好き勝手にONE PIECEで過ごします。 作:ガイドライン
「ううーん!!いい買い物したわーッ!!!!」
お店から出てきたナミは両手に一杯の洋服の入った袋を持って出てきた。
そしてその後ろからは……屍のような生気のない表情をするノジコとベルメールが出てきた。
「ナ、ナミ…も、もういい…でしょう……」
「そ、そうよ……そろそろ…船に戻りましょう……」
「ダメよ二人ともッ!!!!
今度はいつゆっくり買い物出来るか分からないんだから!さぁ、次に行くわよッ!!」
おっー!!!とやる気を出して歩くナミと本当にゾンビのようにフラフラと歩く二人。
ここまですでに7店舗を見て回りここでやっと買い物をしたのだが、その間にも全ての店でノジコ&ベルメールのファッションショーが繰り広げられていたのだ。
あるときにはゴージャスなもの。
あるときにはエレガントなもの。
あるときにはエロエロなもの。
そこのお店の一番良いものを試着されされ着替えさせられ、しまいにはランウェイを歩くように試着室からナミまで五メートルの間を歩かされたりなどさせられた。
こんなことをしていたら神経的に疲労する。
ちなみにこんなことをやっているとそこのお店で買わなくても「いいなー」と回りのお客さんが興味を示して、どのお店でもナミが訪れたお店はその日これまでの最高額を叩き出したという。
そんなことをしている3人の行く先になにやら人混みが。
その先のお店に用があったナミはついでにとその人混みの中心の様子を伺うことに。
そこには二人の体格のいい男と、刀を持った一人の女の子が向かい合っていた。それも明らかに男二人がいままさに襲うところ。
とっさにナミは荷物をその場に落として駆けつけようとしたが、
「ッ!!!!」
一瞬にして二人の男を切り捨てた。
ゾロやくいなの姿を何度も見ているナミでもこの人は凄い剣士だと分かった。
しかしそこまで。
その女剣士は自分で自分の足を引っかけてその場に転んだのだ。
さらには眼鏡も外れてしまい、かなりの近眼なのだろう。まったく眼鏡を探しきれずにいる。
「な、なにあの子……」
いつまでたっても眼鏡を見つけられない女剣士に、はぁーとため息をついてナミは眼鏡を拾いそれを渡した。
「はい。これ」
「ご、ごめんなさい。
あ、ありがとうございます!」
いままで背後しか見えなく、眼鏡を探していたときも顔が見えなかったのだが、眼鏡を見つけたとその顔が正面に来たときナミは衝撃を受けた。
「く、くいなッ!!?」
「えっ。ち、違いますけど…」
ハッキリと否定され女剣士は眼鏡をかけて「本当にありがとうございました」と一礼して去っていった。
残されたナミの元にノジコとベルメールが近づいてきて
「あれ…くいなじゃないの?」
「瓜二つだったわね…」
「あれは、ゾロ君でも間違えるわ……」
不思議な出来事にあいなんか買い物する気もふせて、ぶらりぶらりと観光することにした3人だった。
………………………
「ここか」
この町の唯一の刀が置いてある武器屋。
店内に入ってみるとそこには沢山の武器があり、この中でも「刀」が多く置いてあった。
「いっしゃいませ~」
「すまねぇ。ここに50万ベリーある。
いいやつを2本、いや3本見積もってくれねぇか」
お店の奥から現れた店主は正面の男を確認してそれその金額以上は持っていないだろうと判断して
「あのな。買えてもせいぜい一本だよお客さん」
「やっぱり3刀流にするの?」
「あいつに勝つにはこれしかねぇからな」
(チィッ。女連れかよ。……って)
それも男の影で見えないが声からして女がいる。
こんな武器屋に女連れとは、と、さっさと追い返そうと考えていた店主だったが男の方が移動し後ろの女が見えた。すると店主は
「なんだお前さんか。今日は男連れてくるなんてな。
刀しか興味がないと思っていたが……ったく…」
「えっ?」
くいなの顔を見るやいなや、お店の奥へ向かう店主。
何だったんだと思いながら二人はお店の刀を見始める。
「誰と勘違いしたのかな?」
「知るか。お前のそっくりさんでもいるんじゃねえか?」
「えぇー。それで刀に興味あるって…それもう私だよ」
「いや、お前ではないだろう……」
と、バカらしい会話をしながら見回るゾロとくいなの元に店主が戻ってきて
「ほらよッ!!この”時雨(しぐれ)”を取りに来たんだろ!」
「わっ!わああぁ!!」
突然投げられた刀に上手く掴めず慌てるくいな。
すぐにゾロがその刀を手に取り落とさずにすんだ。
「…ったく。
ひょろ剣士のくせに立派な”業物”を持ちやがって…
それに男作ってここに来るとはいい度胸してんなッ!!!!」
「えっ。えっ?な、なんのことですか?」
何か分からないが物凄く怒られている。
それもかなり理不尽なことを一方的に。
困惑しているくいなの横では投げられた刀をじっーと見ているゾロは
「なぁ。こいつと同じぐらいの刀はねぇのか?」
「業物だぁ?あのな、そんな刀は……」
ねぇよ。と言おうとした店主。
しかしその前に店主の目に写ったものがあった。
それはくいなが腰から下げている刀。
「お、お前ッ!!いつからそんな刀を持ってるんだッ!!!!」
「えっ。剣道し始めた時からお父さんに貰いましたけど……」
「はぁッ!!?そんなもん持っておいて刀のメンテナンスはそいつだけだとッ!!!!てめえふざけてんなッ!!!!」
「ちょっ、ちょっと待ってください!!!
さっきから誰かと勘違いを…」
「いいか!!今度からそいつも一緒預けねぇとメンテナンスなんて……」
「これ!!"和道一文字"でしょう!!?」
突然現れた女。
くいなの刀を凝視するかのようにしゃがんで間近でジッと見つめる。
「和道…??」
「一文字…??」
「………はぁ?はあッ!!!!
なんで!!お前がッ!!?えっ!ハァッ!!!??」
一人だけパニックになっている店主。
そんなこと気にせずにしゃがんでいる女は
「すみません!もっとじっくり見てもいいですか?」
「い、いいですけど……」
腰から刀を外してその女に渡すくいな。
渡されて興奮する女は立ち上がり鞘から刀を抜く。
そしてその刀の向こうには信じられない光景が
「なっ!!!??」
「えぇッ!!!??」
「きれいな直刃。これは”大業物21工”の1本の名刀ですよっ!!これ買おうとすれば1千万ベリー以上はくだらない代物です!!!こんないい刀初め…て見……た……」
興奮して周りが見えなかった女。
しかし最後の感想を直接言いたかったと正面の持ち主にと視線を向けると
「……………ここに鏡、ありました?」
「あるわけないだろうボケエエエェェェッッ!!!!」
誰もが驚いている中で一人だけボケる女。
しかし自分が口を動かしているのに向こうが動かない。
むしろ驚いている表情をしているではないか。
おかしいなーと思い正面から一歩横へと移動すると
「ッ!!!??鏡じゃないッ!!!!」
「今頃かッ!!!!」
店主のキレキレのツッコミもありやっと鏡ではないことに気づいた女。改めて正面に立つと本当に鏡がそこにあるのかと思うぐらいそっくり。
違うのは服装と、眼鏡をかけているかどうか。
服装も眼鏡も、すべて条件が一緒なら見分けがつくかどうか……
「……本当に、そっくりですね」
「ですね……」
「……………」
「……………」
「なに固まってるんだお前ら」
ゾロの言葉にハッ気がつく二人。
あまりにも似すぎてお互いに見つめてしまっていた。
「は、初めまして!"くいな"といいます!」
「私は"たしぎ"です」
自己紹介がすむとそこは女の子同士なのか、女剣士同士なのか、なんかスムーズに会話が始まり盛り上がる二人。
「そうなんですッ!!
"女"っていうことだけで剣士に向いてないなんて…
私はそんな人を見返したいと常々思ってましたッ!!」
「そうですよねッ!!
確かに男の人より筋肉は付きにくいですけど、その分しなやかさだったり、立ち振舞いだったり、男の人が出来ないことだってあるんです!!!」
「分かります!
"剣士"は"男"だって決めつけないでほしいです!!」
「はい!!"女"だって立派な"剣士"ですよね!!!」
ガシッ!と握手を交わす二人。
なにやってるんだかと呆れたゾロはさっきの続きを店主に問いかける。
「で。あるのか、ないのか?」
「あっ。あぁ…あることにはあるが一本しか買えねぇぞ」
ゾロの問いかけに正気に戻った店主。
店の奥へ向かい戻ってきたときには立派な刀が一本。
「良業物で名は"
持ち主の技量によって刀身の"赤み"が変わる品物だ。
しかしこれまで持ち主になったどんなやつでも
そういいながら鞘から刀を抜く店主。
するとその刀身は名の通り"夕焼け色"までしか赤みがない。
「でもよ。持ち主の技量によって変わるだ。
つまり刀身の"赤み"が変われば名も変わる。
夕焼け色が"
紅葉のような赤みが"
そして最も深みのある"
この深紅まで、一番最高だとコイツに思わせれたら、名の知れた剣士になれるだろうよ」
そういいながら店主は鞘に納めてからゾロにその刀を渡した。持っていた"時雨"をくいなに渡し、受け取ったそれをジッと見つめたあとゾロはゆっくりと鞘からその刀を抜きた。
刃先を天井に向けて見ていると、ゆっくりと下のほうから上に向かって色が"変わっていく"。
つまり夕紅よりも技量を持つということ。
そしてさらにその色は深みを増していき
「ま、マジかよ……」
「キレイ……」
「素晴らしい…です……」
三者三様の言葉が響く。
ゾロが変えた色は"深紅"
つまり一番強いと刀に認められた瞬間だった。
「気に入った。コイツを貰う」
「お、おう……」
「いくらだ?」
「ちょっ、ちょっとまて!!!
そいつはついこの前仕入れたばっかりなんだ!!!」
「はぁ!?じゃ売られねぇのかよ!」
「んなこといってないだろうが!
値段をつけてねえんだ!!少し待ってろ!」
そんなことをいってゾロから"深紅"を奪い取る。
するとみるみるうちに"夕紅"に変わっていった。
聞こえるように舌打ちをしてカウンターへ引っ込んでいった店主。
(くそがっ!!まさかこんなやつにッ!!
しかし…あいつは間違いなくコイツが欲しいはずだ!
売り渡すのは勿体無いがその分踏んだ食ってやるッ!!!!)
完全に足元をみて値段を引き上げてやろうと考える店主。
しかしそんなことを吹き飛ばすワードが耳に入ってきた。
「"三代鬼徹"ッッ!!!!
これ、これにすべきです!!!」
視線を向けた先にはあのヘッポコ剣士が持っている一本の刀。しかしそれは"5万ベリー"しかない刀を一つの樽に入れていた刀。普通はそこで終わりなのだが
「これは本当にすごいですよっ!!
れっきとした”業物”で普通は100万はする品で、この前代の”二代鬼轍”は”大業物”で、”初代鬼轍”は”最上大物業”に位列しています!!!」
「へぇ……」
「そんなに凄いんだ……」
「そうなんですよ!!!
でもどうしてこの樽に?本当に5万ベリーなんですか?」
気になったたしぎは店主に問いかける。
するとまるで図星をつかれたように心を乱す店主は
「そ、そいつは売らねぇ!!!別のやつを選べッ!!!!」
「ええッ!!そんな!!!」
「そんなもくそもあるか!!俺がこの店の店主だ!!俺の勝手だろうがッ!!!!」
せっかく見つけた名刀だと喜んでいたたしぎだったがまさかここに来て売らないと言われるとは思わなかったようで……なんとか食い下がろうとするたしぎにゾロはその刀を手に取り
「………妖刀か…」
「ッ!!?…分かるのか?」
「なんとなくな」
手に取った瞬間感じ取った力のようなもの。
それは明らかに今まで感じたことのないものだった。
そしてそれは当たっていたようで……
「お前の言う通り、”初代鬼轍”を初め、鬼轍一派の刀は、優れているが悉く”妖刀”だったのだ!!!名だたる剣豪達がその”鬼轍”を手にしたことで悲運の死を遂げた。今となってはこの世に”鬼轍”を使ってる剣士は一人もいねェ。知らずに使った奴でもこの世からいなくなるからだ。」
そんなことを言われたしぎもくいなも生唾を飲む。
店主も顔色を悪くしながらこう告げた。
「かといって捨てるわけにはいかなくてよ…
そんなことしたら呪われそうで…売ってしまっても後で不幸があったと聞いたときには……後味が悪くなりそうでよ……」
つまりは処分も出来ずに売れずにいるこの刀をこの5万ベリーの樽に入れておいて"売れ残っている"ということにしたかったのだ。
しかしここでたしぎが余計なことをしてしまい
「分かったかこのとろま剣士ッ!!
なにから何でも鑑定しやがってッ!!!!」
「ご、ごめんなさいッ!!!!
貴方にも謝ります!期待させてこんな刀を…」
「いや、気に入った!これをもらう!」
と刀を高くつきあげたが、店主は「お前が死ぬ!!」と言って売るのを断った。
それはそうだろう。
さっきいったように様々な剣士が悲運な死を遂げているのだ。それがこの店から出たなんて、それより間接的にでも殺してしまったと思ってしまう。
しかしゾロはニヤリ笑いながら
「じゃあこうしよう。
おれの”運”と、”鬼轍の呪い”
どっちが強ェか試してみようか……」
「おれが負けたら、しょせんおれはそれまでの男だ」
と言うと、刀を振り上げ、その落下軌道に腕を出しゾロは涼しい顔で目を瞑った。
「バカ野郎ッ!!!!切れ味は本物だぞッッ!!!!」
「ッッ!!!!」
「ッッ!!!!」
店主の言葉は届かず刀はそのままゾロの腕へと。
くいなもたしぎも言葉に出来ない悲鳴を上げ、そして
ストンッ
刀はスルリとゾロの腕を
「もらってく」
あっという間の出来事に腰を抜かす店主。
あんなバカげたことをするゾロにもそうだが、それでも腕が切り落ちていないのだ。悲運を運ぶあの"鬼徹"がなにもなくいま床に突き刺さっている。
たしぎは腰を抜かしてしまい、くいなはすぐさまゾロの元へ駆け寄り
「バカああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」
と、思いっきり和道一文字で頭を殴ってやった。
もちろんそんなことをすれば間違いなく痛いため踞るゾロに追い討ちをかけるように殴りまくる
「バカッ!!バカッ!!!!なんでそんなことするのよ!!!
もう少しで腕が切れ落ちるところだったのよッ!!!!」
「や、止めろ!くいなッ!!!!」
「最強の剣士なる夢はどうするのよッ!!!!
私1人でやれっていうの!!!本当にバカなのッ!!!!」
「バカバカうるせえなッ!!!!」
やっと和道一文字を握って攻撃を止めたゾロ。
仕返ししてやろうとかとくいなを見ると目からは溢れる涙が。それを見てしまったゾロは「いっ!?」と固まり
「……もっと、自分を…大事にしなさい…よ……」
「………わ、悪かった………」
素直に謝るしかなかった。
それだけのことをやらかしたとやっとここで分かった。ようだ。
未だに泣き止まず自分の胸の中で泣いているくいな。
ずっとこのままだとなんか耐えきれないと判断したゾロは
「あぁーもうー!!泣き止めくいな!!
おい!お前!!あと一本決めてくれッ!!」
「へぇ!?いや、ちょっと待って下さい!!
こ、腰が抜けてしまって……」
「はぁ!?なにしてんだよ…ったく……」
「お、おい!!!ちょっ、ちょっと待ってろッ!!」
すると店主が血相を変えて再び店の奥へ。
しばらくすると店主が一本の刀を持って現れた。
「造りは
”良業物・雪走(ゆばしり)”!!
斬れ味はおれが保証する!!金はいい!!もらってやってくれ!!!
もちろん”鬼轍”も"深紅"の代金もいらねェ。
久しぶりにいい剣士の目を見た。刀は持ち主を選ぶという。
お前さんの幸運を祈る!!!」
「なら、もらってく」
新しい刀、深紅・三代鬼徹・雪走を腰に差し、くいなの頭を優しくポンっと叩いて「いくぞ」と先に店を出た。
それによりやっと平常心にもどったくいなは改めて店主の「いっぽんマツ」にお礼を言い残し、「また会えたらいいね」と自分そっくりのたしぎに挨拶をすましてゾロを追いかけていった。