【ここは】クロスオーバー系転生掲示板【何の世界だ?】   作:ファルコン・Σ

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問題児×ブレイドシナリオの続きです。
ネタが割り込まない限りはこのまま一巻分まで継続します

ガンバライジングのLR50thブレイドかっこよすぎませんかねえ……?


不死の剣はノーネームの実情を知るようですよ

1:スペードの剣@こんにちは箱庭

ここは「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の世界に転移した俺、仮面ライダーブレイドの異世界道中実況掲示板だ。

原作知識が俺には無いからアドバイスや先のネタバレは気にせず教えてくれると嬉しい。

 

なお今は黒ウサギという少女にこの世界が「箱庭」と呼ばれる都市であることと、「ギフトゲームとはなんぞや」ということを教えてもらい、箱庭に向かっているところだ

 

2:五代さんみたいになりたいクウガ

スレ立て乙ー

 

3:鎧武が斬る!零

ネタバレ気にしないで言っていいのはありがたい。まあ俺も問題児知らないんだけどな

 

4:装者全員と友達になる男

読めよー!

 

5:鎧武が斬る!零

読めたら苦労しねえよこちとら帝国だぞ!!

 

6:執行官ナンバー15ウィザード

現代日本とかけ離れてるとそういうの読めないの辛いよね

 

7:カブト@ユニオン指揮官

まあアドバイスは任せろ、問題児シリーズは履修済みだ

 

8:執務官受験生555

流石はサブカル知識の宝庫カブトニキだな

 

9:ビルド@おのれエボルトォ!

原作知識に困ったらカブトニキを頼れ。これスレ民のお約束

 

10:スペードの剣@こんにちは箱庭

じゃあ早速。なんか十六夜が「一緒に世界の果てを見に行くか?」と聞いてきたんだがどうするべきだ?

 

11:五代さんみたいになりたいクウガ

冒険野郎としてはその世界の果てっていうのも気になるけどね~

 

12:カブト@ユニオン指揮官

止めるのは無しだ。理由は後述だが必須事項だからな。その上でどうするかはブレイドニキが決めてくれ。

 

13:スペードの剣@こんにちは箱庭

了解した。さてどうするかな……世界の果ても面白そうだが、勝手に抜けるのは流石にな……

 

14:執行官ナンバー15ウィザード

後々また行ける機会あるし大丈夫だと思うよ? それに一緒に行くなら第三宇宙速度で走らないと

 

15:鎧武が斬る!零

第三……なんて?

 

16;ビルド@おのれエボルトォ!

地球及び太陽の重力領域から脱出する為に必要な速度。大体16.7 km/sかな

 

17:執務官受験生555

つまりアクセルフォームとほぼ同等か……マ?

 

18:スペードの剣@こんにちは箱庭

マジか。そんな速度が無制限か彼は。凄いな……

 

19:カブト@ユニオン指揮官

クロックアップもかくやの速さだからな

 

20:装者全員と友達になる男

どうすんだブレイドニキ? マッハ全開にすれば追いすがれるんじゃね?

 

21:スペードの剣@こんにちは箱庭

いや、流石にいきなりそれは面倒臭いな……いいや、今回は見送ろう。

 

22:執行官ナンバー15ウィザード

まあ別にどっちを選んでも変わらないからねえ。

 

23:スペードの剣@こんにちは箱庭

今十六夜が走っていった。というか一瞬で見えなくなったんだが……。マジで速いな

「じゃ、ちょくら土産を期待しとけよ」って言われたし期待して待っとくか

 

とか話してたら箱庭ってとこに着いたみたいだ。入口のとこに少年が座ってるのが見える。

 

24:カブト@ユニオン指揮官

ジン坊ちゃんだな。彼がコミュニティのリーダーだ

 

25:スペードの剣@こんにちは箱庭

は? え、マジか? まだ小・中学生くらいだぞ?

 

26:鎧武が斬る!零

アカメとクロメもそのくらいの時期から鍛えてたからありえなくはないんじゃね?

 

27:装者全員と友達になる男

そうだなー、中高生が戦闘要員とか珍しくねえって

 

28:執務官受験生555

ああ、なのは達なんか小学生から戦い始めてたんだぞ?

 

29:スペードの剣@こんにちは箱庭

いや、紛争地帯で戦争兵とかを見てきたから全然違うのが分かる。戦闘・軍略においても初心者というか幼子だ。間違いない

 

30:五代さんみたいになりたいクウガ

そんな子がリーダーねえ……、何か凄い能力を持ってるのかな? もしくはそうせざるを得ない状況なのか……

 

31:執行官ナンバー15ウィザード

まあ、そこはもうすぐ分かるよ

 

32:スペードの剣@こんにちは箱庭

少年に指摘された黒ウサギがようやく十六夜がいないことに気付いた。というか話聞いていただけなのに飛鳥と耀が息ぴったり過ぎて面白いな

 

33:カブト@ユニオン指揮官

以心伝心だからな、問題児組は

 

34:装者全員と友達になる男

ダチになるのが早くていいな!

 

35:スペードの剣@こんにちは箱庭

あ、こっちに矛先が向いた。

 

『カズハさんも! どうして止めてくれなかったんですか!』

『大丈夫だ黒ウサギ、彼はお土産を持ってくると言っていたからな。期待して待ってればいいさ』

『わーそれは楽しみですねーってちがーう!!』

 

36:鎧武が斬る!零

お前もノリいいじゃねえかブレイドニキw

 

37:ビルド@おのれエボルトォ!

類は友を呼ぶってなあw

 

38:スペードの剣@こんにちは箱庭

というか箱庭の外には幻獣がいるのか? なんか少年が焦ってるが、なあカブトニキ本当に大丈夫なのか?

 

39:カブト@ユニオン指揮官

大丈夫だ、問題無い

 

40:執務官受験生555

それ大丈夫じゃないパターンだろ

 

41:五代さんみたいになりたいクウガ

=b

 

42:装者全員と友達になる男

クウガ先輩がそれやると大丈夫な気がするな!

 

43:スペードの剣@こんにちは箱庭

まあ有識者の発言は信じよう。

 

『あら、じゃあもう彼はゲームオーバー?』

『ゲーム参加前にゲームオーバー?…斬新』

『仕方ない、彼の犠牲は次の攻略者の為に記録しておこう』

 

44:執行官ナンバー15ウィザード

いや本当にノリいいねブレイドニキ

 

45:鎧武が斬る!零

久々の人との付き合いでハイになってるんじゃね?

 

46:スペードの剣@こんにちは箱庭

前までは余裕がなかっただけで俺はこういう性格だぞ? おっと……

 

47:カブト@ユニオン指揮官

黒ウサギが十六夜を追っていったか?

 

48:スペードの剣@こんにちは箱庭

ああ、というか彼女も凄い身体能力だな。十六夜に負けていないぞ

 

49:ビルド@おのれエボルトォ!

強くてハエーイウサギか、なんか親近感湧くなあ

 

50:スペードの剣@こんにちは箱庭

ま、十六夜のことは彼女に任せて、箱庭散策でもするかね。

というか自己紹介したけどやっぱり彼がリーダーなんだな……

 

51:カブト@ユニオン指揮官

こればかりはブレイドニキが先入観を持たずに自分で知ってほしいから言わないでおこう

 

52:執行官ナンバー15ウィザード

じゃあ俺も今回は黙ってようかな。割とすぐに分かることだから皆も大丈夫だよ

 

53:鎧武が斬る!零

おk

 

54:スペードの剣@こんにちは箱庭

おおー……まさにファンタジー異世界って感じの町並みだ……

 

55:執行官ナンバー15ウィザード

分かる~。転生直後の俺もそうだった

 

56:装者全員と友達になる男

俺らって元々いた日本と全然変わらないからなあ~

 

57:ビルド@おのれエボルトォ!

だなあ、ちょっと羨ましいわ

 

58:執務官受験生555

俺のとこもそんな変わらないからな……地球もあるし

 

59:鎧武が斬る!零

俺くらいじゃないか? 元の世界とあまり変わらないの

 

60:スペードの剣@こんにちは箱庭

人の営みがしっかりしてるなあ……いい光景だ……

 

61:カブト@ユニオン指揮官

その光景に感慨を覚えている時点で相当の苦労が偲ばれる……

 

62:五代さんみたいになりたいクウガ

辛いなあ……分かるよ

 

63:ビルド@おのれエボルトォ!

本当、何より大事だよな……

 

64:鎧武が斬る!零

本当そうだよ……

 

65:執行官ナンバー15ウィザード

流れ弾当たりすぎじゃない!?

 

66:執務官受験生555

いやホント辛ェって……どうして争うんだよ……

 

67:装者全員と友達になる男

ほ、ほらブレイドニキ! どうなってる!?

 

68:スペードの剣@こんにちは箱庭

あ、ああ。なんか旗を掲げてるカフェに着いた。オープンテラスでいい雰囲気だな……ってか飲み物は元の世界と変わらないんだな。……ん?

 

69:鎧武が斬る!零

珈琲という名の別モンかもしれねえけどな。どうした?

 

70:スペードの剣@こんにちは箱庭

いや、誰も注文してない品があったんだが、耀が抱いてる猫が注文したっぽい。そういやこの店員猫娘だったな。……というかシレッと耀が三毛猫と会話してるな

 

71:装者全員と友達になる男

動物と会話できんのかその子! すげーな!

 

72:執務官受験生555

ブレイドニキあまり驚いていないな?

 

73:スペードの剣@こんにちは箱庭

いやまあ、スペードスートのアンデッドの子孫の生物とは会話できるからなあ……

 

74:執行官ナンバー15ウィザード

あ、そうだこの人融合係数高すぎ君だった

 

75:ビルド@おのれエボルトォ!

いや7って三葉虫じゃん。三葉虫と会話する時とかあるの?

 

76:スペードの剣@こんにちは箱庭

いやないけどさ

 

『ちょ、ちょっと待って!? 貴女もしかしてネコと会話ができるの?』

『…うん、生きているなら誰とでも話は出来る』

『へえ、無制限ってのはすげえな。俺は一部としか話せないからな』

『! カズハもそうなの!?』

 

お、おう食いついてきたな

 

77:鎧武が斬る!零

まあそりゃなあ。似た力を持ってるって聞けば反応するだろ

 

78:スペードの剣@こんにちは箱庭

『あ、ああ。まあ俺が出来るのはカブトムシ、トカゲ、ライオン、猪、バッタ、鹿、三葉虫、牛、コガネムシ、鷲、山羊だけなんだが』

『随分偏ってるわね……三葉虫って』

 

同じこと突っ込まれたよ

 

79:装者全員と友達になる男

そりゃ誰でも突っ込むだろ

 

80:カブト@ユニオン指揮官

今のうちに耀とは仲良くしておくといい。今後の考えておくとな

 

81:スペードの剣@こんにちは箱庭

覚えておくよ。ところでなんかスーツピチピチな男が割り込んできたんだけど

 

 


 

 

「おんやぁ? 誰かと思えば東区画で最弱の名無しコミュのリーダー、ジン=ラッセルくんじゃありませんか」

「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗本を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させることなどできたものだ」

 

煩わしい声だ。とカズハは思う。

多くの国を旅し、善なる人格者も下卑た卑怯者も見てきたカズハは何処からともなく話に割り込んできたんだタキシードの男に本能的な不快感を覚えた。

とはいえそもそも話の中に勝手に割り込んでくる辺り非常識なのは間違いないので、彼のみならず飛鳥も少し眉間にシワを寄せて制した。

まあ短い付き合いながらも飛鳥の性格上はこういう男は嫌いそうだなと察してたりする。

 

「同席を求めるならばまず氏名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ〝六百六十六の獣〟の傘下である」

「烏合の衆の」

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ! 誰が烏合の衆だ小僧オ!」

 

バンッ!とテーブルを叩く男、ガルド。

久し振りの食事なのだから静かにしてほしいカズハの不快感が一層増した事に気づかず、ジンとガルドは言い合いを始める。

 

「口慎めや小僧ォ……紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ……?」

「森の守護者だったころのあなたなら相応に礼儀で返していたでしょうが、今のあなたはこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

「ハッ、そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうが? 自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてんのか?」

「ハイ、ちょっとストップ」

 

ガルドの話で自身が感じた違和感が確信に近づく。

この場は飛鳥に任せつつ、状況をより理解するためにカズハは傾聴の姿勢を取った。

 

「事情はよくわからないけど、あなたたち二人の仲が悪いことは承知したわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけど………ねえ、ジン君。ガルドさんが指摘している、私たちのコミュニティが置かれている状況……というものを説明していただける?」

「そ、それは……」

「ジン、仮にも組織のリーダーを名乗り、これから同胞として迎えようというならその姿勢は不誠実以外の何物でもない。最低限の仁義は通すのが人の道だと思うが?」

「お二人とも、あなた達の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界のルールを教えるのは当然の義務。よろしければ、〝フォレス=ガロ〟のリーダーであるこの私が、コミュニティの重要性と、ジン=ラッセル率いる〝ノーネーム〟のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

 

11歳の少年に向けるものではないとは思うが、それでも筋は筋。リーダーを名乗る彼にそれを通させる為にあえて厳しい言動をする。

それを聞いて形勢が自分に回ってきたと察したのか、やはりガルドがニヤニヤと笑いながら声を出してくる。が、

 

「悪いがあんたには聞いてねえ。俺は彼、ジンの口から聴こうとしているんだ」

「はあ、ですが彼は話したがらないと思いますが?」

「話したい話したくないの問題じゃない、人間の道理の問題だ。義務と言う言葉をあんたも口にしたなら、本人がその責任を負うべきだ。違うか?」

「……なるほど、確かにそれは一理ありますね。おい小僧聞いただろうが。自分で言えやお前らの現状を」

「ッ……………」

 

ジンの手はガタガタと震え、脂汗がじんわりと浮かび上がる。

中々話そうとしない彼に痺れを切らしたのか、飛鳥が口を開こうとしたその直前になってようやく震えながら彼は言葉を発した。

 


 

92:ビルド@おのれエボルトォ!

いやブレイドニキ厳しいなあ

 

93:カブト@ユニオン指揮官

組織というものの形を維持するためには必要なことだ。幼子であってもその枠組みの一員であるのならば尚更だ

 

94:鎧武が斬る!零

だよなあ。そこはしっかりと間違えないように厳しくしないとだぞ

 

95:執行官ナンバー15ウィザード

なるほどねえ……確かに必要だよね

 

96:スペードの剣@こんにちは箱庭

それで、今ジンが話しているのを聞いているんだが、名と旗印を奪われた「ノーネーム」か……

 

97:装者全員と友達になる男

他に人がいないから子供のジンがリーダーをしないといけねえってか……

 

98:執務官受験生555

そりゃまた、随分となあ……魔王ってのは名前通りの野郎ってか

 

99:五代さんみたいになりたいクウガ

此処でも人の営みを自分の勝手で潰して楽しむ存在がいるんだね……許せないな

 

100:カブト@ユニオン指揮官

さあ、これを踏まえてブレイドニキはどういう選択を取る?

 

 


 

 

「私の方からも言わせていただきますがね。彼はコミュニティのリーダーとは名ばかりで殆どリーダーとして活動はしていません。コミュニティの再建を掲げてはいますが、その実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」

「ッ…………!」

「私は本当に黒ウサギが不憫でなりません。ウサギと言えば〝箱庭の貴族〟と呼ばれるほど強力なギフトの数々を持ち、何処のコミュニティでも破格の待遇で愛でられます。コミュニティにとってウサギを所持しているのと言うのはそれだけで大きな〝箔〟が付く。なのに彼女は毎日毎日糞ガキ共の為に身を粉にして走り回り、僅かな路銀で弱小コミュニティをやり繰りしている」

「…………なるほど、な」

 

真っ赤になって震えるジンだが、ガルドが言っていることが事実なのだと、彼自身が一番認めているからなのか、反論することはできずにいる。

この時点でカズハは自分の身の振り方を固めていた。

 

「…………そう。事情は分かったわ。それでガルドさんは、どうして私たちにそんな話を丁寧にしてくれるのかしら?」

 

飛鳥の質問を待っていたとばかりに口角を歪ませたガルドは身を乗り出し、目的である一手を切り出した。

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

「な、何を言いだすんですガルト=ガスパー!?」

「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだろうが。それを貴様の我が侭でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」

「そ…………それは」

 

これもまた事実。故にジンは反論出来ない。

だが、二人の思惑を無視して飛鳥の口からその結論は出た。

 

「結構よ。私はジン君のコミュニティで間に合っているもの」

「………はっ?」

「春日部さんは今の話をどう思う?」

「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら? 私たちって正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

「…………うん。私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」

 

友情成立の場面を間近で見ることが出来た。今日は良いことがありそうだな、などと呑気に考えていたカズハだったが、そんな彼にも飛鳥からの質問が飛ぶ。

 

「カズハ君はどうするの?」

「解りきっている事を聞くなよ。ノーネーム一択、それ以外あり得ないだろ?」

「えっ!?」

 

更に目を見開くジン。そんなに厳しく接したカズハが自分のコミュニティに迷いなく入ると言ったことが衝撃だったのだろうか。

そしてそれはガルドも同じだったようで慌てて問いかけてきた。

 

「なっ、し、失礼ですが理由を伺っても?」

「だから間に合っているのよ。春日部さんは友達を作りに来ただけだからどちらでも構わない。そうよね?」

「うん」

「私、久遠飛鳥は裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ? 小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやるなんて言葉を魅力的に感じるとでも思ったのかしら? だとしたら、自身の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ紳士」

「へえ、飛鳥は俺と逆なんだな」

「あら、そういうカズハ君はどうなのかしら?」

「理由は二つある」

 

ビシッと指をまず一本突き立てる。

 

「俺には行く宛も帰る家も辿り着く最果てすらもない。。地球という星の全てを踏破してしまったからな、居場所なんてがどこにもないまま、延々と見飽きた世界をさ迷い歩く事しかできなかった。これまでも、この先も………。だから、俺をこの世界に呼んでくれたジンや黒ウサギは俺の恩人ってことだ。だから俺は彼らに力を貸すだけさ」

「で、ではもう、一つの理由とは?」

「一つ目はジン達のコミュニティに入る理由、二つ目はお前のコミュニティに入らない理由」

 

指をもう一本突き立てつつ、目を軽く閉じる。

脳裏に浮かぶのは唯一無二の友の姿。それほど過酷な運命を背負いながらも後悔は一切していないと、胸を張って言えるのは、その親友の為。

そんな彼が大切にしていた幼い少女の姿を思いだしーーー

 

 

 

「お前は一生懸命に生きようとしている子供のことを糞ガキと呼んだ。そんな奴が治める組織に入る訳がないだろうがこの糞野郎」

 

 

 

「くっ……! お、お言葉ですが」

()()()()()

 

その時、言い寄ろうとしたガルドの下顎がガチン!と歯が傷付く程の勢いで閉じられる。

対面に座っている飛鳥の目が怪しく輝いているようにも見えた。

 

「貴方には聞きたいことがあるの。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

今度はドカッと椅子が壊れる程の勢いで座らせられた。

そんな光景を見てカズハはかつて存在したアンデッドを思い出す。

 

「(ハートのカテゴリーQと同じ、他者の支配か! しかもあっちは花粉だったが飛鳥は言葉だけで此処まで!)」

 

確かに女王の風格あるなあ、などと考えてスレ民も同意していたりするがそんなことは飛鳥が知る由もない。

 

「あなたはこの地域のコミュニティに両者合意で勝負を挑み、そして勝利したと言っていたわ。だけど、私が訊いたギフトゲームの内容は少し違うの。コミュニティのゲームとは〝主催者〟とそれに挑戦する者が様々なチップを賭けて行う物のはず。……ねえ、ジン君。コミュニティそのものをチップにゲームをすることは、そうそうあることなの?」

「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、コミュニティの存続を賭けることになりますから、かなりのレアケースです」

「そうよね。訪れたばかりの私たちでさえそれぐらい分かるもの。そのコミュニティ同士の戦いに強制力を持つからこそ〝主催者権限〟を持つ者は魔王として恐れられているはず。その特権を持たないあなたがどうして強制的にコミュニティを賭けあうような大勝負を続けることができたのかしら。()()()()()()()?」

 

その言葉にガルドは抗う術を持たない。自身を破滅に追い込む程の秘密までもを包み隠さず話さざるを得ない。

 

「き、強制する方法は様々だ。一番簡単なのは、相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫すること。これに動じない相手は後回しにして、徐々に他のコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に追い込んでいった」

「まあ、そんなところでしょう。あなたのような小物らしい堅実な手です。けどそんな違法で吸収した組織があなたの下で従順に働いてくれるのかしら?」

「各コミュニティから、数人ずつ子供を人質にとってある」

 

ーーー心が、体温が冷えていくのを感じる。

外道だ。間違いなく。

最初に感じた嫌悪感、アンデッドの闘争本能に似た感覚………それは

 

「…………そう。ますます外道ね。それで、その子供たちは何処にいるのかしら?」

()()()()()

 

この男から馨る、血の臭いが引き起こしていたんだ。

 

「初めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が愛しい、母が恋しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が喰

()()

 

これほどの怒りを覚えたのは、ダイヤのカテゴリーJ……いや、それ以上の屑だ、こいつは。

 

「今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」

「厳しいです。裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

「そう、残念ね」

 

パチン! と指を鳴らすとガルドの強張っていた身体が弛緩する。が、それも一瞬、膨張した全身の筋肉、剛毛に皮膚が覆われ、ガルドは虎の亜人へと姿を変えた。

 

「こ…………この小娘がァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

怒りのまま、その腕を振るうガルド。

だが、その腕が飛鳥に届く前に止まった。

否、止めざるを得なかった。

 

いつの間にかカズハが持っていた黄金の大剣がその喉元に突き付けられていたからだ。

 

「これで、暴行未遂も罪に追加されたな。怪我は無いか?」

「ええ、お陰さまで。それが貴方の恩恵?」

「そんなところだ。………おい、お前」

 

冷たく、低い声で「重醒剣キングラウザー」を突きつけたカズハに、今の己より二回りも小柄な彼にガルドは動けない。

動くことが赦されない。

彼の野生の本能が、目の前の存在に、ただの人間にしか見えない青年に、「戦ってはならない」と強く警鐘を鳴らしている。

 

「まあ、生き残る上では時に悪知恵を働かせなきゃならない。他種族を脅してでも自分の繁栄を臨むのは間違ってはいない。そもそも文化が違う俺達がお前を裁く権利もなければ口出しする権利すらもないのかもしれない。

 

だがな……外道に身を落としてでも他の命を狩ってきたんだ。自分は狩られないと、いつからそう思っていたんだ?」

 

子供を殺した、それを許せないのはあくまでも自分の感情。

だが感情ではどうにもならない時がある。だからこそ道理を通さなければならない。

たった一人のアンデッドを生かすために自分がアンデッドになったように。

人類史を滅ぼされないように統制者を滅ぼした時のように。

無辜の、それも幼い命を不毛に食らっていながら、自分だけがのうのうと生きているなど、許される運命ではない。

 

「俺は今すぐその首を切り飛ばしたい。だけどな、人としても獣としても道を踏み外したお前と同じ場に身を落とすつもりは微塵もない。だからこそ、道理と摂理と条理を以て、お前には正しく運命を与える」

 

キングラウザーを一度引いて眉間に突きつける。

その、生気の宿っていないような、不死者の瞳は運命を突きつける。

 

「俺達とギフトゲームをしろ。それがお前に残された唯一の運命だ」

 




スペードの剣/剣城カズハ
今回判明したのはスートスペードのアンデッド由来の他種族との会話と、生身でのキングラウザー召喚。
キングフォームを介してアンデッドになったので、それに由来するであろう能力。なので変身しなくても強い。
道理や運命には強い拘りを持つ。カリスを見届けていた彼の地雷をガルドは踏み抜きまくった。合掌
普段はディケイドの剣立カズマに近いが、キレると剣崎一真っぽくなる。

カブト@ユニオン指揮官
数多くのサブカルチャーに精通しているので解説ニキも担ってたりする。
同じカブトムシライダーということでブレイドニキとは馬が会う様子

ビルド@おのれエボルトォ!
まだ学園都市世界と融合する前のリイマジ時空。時期的にはジーニアスが完成した位の頃合い。
現在の目標は安全なブリザードナックルの開発
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