ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
なので、オリジナル要素が苦手な方は、ご注意ください。
ある空間の中で、一人の少女が佇んでいた。
「……? 私は何故、ここにいるのでしょう……。そもそも、私は誰なんでしょう……?」
少女は自分が生まれた意味が分からなかった。
自分がここにいる理由も分からなかった。
「そして、この、後から後から湧いてくる、不思議な、強い使命感……。
……そうですか。私の名前は、マール……」
少女は自分の名前を思い出す。
「マール」という名前を。
「ああ、だんだん思い出してきましたよぉ……。ええ、貴方の言う通りですねぇ……」
少女――マールは、何者かと話をしているようだ。
その姿は、マールにしか見えないようだが……。
「私の力は世界のために。ふふ……。ならば……私がやる事は、一つなんですねぇ」
マールは何かの使命を思い出す。
表情は、良からぬ事を企んでいるようだった。
「行きましょう……あの子達のところへ!」
そして、マールはどこかに向かっていった。
彼女が何をしようとしているのかは、まだ、ここにいる者達には誰も、分からなかった。
その頃、プリンプタウンでは……。
「……どうしましたか、エア?」
少女の姿をした風の精霊エアが、青い髪の少女の肩に乗って震えていた。
この少女の名前はアリア、シュルッツからやってきた召喚士である。
精霊はマナでできた生命体であるため、マナの揺らぎを感じ取る事ができる。
なので、危険が迫ると召喚士に知らせる事がある。
「いつも以上に怯えていますね。何かありました?」
アリアは精霊語でエアに語り掛ける。
するとエアは「怖い」と精霊語でアリアに言った。
「怖い……? 何が怖いのですか?」
エアは何を怖がっているのだろうか。
それをアリアが聞こうとすると……。
「大変なのだ、アリア!」
尖った耳と褐色の肌を持つ黒髪の少女が、慌てた様子で駆け出してきた。
少女の名はレイリー、同じくシュルッツからやってきたシルヴァンの踊り子だ。
ちなみにシルヴァンとは、エルフの亜種である。
「レイリー、そんなに慌ててどうしたんですか?」
「プリンプタウンに無いはずのものがあるのだ!」
「ああ、それはもう異世界のものしかありませんね」
プリンプタウンは次元の境目が曖昧なので、頻繁に異世界から何かが迷い込んでいる。
すっかり慣れているのか、アリアは冷静だった。
だが、レイリーは落ち着く事はなかった。
「違うのだ! その世界は、箱の世界なのだ!」
この世界と混ざった世界の名前を叫ぶレイリー。
箱の世界……別名テトリス世界と呼ばれるそこは、
以前にこの世界と混ざった事があるが、異変解決後はもう混ざらなくなっている。
……その、はずだったのだ。
「おかしいですね。もうあの異変は起こらないはず。……この世界がまた歪んだんでしょうか?」
「多分……。アリア! ジルヴァを探して、この異変を解決するのだ!」
「分かりました、レイリー」
そう言って、アリアとレイリーはジルヴァを探しに向かった。
その頃、ジルヴァは……。
「ぷよぷよ~~~~~!!」
「くそっ、うじゃうじゃと……!」
たくさんの凶暴化したぷよに囲まれていた。
遠距離から矢を放って無力化しているものの、ジルヴァは物理攻撃はあまり得意ではない。
ちなみに、色は全員三色ずつなので、オワニモの効果で消滅はしない。
「うおっ!」
ぷよが体液をジルヴァにかけると、それに釣られてたくさんの魔物がやってくる。
魔物はジルヴァを食おうとしていた。
ジルヴァは弓矢で魔物を撃退しているものの、体液を被っているためきりがない。
このまま魔物に殺されると思った、その時。
「エアトルネード!」
アリアはエアを召喚し、ジルヴァを囲んでいたぷよを一掃する。
真剣な表情で杖を構えている少女と、
小剣を構えている少女の姿を見たジルヴァの瞳に希望の光が宿る。
「アリアに、レイリー!」
「わたし達が来たからには、もう安心なのだ!」
笑顔でジルヴァを助けに来たと宣言するレイリー。
一方で、アリアは冷静に呪文を詠唱している。
「ミスティレイン!」
アリアが魔法名を言って杖を天に向けると、雨が降ってきてぷよの身体が溶け、
ジルヴァにかかった体液も落ち、彼を狙っていた魔物も水に流された。
水の精霊ミスティを召喚したのだ。
「これで大丈夫か……」
「今のうちに逃げましょう!」
「ああ!」
アリア、レイリー、ジルヴァは大急ぎで逃げ、安全なふれあい広場へと向かっていった。
だが、そこで見たものは衝撃の光景だった。
なんと、アルカディアにないはずの、様々な色合いのブロックがあったのだ。
「これは箱の世界にある【テトリミノ】ですか?」
アリアがブロックを分析すると、箱の世界のものである事が判明した。
「何故、プリンプタウンにこんなものがある」
「分からないのだ。でも、わたしはこれを異変だと思っているのだ」
「そうですね……」
顎に手を当てるアリア。
もうあの世界とは混ざらなくなったはずなのに。
ジルヴァは、真剣な表情をしている。
「……分かっているな、アリア」
「ええ。……異変を解決するんでしょう?」
「当然だ、俺達冒険者がする事はただ一つ。この世界で起きた異変を解決する事だ」
アリアは杖、レイリーは小剣、ジルヴァは弓を握り締めている。
冒険者としての彼らの血が騒いでいるのだ。
「さあ、異変を解決しに行きましょう!」
「いっぱい踊るのだー!」
「……まずはプリンプタウンの調査からだな」
今、アルカディアと箱の世界が、再び混ざろうとしていた。
シュルッツの冒険者はそれに気づき、解決するために動こうとしている――
ストーリーがあるぷよぷよで、りんごメインなのに辟易したので、
りんご達が異変解決に回っている間、プリンプタウンでは何が起こっていたのかを書きました。
要するにプリンプも大事にしろという意味です。