ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
ですが今回出てくるのは、彼です。
レイリー、りんご、ティ、レムレスの四人はナーエの森の奥へ進んでいく。
異変の元凶・マールを倒し、アルカディアと箱の世界を元に戻すためだ。
襲ってくる魔物は、レイリーとティが退けていた。
ある程度奥まで辿り着いたところで、ティが呟く。
「さて……いるのかな?」
「ピピーピピ?」
ティとオーはマールがどこにいるか辺りを見渡す。
レイリーも、額に手を当ててマールを探していた。
すると……。
「わーわー! おっそいよー、りんごちゃん!」
不定形で、頭に?を付けた謎の人物が現れた。
様々な異世界を旅する時空の旅人、エコロだ。
「ぅ、エコロ!?」
りんごは他人の名前を覚える事が苦手だが、何故かエコロの名前だけは覚えていた。
「なぁ、りんご、あれは知り合いなのだ?」
「う……うん。彼? あれ……の名前はエコロ。生業は、時空の旅人らしいよ。
ふざけたふりして結構強いです」
「時空を超える力は厄介なのだ」
レイリーはエコロを危険人物だと察した。
様々な異世界を自由に行き来できる者は、経験上、何をするか分からないからだ。
「それは仲間になってくれたら頼もしいな!」
「ピピピピーピ!」
「そんな奴を仲間にしても碌な事なんてないのだ!」
エコロを仲間にすると言い出したティに、レイリーは強く反対した。
かつて世界をぷよで埋め尽くそうとしたり、サタンと共にトラブルを起こしたりと、
レイリーはエコロに良い印象を抱いていない。
「碌な事なんてない? 実際に連れて行かなきゃ分からないよ」
「でも、何をするのか分からないのだ。危険だからエコロは放っておくのだ!」
「二人とも、喧嘩してる場合じゃないよ」
ティとレイリーがエコロの処遇について言い合う中、レムレスはいたって冷静である。
伊達に彗星の魔導師と呼ばれていないだけあった。
「あの子を追ってくるだろうからここで待ってたんだ~」
「そうだ、エコロ!
時空のバグ子さん……じゃなくてマールって子の場所を知っていますか!?」
どうやら、エコロはりんご達がマールを追いかけると思ってナーエの森で待っていたのだ。
りんごはエコロにマールがどこにいるかを聞いた。
「暴れるだけ暴れてあっさり逃げちゃったよ。もうここにはいないよ~」
「ううっ……」
「僕の思った通りだったね」
マールはまた別の場所に行ってしまったらしい。
レムレスの言う通り、ここに来たのは無駄足だったようだ。
「そうですか……じゃ、失礼します」
りんご達が帰ろうとすると、草むらから音が聞こえてきた。
「ん?」
「誰かいるのか?」
音を聞いたレイリーとレムレスは身構えたが、りんごとティはきょとんとしている。
その音は、こちら側にゆっくりと近付いていく。
しばらくすると、音の主がりんご達の前に姿を現した。
樹木が二足歩行した魔物、エントだ。
「普段は大人しいはずなのに、どうして……!」
「ほらほら、早くしないとみんなやられちゃうよ?」
エコロがりんご達を見て楽しそうに煽っている。
ここで挑発に乗ってもエコロの思う壺だが、
マールの影響を受けているエントを倒さなければ森から出る事はできない。
「や、やるしかありませんね!」
「そうだな!」
「ピピーピー!」
りんごとティも慌てて武器を構え、暴走しているエントを迎え撃った。
「エントは植物だから火に弱いし、斬る攻撃もよく効くよ」
レムレスがエントの弱点をティ達に伝える。
「そうか、ならば……せいっ!」
「オオオッ!」
ティは円月輪をエントに向かって投げる。
攻撃はよく効いており、そこそこのダメージを与えた。
「キャラメリゼ!」
レムレスの杖から火炎弾が放たれ、エントの身体を燃やしていく。
燃え広がる炎は、エントを苦しめた。
「サイン!」
「ピーピピ!」
りんごは手、オーは身体から電撃を放ち、エントを痺れさせる。
すると、エントは森から力を借りて、自分の身体を光で包み、防御力を上げた。
「しまった、硬くなったのだ! うわぁっ!」
エントの固い肌は、レイリーの小剣を軽く弾いた。
「くそっ、おれの攻撃も効かない!」
ティの円月輪による攻撃も、通用しない。
「だけど、弱点は変わらないよ……アロゼ、キャ・キャラメリゼ!」
レムレスは魔力を上げる呪文を唱え、エントに向かって火炎弾を放つ。
炎がエントに命中すると、火柱が発生し、エントを包み込んだ。
効果的な攻撃だったようで、エントの身体のあちこちが灰になる。
「うわっぁ!」
「ピピッ!」
「痛っ!」
エントはあまりの痛さに理性を失い、暴れ回る。
ティ、オー、レムレスはエントの攻撃を食らい、大きく吹き飛ばされる。
「後はわたしがやるしかないのだ! りんご、詠唱を頼むのだ!」
「ええ!」
「クリケット!」
レイリーは小剣を構え、エントに突っ込んで小剣を突き刺す。
りんごはエントを倒すため、呪文を詠唱する。
エントは腕を伸ばしてりんごを攻撃しようとするがレイリーの攻撃に阻まれて通れない。
「とどめです! マ・マ・マグマチュード!!」
りんごはマグマを呼び出して、エントを包んだ。
エントは高温に包まれて灰になり、この森から邪悪な気配は消滅した。
「おめでとう!」
エコロは、エントを撃退したりんご達を見てぱちぱちと拍手する。
正直、彼に良い印象は無いが、だからといって攻撃するわけにはいかない。
「で、マールについて何か知ってるのだ?」
レイリーはエコロに小剣を向ける。
エコロは慌てて「嘘じゃないよ」と言ったため、レイリーは小剣をしまった。
「こほん。そうだ、お礼にいい事を教えてあげる。
えっとね~、今回の事はそこの彗星の人だけじゃなく、
おじさまとか時空の番人とか先生とか魔法使いとか、
もちろん僕もちょっと早めに気付いてて、それぞれ対策をしてたんだよね」
エコロはりんご達に事情を話す。
どうやら、マールによる異変は、サタン、エックス、アコール先生、
そして魔法使いも知っていたようだ。
その中で最も対策が良かったのは、アコール先生だったという。
「ずばり、バグ子……マールの目的は?」
「その事なんだけど……彼女を助けてあげてほしいんだ」
「えっ、マールが被害者ってどういう事なのだ!?」
皆をおかしくさせたはずのマールが、被害者だという事実を知って驚くレイリー。
そんな事をエコロが知っていたなんて、という事も驚きを隠せなかったが……。
「これ以上はみんなが揃った場所で相談しよう。
多分、そろそろみんな集まってくると思うから。僕達も行くよ、りんごちゃん!」
「わ、分かりました」
「ええっと、エコロ?」
「……」
ティはエコロを睨みつけていたが、しばらくして、笑顔でエコロに手を差し伸べた。
「おれはティ、これからよろしく」
「……べーだ」
「ピピピピ、ピピピ?」
急に友好的になったティに対して、エコロはアカンベーをするのだった。
次回はDLCキャラに焦点を当てます。
本編に出てこないキャラにも出番を当てたいのです。