()をしているのだから。

 

 

「サンジいる?」

 

 

するとコックの一人が「サンジー客だぁー」と呼ぶと、さっき注文したドリンクを器用に持ちながら厨房から出てきた。

 

 

「あぁ。野郎じゃねえだ…ろう……な……」

「来たわよ、サンジ」

 

 

するとせっかくバランスよく持っていたドリンクを全て床に落としてしまったサンジ。

その姿にどうしたんだと周りの人達が注目する。

しかしコック達はニヤニヤしていてどうやら知り合いのようで……

 

 

「また来たのかよ()()()()ッ!!

「ええまた、来たわ」

 

 

どうやら知り合い、というかどことなく二人が似ているなーと思っていると

 

 

「……ったく、そんなに抜け出していいのかよ。

……重要な任務中なんだろうが…」

 

「えぇ。でも息抜きも必要よ。

こうして()の様子も見にこれるし」

 

 

弟。

どうやら二人は兄妹のようだ。

しかしどうも弟のほうは姉に苦手意識があるのか、距離を取っているように思える。

 

 

「だったらさっさとメシ食って帰れ。

俺はまだ"アイツら"を…許したわけじゃねえ」

 

「ふふふ。"アイツら"ね……」

 

「……なんだよ……」

 

「いいえ。私の弟は本当に優しい弟だなーと思っただけよ」

 

「う、うるせぇ!!さっさと席につきやがれッ!!」

 

 

照れ隠しなのか頬を赤くしさっさと厨房へ戻る。

サンジが受けたドリンクは別のコックがノジコ達の元へ持ってきてくれた。

 

レイジュという女性は辺りを見渡しながら、ある一つの席を見て驚いた表情をした。

 

そしてゆっくりと近づき、その席の女性がワインを飲み終わるのを待って

 

 

「……まさか、弟に会いに来て…貴女に会えるなんて……」

 

「久しぶりねレイジュ」

 

 

冷や汗をかきながらも冷静を装うレイジュ。

一方ロビンは懐かしいレイジュを見て優しい瞳で見ていた。

 

 

「貴女達を探していたのに、こんな風にいるとは…予想出来なかったわ……」

 

「達、ねぇ…言っておくけどお兄ちゃんはここにはいないわよ」

 

「ッ!!?……ハジメがいないのに…その落ち着きよう……

…………世界は滅びるの…かしら……」

 

「失礼ね」

 

 

いや、ロビンを知っているなら誰でも思うだろう。

と、心の中だけで止めることにした。

すると「ここ、座りなさい」とロビンに進められ大人しく座るレイジュ。

 

 

「お兄ちゃんとは、ちゃんとした約束があるの。

それを思えばいまの苦しみは快楽にでもなるわ」

 

「……ニコルがそういうなら…いいのだけど……」

 

「こちらとしてはレイジュが探していた弟がここにいたなんてね。それに、仲直りしたようね」

 

「私とサンジは喧嘩したわけじゃないから。

でも、他の家族とは……まだ無理ね」

 

 

あの超自己中で、サンジを"弟"だと思わない兄達。

実験で失敗したとサンジを"失敗作"という父。

いくらレイジュが間をとりもっても難しいようだ。

 

 

「そう簡単にいくわけがないわ。

特に身内の問題は、根深いものよ」

 

「……本当にどうしたの、ニコル……

…前ではそんなこと、いう人じゃ……」

 

「本当に失礼ね。

私にも親がいるのよ。私をなんだと思っているのよ」

 

 

その時全員が一斉に「悪魔」だと心の奥底から言ったことになんとなくロビンは気づいているだろう。

それでも言葉に出さない。その線引きさえしていれば特に制裁はしないのだ。

そこへサンジとゼフがそれぞれ料理を持ってきた。

それもお互いの料理を言い合いながら

 

 

「なんだその料理は?客を殺す気か?」

「ああ?こっちにはこっちの事情があるんだよジジィが。ジジィこそなんだそれはよ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

「バカ野郎が。この嬢ちゃんに変なもん入れてみろ。

この店は消えるぞ。それだけの相手だと分からねえからてめえは二流なんだ」

 

「はぁ!!?誰が二流だあッ!!!!」

「てめぇだと言ってるんだよチビナス!!!!」

 

 

親子喧嘩。

料理長と副料理長の喧嘩とは違って、まるで親子が喧嘩しているように見えた。

 

二人は言い合いながら料理を出したあと、そのまま厨房へ戻っていった。

その料理を二人は食べる。

サンジの出した料理は"毒抜き"をしていない料理。

しかしレイジュはその毒がご馳走になる。

それを知っているからこそその毒さえも料理の糧として作った一品。

 

ゼフが出した料理はどこでも食べれるようなもの。

しかしゼフは知っていた。余計なものはいれてはいけないことを。

サンジにも説明したが料理には"愛情"というものが入ると味が変わる。

しかしロビンにそんなものは必要ない。

もし"愛情"を取るとするならそれはハジメからしかない。

他のものを取るようなら……その瞬間に"終わり"だと知っている。なので前菜も肉料理も()()調()()()()()()()()()を提供するが正解となる。

 

 

というよりも、サンジのように料理で人を落とそうとするものに対して超敏感なだけ。

 

なので()()()()()()()()()()()()ならなんでも大丈夫なのだ。まぁ、文句はあるときもあるようだが……

 

 

「………どうして、いなくなったの?」

 

「………さぁ。何のことかしら?」

 

 

食事をしながら互いに顔を見ずに

 

 

「貴女がいなくなって…()()()()()()()()()()()()()()……もう、何が何だか分からなかったのよ……」

 

「お疲れ様。良かったじゃない任務終わったのでしょう?」

 

「………いえ。この目でハジメを見るまでは探し続けるわ」

 

「律儀ね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。やりたいことをやる。それがお兄ちゃん」

 

「……やっぱり、変わってないわ……」

 

 

お互いグラスを手にしてカンッと合わせ鳴らす。

何に対しての乾杯なのか…それは二人しか分からない。

 

 

「ちなみにどうして海軍本部にいるのがお兄ちゃんじゃないと分かったの?」

 

「あら?言ってなかった?

私、それなりにハジメには()()()()()のよ」

 

「そう。今さら増えても別にいいのだけど…

あまり余計なことはしないように」

 

「ええ、貴女を敵に回すつもりはないわ」

 

 

…………………………

 

 

「ど、どういう…ことですか……」

「いった通りだ。"海賊容疑罪"がお前にある」

 

 

突然のことに困惑するコビー。

せっかく海兵に、海軍に入ったというのに。

 

 

「ま、待って下さい!!ルフィさんとは友達ですが僕は海兵です!」

 

「友達だと。海兵が海賊の友達なんぞ…あり得るか!!」

「ゴブッ!!!」

 

隣にいたフルボディがコビーの腹部に鉄拳を喰らわす。

一発ダウンするコビーは、それでも立ち上がろうと、誤解を解こうとする。

 

 

「どうしてですかヘルメッポさん!!!

ルフィさんとは友達じゃないんですかッ!!!」

 

「……責任転嫁するつもりか?見苦しいぞ」

 

「ヘルメッポさんッ!!」

 

「……仕方ない……」

 

 

するとヘルメッポはコビーの首もとを片手で鷲掴みして持ち上げた。苦しそうにするコビーは両手でヘルメッポの手を掴みバタバタと抵抗をするが、それでもヘルメッポに対して攻撃はしない。

 

その後ろから見ているフルボディは面白そうにしばらく見ていると「ゴキッ!」と鈍い音がした後コビーが動かなくなり、ヘルメッポはコビーをそのまま海へ放り投げた。

 

 

「なかなか酷いことをするな」

「……聞き分けがなかったもんだからな……」

 

「まぁ、いい。次にうつるぞ」

 

 

ニヤリと笑うフルボディの横を片手を押さえてグッと我慢するヘルメッポ。その腕は真っ赤に膨れ上がっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。