好き勝手にONE PIECEで過ごします。   作:ガイドライン

90 / 268
親心と、女心。

「……こ、ここ…は……」

 

 

目を覚ますと真っ暗で何も見えない。

手足の自由が効かない。

クルードはそれらを確認しすぐさま思い出した。

 

 

「ハ…ジメッ!!」

 

 

そう訳も分からないままやられたのだ。

攻撃も何も出来ずに気づいたらここにいる。

何が起きたのかと記憶を探ろうとしたとき

 

 

「や、や、やめて…ぐぎぼばらァッ!!!」

 

 

聞いたこともない叫び声と音。

何が無理やり曲げられて折れていく、千切れていくような……

 

そして少しずつ暗闇の奥から何が近づいてくる音が

 

 

「目を覚ましましたか?」

「ハジメッ!!!」

 

「さっきネズミ大佐の"罰"が終わったところで。

もうあまりこういうのはしたくないんですけどね」

 

 

さっきの悲鳴となにか関係があるのか?

すると徐々に目が暗闇に慣れてきてその奥にある"何が"ぼんやりと見えてきた。

 

そしてそれは……

 

 

「う、うわあああああああぁぁぁッッ!!!!」

 

「いや、そんなに叫ばなくても。

人拐いとか奴隷とかしてたんですから()()()()()()()()()()()知ってますよね?」

 

 

そこに見えたのは軍服を着た()()だった。

それしか言いようがないのだ。

手足は千切れ皮一枚で繋ぎ止められ、胴体からは内臓が、そして首は()()()落ちていた。

 

ハッキリと見えていたら気を失っていただろう。

しかしこの暗闇、目が慣れてもぼんやりとしか見えなく、それでもそれはあまりにもショッキングなもの。

クルードはその場で胃の内容物を全て吐き出した。

 

 

「あんなことして耐性がなかったんですか??

大丈夫ですよ。いまからクルードも()()()()()()()()()()()()

 

「…や、や…やめ……」

 

「それ、ナミが言った時止めました?他の人を拐うとき止めました?止めてませんよねーそれが()()()()

 

「……や、や、や、やあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 

 

ゴギグバビドゥザッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、鹿の解体ショーを見せてるだけなんですけど」

 

 

暗闇の奥にあるものは鹿の解体途中の肉。

そしてそこに軍服を着させているだけなのだ。

首?……ヤシのみに顔を描いただけ。

音?……適当に木や木の葉や骨付き肉の骨や金属などなどから音を出しているだけ。

 

ようは演出。人をどうこうしてません。

ってか、やりません。化物じゃなんだから。

 

あの声?

近くにネズミ大佐がいて先にクルードと同じ事をしただけ。

 

 

「いやー助かりましたサンジ」

「……えげつぇな……」

 

「そうですか?殺さないだけマトモですよ」

 

 

協力者サンジ。鹿の解体してもらいました。

 

 

 

「ウソップもありがとうね」

「……怖い…ハジメ、怖い……」

 

「失礼ですよ」

 

 

暗闇担当ウソップ。マジックで暗闇を。

じゃないと夜でも光があるからねー

 

 

「コビーもゾロもルフィもあり……あれ?」

「音を出しきった後に……気絶やがった…」

 

「どんだけメンタル弱いのかな?」

「きっとハジメと師匠だけが異常だと思う」

 

 

音演出。コビー・ゾロ・ルフィ

しかし使い物にならないなー

コビー達の周りにギンがすでに気絶している。

ギンってメンタル弱かったんだなー

 

 

「次連れてきました」

「麻酔バッチリです」

「五月蝿いのは軽い毒を与えたわ」

 

「はーい。じゃ、次いくよー

音にウソップ回ってねー」

 

 

残された魚人や海軍へのお仕置きをするために補充係がくいなとカヤとレイジュ。

 

くいなは力で気絶させ、カヤは麻酔薬、レイジュは毒で大人しくさせてから連れてきている。

 

 

「……順応している俺が怖ぇ…」

「いうなウソップ」

「いまは逆らわないほうがいい」

「こっちに向けられたら…終わりだ……」

 

 

なんかこそこそと言い合っているが気にしない。

あのストレスをここで解放しないとやってられないからねー

 

 

「さぁ次いくますよ!!」

 

 

もう、本当に逆らわないほうがいいと誰もが思った……

そしてクルードとネズミに関したはそのあと二度三度と起こしてはトラウマを埋め込んで気絶させての繰り返しを行い……戦意喪失というより、自我崩壊レベルまで追い込んだという………

 

 

…………………………

 

 

 

「……良かったのかな?みんなお兄さんの手伝いしてるけど……」

 

「なに言ってるのよナミ?いまナミが一番休息が必要なのよ」

 

「そうよ。いまはあの子らに任せておきなさい」

 

 

ベルメール親子は我が家に戻り夕食を取っていた。

久々に食べる料理は本当に美味しい。

それでもやっぱり気になるのだ。

 

 

「でも…ナミが私達以外でこんなに気になる人が出来るなんてね~」

 

「ベルメールさん。それだとナミが好きな男が出来たみたい」

 

「ダメよナミッ!!!ナミは変な男に引っ掛かりやすそうなんだから!!!ちゃんと私が見定めして…」

 

「いたとしても、それに関しては遠慮しておくね」

 

 

その言葉になんで!!?と驚くベルメール。

いや、あんたの婚約者は"変な男"なのだから。

小さい頃はそれも分からず進めたけど、いまじゃちょっと大丈夫なのかと心配してしまう。

 

 

「それでどうするのナミ?」

 

「ど、どうするって…」

 

「村への脅威は消えた。もうあんたを縛るものはないんだよ」

 

「え、えっ??」

 

「本当に分かってないわけ?アイツらと"海賊"続けるんでしょう?」

 

 

その言葉でやっと理解したようだ。

慌てた様子でナミは二人の顔を交互に見ながら

 

 

「ちょっ、ちょっと待って!私ベルメールさんや皆のためにやったけど、それは私の日常を取り戻すためだったんだよ!私はもう離れたくないの。せっかく戻ってきたのにそれを手放すなんて……」

 

 

そう言いながら声が小さくなっていく。

その時浮かぶのはルフィ達の笑顔。

 

 

「一週間」

「えっ?」

 

「お兄さんから聞いたわ。一週間ここに滞在するみたい。それまでに決めなさい」

 

「わ、私は……」

 

「ゆっくりでいいのよナミ」

 

 

それを言われてもいまのナミにはモヤモヤが膨らむだけだった。

 

 

…………………………

 

 

「やっぱりかっけぇーな!」

「そ、そうか…」

 

「おう!!俺も付けようかな~」

 

 

一日目の夜。

ココヤシ村から麦わらの一味へおもてなしという名の宴が始まっていた。

皆が騒ぎ、酒を飲み、踊り、語り合っていた。

そんな中食事中のゲンさんの元にルフィが近づいてきた。

 

そしてゲンさんの頭にある風車を見てそんなことを言ってきたのだ。

 

 

「これは習慣、みたいなものだ」

「習慣?」

 

「いまではもう、意味もないかもな…」

「そうなのか?」

 

 

ゲンさんの頭に、帽子には風車が一つ。

それは昔小さなナミがゲンさんの表情を怖がって泣いていたときにつけた風車。それからナミはゲンさんの顔を見ても泣くことはなかった。

だから、それからずっと付けていた。

ナミが泣かないように、泣かせないように。

 

 

「おい、麦わら。

お前はナミを、ノジコを連れていくのか?」

 

「連れていきたいけどな~。

何度も断れてるし、ここを出る前にもう一度いってダメなら諦める!」

 

「そうか……

ならもしナミが付いていくと決めたら、これだけは絶対に忘れるな。それを守れるなら許す」

 

「なんだそれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナミを絶対に泣かすな。

その姿をノジコに見せるな。

もし、破ったら…お前を殺しに来るぞ」

 

「破る気はねぇけどよ…」

 

 

「いいなッ!!!」

 

「……お、おう……」

 

 

ゲンさんの高圧的な、それでいて二人に対する深い愛情にうまく言葉が出なかった。

 

そんな二人の元にベルメールがお酒を片手に近寄ってきた。

 

 

「まるで父親ねゲンさん」

「ベルメール。お前も一言言え」

 

「言わないよ。あの二人の人生だからね」

「ったく…だから不良娘は……」

 

 

アハハと笑いながらお酒を飲むベルメール。

その姿に呆れるゲンさんだがどこか安心している様子。

 

 

「あの子らはあんたに付いていくよ。ただまだ時間がいるのよ。長かったからねここまで来るのに…」

 

「でもその時は頼むよ。

本当のナミはすぐ思ったことを言う子でね。それでも周りのことを良く見ていて面倒見のいい子。それにあぁ見えて可愛いものがスゴく好きなのよ」

 

「ノジコはナミのお姉さんとしてスゴくしっかりしてる。そして人一倍心配性なの。だからナミ以上に無理をしてしまうから気をつけてあげて」

 

 

言わない。といったがやっぱり母親だ。

二人のことを思いつい言葉が出てしまう。

それに対してルフィはキチンと話を聞いている。

何度も頷きながら頭に刷り込んでいるように。

 

 

「そんなに心配なら付いてくればいいじゃねえか?」

「バカいってるんじゃないよ。元でも海軍だよ?」

 

「ハジメも師匠も海軍だけど海賊だぞ?」

「あの二人は別よ。それにもういい歳だし、あんた達みたいに戦えないわ」

 

「カヤも戦えないけど仲間だぞ」

「だとしても、私は……」

 

「それに"ハジメ"がいるんだ。来るんじゃねえのか?」

「ッ!!!」

 

 

明らかにその言葉に反応し、私選を、顔をルフィから見えない方向へ向いて

 

 

「…とにかく、私はここにいるの。

あの子らがいつでも帰ってきてもいいよにね」

 

 

そういってその場を去ったベルメール。

その後ろ姿を見ながら肉を食べるルフィ。

隣にいるゲンさんははぁ~とため息をつく。

 

 

「ハジメのこと好きじゃなかったのか?」

「だから、いけない……ということだ……」

 

 

なんでだ?という表情をしながら考えたが結局答えは出なかった。

 

 

 

…………………………

 

 

 

「……行けるわけ…ないじゃない……」

 

 

海の見える、この村で一番景色のいい場所。

そこに座ってお酒を飲みながら呟くベルメール。

ナミとノジコ、そしてハジメと一緒に海へ出れたらどれ程楽しいだろうか……

 

でも、どうしても自分の年齢や体力などを考えてしまう。そして最も考えてしまうのが……

 

 

「……邪魔…したくない……のよ……」

 

 

きっとあの一味の一番のお荷物なる。

あの時、遠くから見ていても分かった。現役の時の自分よりも皆凄かった。

そして彼ら彼女らはまだ成長期。もっとスゴくなっていくのだ。

 

そんな中年齢も離れていて、これ以上伸び代もない自分がいたら……きっといつか"邪魔"だと思われる。

いや、きっとあの子らはそんなこと思わないだろう。

そう、そう思ってしまうのは自分自身。

 

はぁ~とため息をついて、またお酒を飲む。

そして視線を海へ向けたとき

 

 

「ここにいたんですね」

「きゃぁっ!!!」

 

「なに女の子みたいな声を出してるのベルメール」

 

 

そこにはいつの間にかいたハジメとロビン。

そしてロビンは年上のベルメールでも容赦はない。

 

 

「…あのね、私も女の子ですからね」

「何言ってるの??40代を女の子とは呼ばないの。

良くて女性、悪くて老婆」

 

「それはいつかあんたも来るのよッ!!」

 

 

思わず声を張り上げてしまったベルメールは自分自身に驚いて口を両手で塞ぐ。

 

 

「やっと調子が戻ったようね」

「……いや、あんな風に言ったの初めてよ……」

 

「それでも私と"対等"に言えるのは貴女だけよ」

「………何が、言いたいの?」

 

 

含みのある言葉に警戒するベルメール。

しかしそれは思わぬ言葉により、一切合切忘れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、ハジメがベルメールの左手を取り()()()()()をはめたのだ。

 

 

「……へぇ?」

 

「喜んでいいわよ」

 

「………はぁ?」

 

「言葉が足りなかったわね。

お兄ちゃんとの()()()()()()()()()()()()と言ったのよ」

 

「は、はぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!??」

 

 

村中に響き渡るじゃないかと言うぐらいの大声だったという。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。