【ここは】クロスオーバー系転生掲示板【何の世界だ?】   作:ファルコン・Σ

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前回の続き。物語形式です。今までで一番長いです

追記
1/2 描写や心境、場面の加筆を行いました。


断章・それぞれの世界での物語
再会と恐竜とヒーローの在り方


―――オルクス大迷宮、六十階層

 

かつて火宮翼と南雲ハジメという二人を失った、彼らにとっては悪夢と言って過言ではない階層。

だが、あの日から強くなった彼らは因縁とも言うべき魔物、ベヒモスと相対していた。

特に想い人を見つけ出すという覚悟を胸に戦い続けた二人の覇気は凄まじく、八重樫雫はベヒモスの角を叩き斬り、白崎香織の回復魔法を前線で戦う者達を決して折らせない。

そんな激闘の末、ベヒモスを打ち倒し、天之河光輝の勝鬨に合わせてクラスメート達の歓声が響き渡る。

 

――――――だが、何時の世の戦場でも、勝利の後に絶望が待っているのである。

 

 

「全てを無に―――」

 

 

浮足立ったクラスメート達の前に現れた「ソイツ」は、これまでの魔物とは全く違う姿をしていた。

エリマキトカゲのような首のフリルに、骸骨のような被り物の眼窩と鼻腔から三本の角が生えている。

何より、モンスター染みていたこれまでの魔物と比べて明らかに異なるのが、「人型」であることだった。

 

「な、なんだアレは……」

 

真っ先に動揺したのは元からこの世界で生き、魔物と戦っていた騎士団長メルド・ロギンスを始めとする騎士達。

彼らから見てもこのような存在は「異形」という他なかった。

 

「なんだ? 新手の魔物か?」

「大丈夫だ! 俺達はアレより遥かに巨大なベヒモスを倒したんだ! あの程度はどうってことない!」

「!! 待て、光輝!」

 

意気揚々と挑んでいく光輝に、何か異質感を覚えたメルドは制止するが、元より突っ走りがちな光輝は止まらない。

そして、それが悪手だった。

 

「破壊する」

「え―――――ガッ!!?」

 

螺旋状に捻れたドリル状の剣で光輝の聖剣を容易く受け止めた怪人。

それに光輝が呆けた直後に螺旋剣が高速で回転を始め、光輝ごと聖剣を弾き飛ばした。

 

「光輝君!?」

「ぐ、だ、大丈夫だ!」

「テメェ!!」

 

壁に叩きつけられながらも光輝は香織に返事をし、親友に続いて坂上龍太郎が突っ込み、拳を振るう。

が、怪人はそれに対しても螺旋剣を持っていない方の手で軽く、虫でも払うような動きで横へふっ飛ばした

 

「ごはぁ!?」

「龍太郎! このぉ!」

「貴様の存在、命に意味はない。悉く無意味に死ね」

「ふざけるなぁ!!」

「止せ光輝! そいつはただの魔物じゃない!」

 

親友が容易く吹き飛ばされ、明確な「邪悪」を前にしたことで完全に頭に血が上った光輝にメルドの声が聞こえるわけもなく、闇雲に怪人に挑んでいく。

だがその剣閃も、ベヒモス相手には通じた聖剣も目の前の怪人は容易く受け流し、斬り返す。

自分の力が通用しない相手に光輝の中には焦りが生まれ、剣筋も乱れ、ただ遮二無二に叫びだす。

 

「こんな、奴に!! 俺が負けるわけにはいかないんだァ! 俺は、勇者だ!! 俺が皆を守るんだ!!! クラスの皆も、この世界の人達も!!!!」

「笑止。所詮子供の戯言。「かの王」とは比べるにも値しない」

「うるさい!! そもそもお前はなんだ!!! お前が魔人族か!? そうか、道理で邪悪な存在だ!!!」

「否、魔人に非ず。我は終焉を齎す者の先兵」

 

怪人の呟きに光輝のボルテージは更に上がる。

こんな悪に、勇者である自分が負けていい筈がない。そんな【あってはならない(自分が主役じゃない)物語】など認めないと。

 

「オオオオッ!!」

「どらぁあああ!!」

 

そんな光輝を救援すべくメルドと、再び挑む龍太郎。

ベヒモスと異なり、等身大のこの怪人が相手では後衛組の援護も誤射しかねない。

加えて『あの時』と同じ場所である為、二度もクラスメートを奈落へ落とす事態を引き起こしかねないことが引け目となっていた。

 

そんな彼ら全てを嘲笑うが如く、怪人(悪魔)は更なる脅威を齎す。

 

「ッ、な、なんだ!?」

 

三人相手でも余裕で立ち回っていた怪人の螺旋剣が纏めて弾くと同時に距離を取る。

そのまま身を低くした怪人のエリマキが回転を始める。

 

「! 皆気を付けて! ベヒモスと同じ突進が来る!」

「わ、分かった!」

 

それを見て真っ先に察した雫の号令に結界師の谷口鈴が"聖絶"を展開する。

 

が、怪人の突進はベヒモスのそれとは比べ物にならない。

回転したエリマキは周囲の大気を激しく振るわせ、迷宮の壁全体を斬り刻み、一つの災害、竜巻となって突っ込んできた。

 

「う、うぁああああああああああああああ!!!?」

「ぐうううううううう!!!?」

「ぬおおおおおおおおおおおおお………!!!」

 

前に立ちはだかった光輝達の全身を斬り裂きながら吹き飛ばし、その凶悪な竜巻は勢い止まらずに光のドームに直撃。

 

「天恵よ 神秘をここに! "譲天"!」

 

即座に香織が回復魔法で鈴のサポートをするが、ベヒモスとは比べ物にならない一撃は容易く"聖絶"を斬り刻み、全てを引き裂く。

その寸前に割り込んだのは雫だった。

 

「このッ!!!! ぐ、うぅあああああああっ!!!!」

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』

『きゃああああああああああああああああッ!!!』

 

幸い、聖絶によって威力がある程度殺され、加えて雫の決死の相殺が功を奏し、即死とまでは至らずとも、全員が浅くない傷を負う事となった。

特に直接受け止めた雫は元々鎧などを着ていない軽装だったが故に全身が酷く斬り裂かれ、血を多く流している。

 

「雫ちゃん……!!! 雫ちゃん!!!!」

 

即座に回復魔法を全体に掛けた香織だが、傷が深い雫にトドメを刺そうと近づく怪人を見て、すぐに駆けよって雫を庇うように立つ。

同じく諸に食らい、ズタボロの光輝はすぐに起き上がることが出来ず、手を伸ばして吠えることしかできない。

 

「や、やめろ………!!!」

「見ているがいい。貴様の大切な存在の終焉を」

「か、かお、り………だめ、にげて……」

「逃げない! 翼君もハジメ君もいなくなって、雫ちゃんまでなんて嫌!! 私は離れない!」

「良かろう。諸共に美しい終末を」

 

螺旋剣が唸りを上げ、二人をバラバラに引き裂こうと振り上げられても香織は雫を離さない。

「会いに行けなかった」

そんな思い二人の胸を埋め尽くす。全ての音が止まり、光景がスローになり、その時が――――――

 

 

「ごめんね、翼君。あの時、君の手を取れなくて―――」

 

 

 

「―――ああ、だから、今度は俺がその手を掴みに来た」

 

 

――――――来ることは無かった。

伸ばした手を掴むヒーロー(仮面ライダーオーズ)》がそこに立っていたから。

 

「……え」

「翼、君?」

 

「待たせたな香織、雫。………お前、何をしているか分かっているんだろうな?」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

210:司波家長男リバイ

よっし間に合ったァ!!!!

 

211:ラタトスクの炎の剣士@クロスセイバーまであと4本

あのトリケラトプスヤミーが竜巻起こして突っ込んだ時はマジで終わったと思った!!!

 

212:IS学園の潜入刑事D

しかし、相手は紫のヤミーだ。コアメダルの力も無力化されてしまう。

 

213:横浜を守る二色のハンカチ(左)

そうだな。とにかく今は食い止めつつ撤退を優先しないとな。オーズ君、俺らで指示するからその通りに……

 

214:奈落のOOO@オルクス逆行中【LIVE】

『…………さない』

 

215:使い魔クウガ

オーズ君?

 

216:奈落のOOO@オルクス逆行中【LIVE】

『お前は、絶対に、許さない……!!!』

 

217:キバってダンまち@兎君代理

オーズ君!! 落ち着いて!!

 

218:ラタトスクの炎の剣士@クロスセイバーまであと4本

……もしかして、これ……。

 

219:使い魔クウガ

うん、そうだね、覚えがある……あの時、ジャラジの時の俺と同じだ

 

220:奈落のOOO@オルクス逆行中【LIVE】

『お前は存在ごと消し去ってやる!!!!!』

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

展開したトラクローで強引に殴り飛ばしたオーズの複眼が不気味な紫色に輝き、その体内から三枚のメダルが飛び出した。

それがオーズドライバーの三枚のメダルを押しのけて自動的に嵌り込み、強引に引き抜いたオースキャナーをドライバーに走らせる。

 

「変、身……!!!!」

 

 

『プテラ! トリケラ! ティラノ!』

『プ・ト・ティラーノ・ザウルース!!!!!』

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!」

 

 

「きゃっ!?」

「翼君!!?」

 

凄まじい冷気が吹き荒れ、雄叫びを上げるオーズに、後ろにいた香織と雫がたじろぐ。

 

『仮面ライダーオーズ・プトティラコンボ』

 

原典たるオーズ、火野映司ですら終ぞ完全制御には至らなかった姿。

 

「貴様、同類……。だが、オーズならば、敵!」

 

螺旋剣を起動させた怪人――トリケラトプスヤミーがそれを振るうが、オーズはそれを左手で容易く掴む。

 

「!!」

「グぅウウウ………ガァァァァァァ!!!!」

 

掌がズタボロになるのも構わず、右手の「トリケラガントレクス」をトリケラトプスヤミーの顔面に叩き込み、10m近く吹っ飛ばす。

 

「ガァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!!!!」

 

荒ぶる獣は止まらない。

追撃でトリケラトプスヤミーに飛び掛かると馬乗りになり、その荒々しい拳を何度も何度も叩き込む!!!

 

「あ、あれが……翼君……?」

 

そんな、荒々しい暴力を見ている二人、いやクラスメートや騎士団達は呆然とするしかできない。

そんな香織と雫の隣に一人の人間が降り立った。

 

「チッ、あのクソ神め。とんだ落とし物残していきやがって」

「え、な、南雲君!?」

「アァ? ちげえよ。俺はグリードのアンクだ。ったくイヤな予感がしたと思ったらこのザマだ」

 

くりかえすがアンクが宿っている身体は南雲ハジメである。そんな人畜無害人間の乱雑で面倒臭そうな言葉を聞いて更に混乱している二人を一瞥し、アンクは右手で戦いを指差す。

 

「見ろ。あのコンボは本来、自我を失って暴走するんだが……どういうわけかアイツは最低限の自我を保っているようだぜ」

「え……?」

 

「が、ぐ、ご!? き、貴様……!」

「オ前ガ、雫ニ与エタ痛ミハ、香織ニ与エタ恐怖ハ、コンナモンジャ収マラナイ!!!」

 

怒りに任せた蹴りがトリケラトプスヤミーを吹っ飛ばす。

 

なお、現在彼の脳内ではスレ民達が『香織ちゃんと雫ちゃんが見てるぞ!』『この戦いが終わったらイチャイチャするんだろ!!!』などと必死に呼びかけることで理性を留めているのだが、そんなことはアンク達が知る由もない。

 

が、相手はそもそも無機物から生まれる紫のヤミー。痛覚も恐怖も無く、目の前の敵を排除する為に活動する。

 

「終焉を、貴様に」

「ソレハ、コッチノ台詞ダ!!!」

 

トリケラトプスヤミーのエリマキが激しく回転を始める。その勢いは先程使ったものの数倍以上で、準備段階の時点で周囲の風を巻き込み始める。

 

「また、あの攻撃!」

「翼君避けて!!」

 

「………大丈夫ダヨ。二人共」

 

「斬り刻まれろ!!!」

 

巨大な竜巻となって突っ込んでくるトリケラトプスヤミー。

それに対してオーズは『プテラヘッド』の『エクスターナルフィン』を展開させると、その巨大な翼を全力で羽ばたかせる!

 

「な、にぃ!?」

 

災害と災害がぶつかり合えば、より強い方が消し飛ばす。

オーズが起こした氷河期が如き暴風は相手の竜巻を一息でかき消し、無防備となったプテラノドンヤミーを腰部の『テイルディバイダー』で一薙ぎしてふっ飛ばした。

 

『スキャニングチャージ!!』

 

「消エ、去レ!!!」

 

増幅された力によって伸長した『ワイルドスティンガー』がトリケラトプスのヤミーを貫き、もがく敵を強引に引き寄せる。

そして右手にプテラ・トリケラ・ティラノのパワーを一つに込め、眼前のヤミーのどてっぱらに強烈な一発を叩き込む!

 

「が、は……!!!」

 

その拳はヤミーの身体を貫通させ、宣言通りこの世に身体の一つも残さず爆散させた。

なお、吹っ飛んできたセルメダルはアンクがしっかりとキャッチした。

 

「ふん……やはりセルメダル一つか。割に合わねえ……」

「あ、あの……ハジメ君?」

「俺はアンクだ。それよりソイツのとこに行け。随分お前らに会いたがっていたからな」

「「!」」

 

そう促したアンクの言葉に弾かれるように二人は息を荒く吐くオーズに駆け寄る。

 

「翼君!」

「二人、共……今ハ、来ナイ方ガ、イイ……イツ、暴レ出スカ、ワカラナイ」

「………大丈夫だよ。翼君……守ってくくれて、助けてくれて、ありがとう……!」

「……やっと、会えた……守れなくて、ごめんね……!!」

「ッ、ふう……ウ……ハアアアアア……!!!」

 

その言葉になんとかオーズドライバーを元に戻し、紫のコアメダルを体内に戻すことで変身を解除。

二人を安心させるために、火宮翼の姿を見せた。

 

「………謝るのはこっちだ。心配かけてごめんな」

「ううん……いいの……よかった……生きてて……本当に……良かった………!!!」

「ごめん、ね……!! うう、ううう………!!!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

235:月閃女学館臨時教師ヒビキさん

良かったね、良かったねえオーズ君……!

 

236:IS学園の潜入刑事D

一ヵ月近く掛かってようやく会えたんだからな。おめでとう。

 

237:司波家長男リバイ

いやあ、プトティラになった時はどうなるかと思ったけど、本当に良かった。というかセイバーニキとWニキよく呼びかけで意識保てるって分かったな。

 

238:横浜を守る二色のハンカチ(左)

ファングジョーカーの時の相棒を目覚めさせた方法が精神への直接の呼びかけだったからな。もしかしたら行けるかなと思った。

 

239:ラタトスクの炎の剣士@クロスセイバーまであと4本

俺はほら、プリミティブで暴走した経験あるからさ。ゼロワンのメタルクラスタみたいに「身体が自我と切り離された」わけじゃないから、自我をキープさせればって思ったんだ。それでもギリギリだったけどね

 

240:奈落のOOO@祝再会【LIVE】

ホントご心配をおかけしました。それとありがとうございました

 

241:使い魔クウガ

いいんだよ。それより再会おめでとう。これで安心だね

 

242:IS学園の潜入刑事D

と言いたいが、もう一つ苦労ごとがあるんだろう

 

243:ラタトスクの炎の剣士@クロスセイバーまであと4本

え? あー……そりゃそうだよね

 

244:司波家長男リバイ

あ、勇者が聖剣をオーズ君に向けてる。

 

245:奈落のOOO@祝再会【LIVE】

ええー……勘弁してくれよ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「二人から離れろ火宮!!!」

 

聖剣を構えて吠える天之河光輝。その表情には明確な敵意が宿っていた。

 

「お前、さっきの姿はなんだ! お前も魔人になったんだな!? 香織と雫を離せ!! 俺が倒してやる!! この裏切者!!」

「………原作思い出してから実際見ると、うーん……」

「ちょっと光輝! 翼君は私達を守ってくれたのよ!!」

「いいや! この階層にメルドさんでも勝てなかった、あんなに強い魔物が居たのがそもそもおかしいんだ。きっと火宮はあの魔人を利用していたんだ! 全部火宮の自作自演だ!」

「光輝、貴方いい加減に―――」

「ハッ、こりゃ傑作だ」

 

抗議しようと声を出した雫の言葉を遮って前に出たのはアンクだった。

その表情は呆れと嘲笑が混じっており、スレ民達は「魔王ハジメの顔だあれ」などと語っていたがやはりアンクがそれを知ることは無い。

 

「お前は黙っていろ南雲! 生きていたのはいいことだが、お前も火宮の仲間だと言うなら」

「だから俺はアンクだって言ってんだろ? まあ、身体は確かに南雲ハジメだがな。俺はコイツの身体を借りているだけだ」

 

そう言って自分の本体。右手を見せるアンクに光輝はご都合主義を更に固める。

 

「お前、魔人か!? そうか、南雲の身体を乗っ取って―――」

「そりゃ間違いねえが、一つ言っておく。コイツは俺が乗っ取らなきゃ死んでいたんだからな」

 

はっ? と全体の空気が固まる。

それを無視してアンクはクラスメート達の一人……檜山大介を指差した。

 

「このガキと翼はソイツの悪意によって奈落に落とされた。落下の瞬間のコイツの記憶にしっかり残っていたからな。嫉妬に醜く歪んだお前の顔が」

「あ、あれは事故だ! それに……」

「そうだ! それに檜山は謝った!」

「謝りゃ人を殺しても許されるってか? ハッ、そいつは傑作だ!!! コイツがどんな目にあっていたかも知らねえ奴らは随分呑気だったんだろうよ!」

 

ゲラゲラと笑うアンクを制して翼が一歩前に出て、檜山を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。

 

「ハジメはボロボロだった。全身傷だらけで、右腕に至っては食い千切られて肘から先が無かった。俺は確かにアンクが乗っ取った事を許したくはないけど、それでも彼が憑りつかなきゃハジメの心は壊れていたかもしれない」

 

ギロッと、プトティラコンボと変わらぬ気迫で檜山や光輝を睨みつけた翼は怒りにままに吠える。

その瞳は怪しい紫の光を放っていた。

 

「お前らに分かるのか!!? 誰もいない暗闇で片腕を失い、いつ魔物に襲われて殺されるのかも分からない。傷も治らない、そんな中で一人で孤独に死んでいくことへの苦痛が! 恐怖が!! 分からないだろうな、だから謝罪すればいいと思ってるんだよ!!! だからそれだけで許せるんだよ!!!!」

「だ、だけど、その罪を償う為にこれから頑張るって」

「そんな言い訳でハジメの家族が納得するとでも思ったか!!? 地球に帰ってハジメのご両親になんていうつもりだったんだ!? 「異世界で貴方達の息子は檜山に殺されましたが、彼は謝ったので許しました。貴方達も許してあげてください」ってか!? それで納得してもらえると思っていたのか!!!? いいや違うな!!! お前はそもそもそんな先の事なんか一瞬たりとも考えてなかっただろうが!!!!」

「そ、そんなことは」

「俺やハジメじゃなくて、お前のダチの坂上や、香織や雫だったら考えただろうな!! 檜山を許しはしなかっただろうな!!! いや生きてると呑気に考えていただろ!!? それで皆救う!? クラスメート全員守って見せる!? 何様のつもりだ大概にしろよお前!!!!!」

 

オーズの力を得たとはいえ、翼は自分が「仮面ライダー(ヒーロー)」になれるとは思っていない。

そもそもこの世界では生きることが精一杯で、自分が救えるのは精々が自分の手が届く範囲だけ。

だから、何処までも手が届く火野映司(本当のヒーロー)のようにはなれないと思っている。

それは掲示板の先輩達も同じだった。言ってしまえば紛い物な彼らはオリジナルのような「究極の救済」は出来ない。

だから彼らは「自分に出来る限りで守り抜く」事を信念にしている。

その結果、間違えてしまうことも、罪を背負う覚悟も持っている。

 

だからこそ、「救う」事の意味を理解していない光輝のいい加減な救済には我慢できなかった。

 

「檜山、お前もだ……俺はお前を絶対に許さない。絶対にだ」

 

ギロッと凄まじい怒りのまま、下手人の檜山を睨みつける。

その気迫と、先程までの戦いを見せつけられた檜山は「ヒッ」と情けない声をあげて縮こまった。

 

「お前がどういうつもりなのか、”何を企んでいるのか”を問いただすつもりはない。復讐したい、とは思うが流石に今この場で衝動のままに手を出せば、俺はお前と同類……。だから、今は見逃してやる。ただ一つ……「二度と俺達に関わるな」。分かったな?」

 

正直、原作知識として檜山の狂気と凶行、そしてその末路を知っている翼としてはこんな言葉程度でどうにかなるとは思っていない。

その上で彼の眼はもはや手遅れとばかりに濁っており、そもそもこの世界に転生し、原作知識や前世の記憶が無い状態、「火宮翼」としてこれまで関わった中で、何度阻止しようとハジメをいじめたり、嫌がっている香織に手を出そうとするのを止めない檜山の運命を変えたいなどとは今更ながらに湧いてこなかった。

それでも今回は見逃したのは、正直これ以上関わりたくないという忌避反応、檜山を始末することで自分の立場が悪くなる面倒を避けたいという気持ちが強かったからである。

また、檜山もあの「オーズ」と戦えばロクな目に合わないと理解していたのか、渋々かつ恐々とした態度で頷くしかなかった。

 

「翼、落ち着け。感情が昂るとまたあのメダルが出るぞ」

「ふぅー……ふぅー……。ああ、そうだな。とにかく………俺が言いたいのは一つだ。嫉妬で人を殺めるような奴がいる集団に、俺の大切な香織と雫を置いておくことなんかできない」

 

だが、と一拍置いて翼は香織と雫に向き直り、静かな口調で語る。

 

「俺も危険性で言えば檜山と大差ない。さっきの姿見ただろ? あの時はたまたま制御できたが、本来は暴走してあらゆるものを破壊してしまう力だ。だから……」

「それ以上言わないで。翼君」

 

翼の告白を遮った香織は彼に近づくと優しく告げる。

今度こそ、間違えないという決意を秘めた目で

 

「それで一番傷つくのは翼君でしょ? だから私はずっと貴方と一緒に居ます。貴方がどれだけ苦しんで、傷ついても、私が癒すから」

「私も、もっと強くなるわ。貴方を守れるくらいに、どんなに暴れても止められるくらいに。だから……もう、離れないで」

「………そっか。ありがとう。二人共」

 

険しい表情を緩めた翼に安堵したような二人。だがやはり光輝は納得できない。

 

「待ってくれ! 二人共どういうことなんだ!? その言い方だとまるで俺達から離れるって言ってるようなものじゃないか!」

「………うん、凄い勝手なこと言ってると思う。最低な人だよ。私。けどね―――私が迷宮に潜り続けてたのは、大好きな翼君に会いたかったから……その一心だったから」

 

後悔していた。守るといったのに手は届かなかった。それでも手を伸ばした。そしてその手を取りに戻ってきてくれた。

大好きな人との離別を経験した香織にはもう、彼と離れることなど考えられなかった。

ただ、幼馴染より、愛する人を選んだ。それだけの単純な気持ちで。

 

「ごめんなさい光輝。貴方を結果的に騙していたのは謝るわ。私も香織と同じ気持ち……だけど、それだけじゃないわ。……やっぱり、私達はまだまだ力が足りない。さっきみたいな怪物を相手に、何時も翼達が助けに来るとは限らない。立ち止まって、もう一回鍛え直すべきだと思うわ」

「そ、そんな! 俺達は確実に強くなってる!」

「それは間違いないわ。ベヒモスを倒したのは事実。だけど……あの程度浮かれていられないというのを身に染みて理解したわ。私達はこれからもっと過酷な戦いに挑むのよ?」

「……ああ、雫の言うとおりだ」

「! メルドさん!」

 

いま語られたことは本心ではあるが、内心にはもう一つ抱えている。

正直雫は下手人が檜山であることを察しており、彼への処断は道理だと考えていた。そうでなければ翼やハジメが報われないと。

だが、それを簡単に、あっさり許した光輝をみて、流石にやるせない想いに囚われてしまった。

つまり彼女も翼と同じ考え―――光輝のふわふわした正義感に呆れてしまっていたのである。

 

そんな彼女の内心を知らずとも、意見は真っ当だったため、なんとか回復したメルドが立ち上がり、一同に向き直り、真面目な口調で告げた。

 

「俺もお前達の成長と、ベヒモスへのリベンジを見て浮かれてしまっていた。迷宮は一瞬たりとも油断できない場所だというのに、一度翼達を失ったというのにな……。それに、今後のことを考えて必要な事も教えなければならない……。一度改めて各々で訓練し直そう。今までのようにどんどん降りていくのは止めて、ゆっくりとだが確実に強くなり、安定する方針に切り替える。……その上で翼、君は……」

「……メルド団長、短い間でしたが世話になりました。……ですが、俺とハジメ……今はアンクですけど、俺達は戻れません。あの姿を制御するまでは………そして、香織と雫は俺と離れたくない。だから、俺達は別のやり方で強くなります。時期が来たら戻りますから……」

 

実際には、迷宮の最深部で知った世界の真実により、仮に戻る事はあったとしても同じ陣営として共に戦うことは無いだろうと思っている。

だがメルド自身の人格に触れた翼は個人的に「死なせたくない」と思っており、いざとなれば助ける事を躊躇うつもりはなかった。

 

「メルドさん、皆、勝手だけど私と雫ちゃんは翼君についていく」

「我儘を言ってごめんなさい。だけど強くなって必ず戻ってくるから。だから皆ももう負けないように強くなってほしいの」

 

そんな二人の発言に、トリケラトプスヤミーの襲撃で現実を再び見せられたクラスメート達もまた、今以上に強くなる必要性を理解していた為、思う事はあれど特に反対することは無く各々で強くなることを決意した。

二人の気持ちを理解していた谷口鈴や、率先して応じた中村恵里、更に強くなることを目標に定めた龍太郎に対し、光輝や檜山に関してはそんなことまで考えられないようだが……。

 

「フン、ま、そういうわけだ。じゃあなガキ共。そっちで救済ごっこでも訓練でも勝手にやってろ。俺らの邪魔だけはしてくれるなよ?」

 

アンクは自分の中から隠し持っていたクジャクコアメダルを翼に手渡した。

 

「!? おいアンク! こんなの持ってるならもっと早く貸してくれよ!!」

「うるせえ。俺の一部を簡単に貸せるか。それよりさっさと戻るぞ。アレーティアを待たせ過ぎだ」

「はいはい、分かったよ」

 

タカ! クジャク! チーター!

 

「待て火宮! そうはさせない!」

「天之河、一つだけ言っとく……。「ヒーロー」なんていうのは、お前が思っているほど万能じゃないんだぞ」

「なにを……うっ!?」

 

亜種形態、タカジャーターに変身した翼は突っ込んでくる光輝を羽ばたきの勢いで吹っ飛ばし、香織と雫を抱きよせるとそのまま『クジャクウイング』を展開して飛翔、奈落の底へ飛び降りていった。

 

「今の考えを少しでも早めに改めておいた方がいいからな。そうでないと苦しむのはお前自身だからな……」

 

一つだけ忠告を、どれほど効果があるか分からないなりに残して――――。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

261:司波家長男リバイ

吠えたねえ。オーズ君

 

262:使い魔クウガ

まあ、全てを救いたいっていうのは分かるけどねえ……。それに必要な覚悟はそんな簡単なもんじゃないよ

五代さんでもどうしても届かなかった命があるし……。

 

263:IS学園の潜入刑事D

しかしもう紫のコアメダルが宿っているのか……中々不味いな

 

264:横浜を守る二色のハンカチ(左)

詳しくはアンクが知ってるみたいだが……どうなるんだろうか

 

265:幻想郷が俺の世界DCD

なるほど大体分かった。ちょっと様子を見てやるか




トリケラトプスヤミー
能力はワンピースのササキを参照にした。
本気でやれば竜巻による大災害を齎しかねない、紫ヤミーに相応しい存在。

奈落のOOO@祝再会
ようやく再会できた。と思ったら何故か初手プトティラという不穏な状況。
勇者(笑)への怒りは自分自身が英雄紛いだからこその怒り。本物の仮面ライダーへの尊敬故の叫び。

幻想郷が俺の世界
おのれディケイドォォォォォォ!!!!!
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