ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
今回は、ちょい役ですけどね。
レイリー、りんご、レムレス、ティは、異変の元凶であるマールを追うため、
すけとうだらに見送られてナーエの森を探索していた。
「うーん……」
「どうしたのだ、りんご。何か気になるのだ?」
顎に手を当てているりんごに、レイリーが声をかける。
「気になってる事があるというより、気にならないところを探す方が難しいのですが」
「それもそうなのだ」
「おれもそうだしな」
「ピーピピピ!」
ナーエの森はそこそこ広く、迷う事がある。
そのため、一行は探索が得意なレイリーを先頭に、迷わずにナーエの森を進んでいるのだ。
「大体の事は少女を追いかけて本人の口から聞くとして、なんでティと私なのかなぁ」
「きみとおれ?」
「言われてみれば、そうなのだ」
マールはりんごとティを執拗に狙っている。
事の始まりがこの二人だったので、エックスも分かっていて引き立てただろう。
「マールは一体どこにいるんだろうか」
「う~む……」
こうして四人がナーエの森を探索していると、
何故か身体を引き摺っている褐色の肌の人物が現れた。
ナーエの森に住み着いた料理人、ゴゴットだ。
「あ、あの子、強かった、ネ……」
ゴゴットは四人の前に現れるとばたんきゅ~した。
「あのー、この人は一体誰ですか?」
りんごはゴゴットを指差して言った。
「ばたんきゅ~してるのにそれは失礼なのだ」
「あ~、え~っと、ちょっと待っててね」
レムレスはゴゴットを担いで安全な場所に移動させ、回復魔法を唱えた。
ゴゴットは意識を取り戻して、四人に事情を話す。
「……それで、小屋に帰ろうと思ったら、
いきなり角と尻尾が生えた女の子に『勝負しろ』って言われて無理矢理勝負させられたネ。
逃げようとしたけど追いつかれて、ボコボコにされちゃったネ。
でも、キミ達のおかげで助かったネ、ありがとネ」
「どういたしまして」
レムレスは助けたゴゴットにお礼を言う。
「角と尻尾が生えた女の子か」
「この森に住んでるって話ですけど」
「うん、これからキミ達はどうするネ?」
「もちろん、その子を追いかけるよ。マールが見つかる可能性もあるしね」
レムレスはゴゴットに目的を話した。
りんごやティと共に少女を追いかければ、自然にマールが見つかるだろうと推測した。
「おお、それはありがたいネ!
それじゃあ、いってらっしゃ……おっと、その前にこれを飲むといいネ」
事情を聴いて放っておけなくなったゴゴットは、ズボンのポケットに手を突っ込んで中を漁り、
何かを発見するとそれをりんごに手渡した。
フラスコの中には、怪しい液体が入っていて、それを見たりんごの顔が青ざめる。
「これ、どう見ても毒薬じゃないですか」
「全然怪しくないヨ?
ドクダミ、センブリ、アシタバ、毒を抜いたトリカブトで作った薬だヨ?」
「そ、そんな薬なんて飲みたくありません!!」
「あ~~~れ~~~」
りんごはフラスコに入った薬をゴゴット目掛けてぶん投げた。
薬はゴゴットの顔にぶちまけられ、ゴゴットは森の外へ吹っ飛ばされた。
「……りんご、いくらそういうのが嫌だからって、そうする事はないと思うのだ」
「そうですか?」
レイリーはゴゴットが吹っ飛んだ方向を見た後、りんごにそう突っ込んだ。
「うわっ、魔物が来ました!」
「アイソレーション!」
マールを探している途中、ぷよやコウモリギャルといった魔物が襲ってくるが、
レイリーが小剣で追い払う。
ティは魔物の気配を感じ取ると、「そこか!」と言って円月輪を投げつける。
すると、ばたんきゅ~したゴブリンが現れた。
「凄い……ティ、こんな魔物の気配に気づくなんて」
「今は警戒する必要があるからな」
「ピーピピピッ」
「……はい」
魔物が凶暴化しているのは、事実らしい。
りんごは気を抜かずにティ達と離れずに行動した。
自分は戦いに慣れていないため、こういう時はティ達が頼もしく見えた。
「がおーーーっ!!」
魔物を退けながら四人が歩いていくと、緑のショートヘアに金色の瞳の、
頭に角、背に翼、尻に尾が生えた少女が立ち塞がっていた。
半人半竜の少女、ドラコケンタウロスである。
ゴゴットを無理矢理勝負に付き合わせていた少女と全く同じ特徴を持っていた。
「うわっ、なんだ!?」
「今日という今日こそ、決着をつけるわよ!」
ドラコはティの話も聞かず、何かの決着をつけようとしていた。
「な、何の話なのだ?」
「このドラコケンタウロスこそ、最強の美少女だって証明するぞ! アルル!」
「……ここにアルルはいないのだ」
「がっびーーーん!
さっき、ぷよ勝負してそうな音がしたから、アルルだと思って駆けつけてきたのに!」
ドラコはレイリーをりんごと勘違いしたため、ショックを受けてしまった。
「それじゃあ、これで……」
「がうーっ! 待てーーーっ!」
りんご達が立ち去ろうとすると、ドラコはりんごの腕を掴んだ。
「な、何するんですか!?」
「あの巨人だけじゃ満足できない! この際、もう誰でもいいぞ!
あたしはぷよ勝負したくてしたくてたまらないんだ!」
そう言っているドラコは、不穏なオーラを纏っていた。
ゴゴットの情報通り、彼女もマールの影響を受けているようだ。
周りには暴走している魔物もいる。
「これは……」
「ああ、そうみたいだね。ゴゴットの言う通り、影響されている」
「そういう事なら見過ごせません。彼女を大人しくさせましょう!」
レイリーは小剣、レムレスは杖、ティは円月輪を構え、りんごもゆっくり本を構える。
暴走しているドラコケンタウロスと、彼女を取り巻く魔物との戦いが始まった。
「アイソレーション!」
レイリーは小剣でゴブリンに斬りかかる。
大した手ごたえではなかったが、ゴブリンの急所を狙ったためそこそこのダメージを与えた。
「せいっ!」
ティは円月輪でゴブリンを切り裂き、倒した。
「ファイヤーブレス!」
「何するのだ!」
「ビーッ!」
「うっ」
ドラコは口から炎を吐いてレイリーとオーを焼き、ティに軽い火傷を負わせる。
りんごとレムレスはバリアを張っていたためダメージは受けなかった。
「リソレ!」
レムレスは杖から火炎弾を放ち、ゴブリンを焼く。
ホブゴブリンはレムレスとレイリーを棍棒で殴る。
「これくらいの痛み……」
レイリーは痛みに耐え、小剣を構え直し、ホブゴブリンに斬りかかる。
だが、ホブゴブリンにはかわされてしまう。
「ビッ!」
「コサイン!」
ゴブリンが石をオーに投げつけて攻撃するが、直後にりんごが電撃を放ってゴブリンを倒した。
「ホールド!」
「ピピピッピ!」
ティが光でホブゴブリンを動けなくした隙に、オーが強力な電撃をトロールに放つ。
「おお、ティもオーもいい連携なのだ」
「隙あり!」
レイリーが連携に拍手していると、ドラコがレイリー目掛けて拳を振り下ろす。
「危ないっ!」
「ひょいっ!」
だが、ティがレイリーに警告したため、レイリーは飛び上がって攻撃をかわした。
ドラコが歯を食いしばっている間に、レムレスが呪文を詠唱する。
「シュ・シュ・シュクレフィレ!!」
レムレスの杖から無数の光弾が放たれる。
光弾は魔物達に全弾命中し、まともに食らった魔物達はばたんきゅ~し、
ドラコの体力も大きく減らす。
「うおーーーーーっ!!」
「サイン!」
諦めずに襲ってくるドラコに対し、りんごは電撃を放って一瞬だけ動きを止める。
「バーニングブレス!」
「ピピーッ! ピピー……」
ドラコの口から、強力な炎がりんご達を襲う。
オーはばたんきゅ~し、ティの顔も苦痛に歪む。
「こんなに熱い炎は初めてだな」
「でも、この攻撃を出したって事は、ドラコの体力も残り僅かって事だよ」
レムレスの言う通り、ドラコは息を切らしている。
防御せずに攻撃を受け続けた結果だろう。
「ドラコスペシャル!」
拳と脚がレイリーに襲い掛かってくる。
だが、疲労のせいで、切れが鈍っていた。
「バタフライ!」
「ネオスペル、タ・タンジェント!!」
「お手紙ちょーだい! ほえほえ~……」
そして、レイリーがドラコを斬りつけた後、とどめにりんごが強力な電撃を放って倒した。
「しばらく大人しくしてもらうよ。手荒な真似はしたくないからね」
レムレスは魔法で光の縄を作りドラコを拘束した。
「さあ、気分はいかがですか?」
「ん? そ、そういえば、なんか、心が軽くなった気がするぞ」
「それは何よりです!」
ドラコを正気に戻し、喜ぶりんご。
レイリーも笑みを浮かべ、オーは「ピッピピ~」と喜んでいる。
「質問だけど、マールって子を見かけなかったのだ? マールは、不気味な女の子なのだ」
「それなら、もっと奥の方へ行ったと思うよ」
「ご協力どうもありがとうございます!」
ドラコから情報を手に入れたりんご達は、ナーエの森の奥へ急ぐ事にした。
その間に、レムレスは顎に手を当てて考え事をしていた。
(あの子は時間稼ぎをしているみたいだね。
こうしている間にも、計画を進めているかもしれない。
でも、あの子を見つけるためには、森の奥に行かなきゃいけない……)
「どうしたんですか、レムレス?」
「ううん、何でもないよ」
レムレスは胡散臭いけどちょっとだけ頼りになる人物、を目指しました。
次回は問題児が登場します。