好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
「……す、ずまねぇが…メジをぐれ……」
その生気のない声に誰もが振り向いた。
そしてその姿に誰もが驚いた。
高身長で全体がデカい男と、目付きが悪いがその男を担いでいる男。
どうみても一般人には見えない。
それもそのはず、その二人を見たロビンは直ぐ様何者か分かったのだから。
「海賊艦隊提督“首領・クリーク”と戦闘総隊長の"鬼人のギン"ね」
「あ、あの海賊かッ!!?」
「何を驚いているの?別に珍しいわけじゃないのでしょう?」
ロビンに取ってはとって足らない者。
しかしコックにとってはそうは行かない。
東の海でも一番の艦隊を持つ"ドン・クリーク"がこのレストランに来たのだ。
しかしそのドン・クリークは痩せ干そっていて、ギンの方もギリギリに見える。
「た、頼む…この人に…アイツらに…メシを……」
「…金なら…ある……頼む……」
しかし誰一人この二人のために動こうとはしない。
いまここでメシをやれば何をされるか分からない。
ならここで……と誰もが考えている。
「出ていけ。てめえらに食わすメシはねぇ」
「た、頼む……いくらでも…払う……」
「いいから出ていけぇ!!お前ら海賊はそういって後で襲ってくるだろうがッ!!!」
その言葉に火がつき、客やコック達が次から次へと「出ていけ!!」とコールをする。クリークとギンはそんな中頭を下げるしかなかった。餓死寸前、相手をどうこうする力さえないのだ。
するとそんな中、
「ちょっと待ってろ」
とサンジがいうとそのまま厨房へ向かった。
その言葉、つまりは二人にメシを作るということ。
「おい、待てよサンジッ!!!」
「なんだ?」
「お前はこんな奴らの為にメシを作る気かッ!!」
「あぁ、そうだ」
「何を考えてやがるッ!!!
そんな事をしたら元気になって何をされるか分からないだろうがッ!!?」
そう。誰もがそれを危惧している。
金を持って、腹を空かせて、レストランにやってきたやつは客である。
しかし、それが海賊、それも大戦艦を率いる海賊となれば話は別だ。そんな奴らに自ら危険にさらす必要はない。
「食いたいやつには食わせろ。それが俺のポリシーだ」
「サンジッ!!!」
制止を聞かずに厨房へ入りメシを作り始めるサンジ。
それを見たコック達は話にならないとゼフの所へ話をつけることに。
「オーナーゼフ!!こんなこと許していいんですかッ!!!」
「やらせとけ」
「しかしッ!!」
「それで、襲いかかってくるなら迎え撃つ。
それがこのレストランだと思ったが…違うのか?」
その言葉に誰もが何も言えなくなった。
"食いたいやつには食わせろ"
その重みを誰もが知っている。
ここにいる奴等は全員"あの出来事を経験している"からだ。
それから、料理を作る"コック"という仕事を誰もがやりだした。食べ物の大切さを誰もが身をもって経験したからだ。
「……そうですね。忘れてました……」
「それにてめぇら、あんな小わっぱ程度に負けるのか?」
「なわけないでしょう!!やってやりますよッ!!!!」
そう意気込んだコック達は一斉に自分達の役割を果たすために厨房へと入る。大量の料理が必要と誰もが必死になって調理していく。
「……変わってるなこの店は」
「でも、なんか素敵だね」
「カヤ、もしもの時は俺なら離れるなよ」
「はい、ウソップさん」
「それじゃルフィ君は私たちを守ってね」
「おう!」
「…………」
この状況を見てそれぞれが色んな思いをするなか、一人だけ、ナミだけは静まり何かを考えているようだった。
(……もし、戦いが始まるなら…その隙に……)
そう考えているとあっという間に大量の料理が完成し、その一部をクリークとギンの前に
「ほら、食え」
「す、ずまねぇ……ッ!!!」
クリークは手掴みで料理を掴み口に入れていく。ギンはスプーンを手にとっているが、もうテーブルマナーなんて関係なく口に入れていく。
「うめぇだろう?」
その言葉にギンは涙を流しながら食い進める。
そんな姿を見ていたルフィは
「いいな、アイツ」
「あのサンジって子が??」
「おう!俺アイツが欲しい!!!」
「終わったなアイツ……」
「アハハ……」
「終わったな……」
「それ…ブーメランしてない?」
ルフィがサンジを仲間にするといい、全員がサンジに同情する。いま現在でもナミやゾロ達に勧誘をしてくるルフィ。それが今度はあのコックに狙いが向かったのだ。同情となんだか親近感が沸く感じがした。
その間にメシを平らげた二人は、息を引き返したように立ち上がり、その表情はさっきとは別人のようになり
「感謝するぜ。そして……この船もな!」
「……て、てめぇらッ!!!」
「……悪いなサンジさん。この船はもらう」
「へぇ。俺達から何をもらうって?」
睨み合う両者。
するとクリークは残りの料理をまとめて抱えて
「これを部下に食わせてくる。
その間にここから逃げ出しておけ。そうすれば死なずにすむ」
そういって出ていったクリークとギン。
その言葉に周りの客達は一斉に逃げ出した。
そして残されたのはコックとルフィ達だけ。
「……お前ら、逃げなくていいのか?」
「ここで逃げたら師匠から殺される」
「殺しはしないわ。9割よ」
「……それほとんど死んでるじゃ……」
ウソップのツッコミは気にせず、バラティエから外へ出てみるロビン。するとそこにはいつの間にか巨大な戦艦があった。
そしてその戦艦から歓喜の声が聞こえてくる。
「ざっと100人かしら」
「ひ、100人ッ!!?」
「なに怖じ気づいているの?
海賊なんだからそれぐらい食事後の運動と思ってやりなさい」
「そんな簡単に割りきれるかッ!!」
ウソップはこの前が初めて戦ったのだ。
そして今度は100人を越える敵との戦い。ビビるなというのが無理な話だ。
「まぁ、主力はルフィとゾロがやるわ。
前線にくいな、中間に私、後方にウソップ。
でも、私は基本的に手出ししないからよろしく」
「ま、マジか……」
「ウ、ウソップさん。出来るだけそちらに行かないようにしますから……」
「た、頼むぜくいな……援護だけは任せろ!!」
と、もう完全にくいなに戦闘を任せるウソップ。
それを見てくいなとカヤは苦笑いをする。
実力的にもそうしないとウソップは危険だろうとなんとなく察したのだ。内心ロビンは不満はあったがまぁいいだろうと口に出さなかった。
「そういえばヘルメッポはどうした?」
「まだ来てないみたい」
「何をやっているのかしら?すぐに終わると思って監視を解除したの間違いだったかしら」
なんか、とんでもない言葉が聞こえたが気のせいだと誰もが思った。
すると、戦艦からこちらに向かってクリークが顔を覗かせ
「ほう。てめぇは逆らうってわけか」
「お前の指示に従うつもりはねえからな」
「いいだろう。戦いの前に…」
そういって降りてきたクリークはゼフの前に立ち
「“赫足のゼフ"だな。グランドラインに入ったことがあるようだな」
「あぁ、昔な。それがどうした?」
「ならあるはずだ。航海日誌、渡してもらおう」
その言葉にゼフの眉が上がった。
「この軍艦を見てみろ。もうボロボロでな。
どうやらグランドラインについて俺は何も知らなかったようだ。だからこんなことになってしまった。
だから今度はヘマはしねえ。だからてめぇらのこの船と航海日誌を足掛かりにもう一度グランドラインに」
「無理だな。お前らは」
その言葉にクリークは言葉を止めてゼフを睨む。
グランドライン、誰もが夢見て目指し、そして敗れる場所。
そこでクリークは敗れこの海に戻ってきた。
それでもクリークは再びあの海に戻ろうとしているのだが、経験者であるゼフがクリーク達では無理だと言ったのだ。
「……あっ!?誰が無理だっていんだッ!!」
「確かに俺は航海日誌を持っている。
だがそれがあってもてめぇじゃ無理だと言っているんだ」
「ふざけるなッ!!そいつさえあれば今度こそ俺はあの海を渡っていける!そして」
「俺が"海賊王"になるんだッ!!」
「………なに??」
その瞬間、ルフィを取り巻く空気が変わった。
それが外へと広がり近くにいた仲間達を一歩交代させ、コック達には寒気のようなものを感じた。
それが何なのか誰も分からなかった。
いや、ただ一人だけ、ロビンだけはクスクスと笑っていた。
「バカな男ね。それをルフィの前で口走るなんて」
どうやらロビンの中ではこの先のクリークの運命が見えたようだ。さっき言っていた布陣から抜け出して、何故か出入口に勝手に用意してお茶を飲んでいるレイジュの隣に座った。
「いいの。一緒やらなくて」
「ルフィがあんな風になったらもう大丈夫よ。
ルフィ、"武装色"一回だけつかってもいいわよ」
「おう!」
周りは何のことか分かってなかった。
しかしその言葉に反応したのは二人の剣士。
「……"武装色"……」
「…きっと、私達の目指す…力……」
ルフィは一歩、二歩とクリークに近づこうとしたのだが、
その瞬間、
後ろにあった軍艦が、ガリオン船が、
"割れた"
「ふ、船が……割れたああああああぁぁぁぁ!!!!!」
斬られた船が海中へ沈んでいく為に起きる大波。
それは近くにあるバラティエなどにも影響を及ぼしている。
「何かに掴まれッ!!」
誰が言ったか分からないが誰もが近くにあるものにしがみつく。
その中でもレイジュとロビンだけは優雅に紅茶を飲んでいる。それも一滴も紅茶を溢さずに。
「………なんて、肝の据わった奴らだ……」
近くにいたゼフさえも手すりに掴まっているというのに…全くこの波に対して動じない。
「……これは、切れた……だと…」
「そんな…こと……できる……なんて……」
そんな中、ゾロとくいなは驚きに満ちていた。
あのガリオン船はどうやっても"斬る"ということは出来ない。いやしかし、目の前では確かにそれが起きている。
そしてガリオン船に乗っていた海賊の奴等は慌てた様子で
「一体どうなってるんだあッ!!」
「ふ、船が…切られましたッ!!!」
「切られたッ!!?んなバカなッ!!!!」
パニックが起きている中、その切られた海へ沈んでいく間を"何かが"航行している。
そしてそれは剣士二人の視線を外せない相手だった。
「………ゾ、ゾロ……」
「……まさか、こんな海で…会えるとはな……」
小さな小舟。しかしその乗っているものは圧倒的な存在感があり、分かるものにはそのものが只者ではないとハッキリ分かる相手。
背中に大剣を背負い、胸には十字架をつけていて、
特徴的なその瞳は
ゾロはその相手に負けないほど睨みをきかせて
「……会いたかったぜ…"鷹の目"ッッ!!!」
「あっ、僕ですみません」
「お兄ちゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッッ!!!!」
"鷹の目"が見えるかと思った。
なのにその小舟の先端にいたのはずっと探していたハジメだった。
そしてハジメを見つけた瞬間、目にも止まらぬ速さでハジメに飛び付くロビン。
さぁ、ここからまたすべてがマトモですまなくなる。
それはここにハジメがいるから。
ハジメてみましょうか。
すべてを変えてでもハジメが思い描く最高のストーリーを。