ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
この二人が絡んだら面白いと思ったけどなぁ。
その頃、プリンプタウンから遠く離れた町では、
魔法使いの男性が今日も弟子に魔法を教えていた。
彼の丁寧な教えは、弟子によく届いていた。
「以上で今日の魔法の授業は終了です。皆さん、自分の家にお帰りください」
教え子達は次々と自宅に帰っていく。
みんな話を聞いてくれたようで、魔法使いの男性はニッコリと微笑む。
「さてと……私は、そろそろ情報を他の人に伝えなければなりませんね」
男性はそう言って、どこかに歩いていった。
使い魔のゴーストは、ふよふよと浮きながら、男性の後についていった。
この落ち着いた物腰の男性の名はローザッテ。
五人の弟子に魔法を教えている、ベテランの魔法使いである。
ある剣士が子供の頃に女装をしていたように、魔除けのために女性の名前を使っている。
「別の世界とこの世界が交わるのは結界が薄まった現在ではそれほど珍しくありませんが、
ここまで大規模に繋がるのは初めてですね」
ローザッテが辺りを見渡すと、テトリミノがあちこちに落ちていた。
数はプリンプタウンには及ばないが、異変の影響が出ている事は事実だった。
「さてと、プリンプタウンは……」
ローザッテがプリンプタウンに行こうとすると、オークの群れが襲い掛かってきた。
マールの影響で魔物が凶暴化しており、見る者全てを敵視している。
「魔物ですか……サープルライズ」
だがローザッテは落ち着いて初級呪文を唱え、オークの群れを闇の中に吸い込んだ。
「恐らく彼らも動いている事でしょう。ちょっと急がなければなりませんね」
そう言って、ローザッテはプリンプタウンへ行くための道を進んでいった。
こうして着いた先はピット砂丘。
プリンプタウンと四つの町を繋げる、砂漠と見紛うほど広大な砂丘だ。
ローザッテは辺りを見渡すと、集中して呪文を唱えた。
「レビテーション」
魔法名と共に、ローザッテの身体が宙に浮いた。
彼のように、優秀な魔法使いは箒や杖など棒状の発動体がなくても浮遊魔法を使う事ができる。
しかも浮遊中は速度も上がるというおまけつきだ。
「プリンプタウンは、こっちでしたね」
ローザッテは使い魔の導きに従って、プリンプタウンへ向かっていく。
魔物と出会う事なく、順調に進む事ができた。
そして数分後、無事にローザッテはプリンプタウンに辿り着いた。
「ここがプリンプタウンですか」
ローザッテはまず、辺りを見渡す。
テトリミノが散らばっているが魔物の気配はない。
「アコール先生、待っててくださいね」
ローザッテは情報をアコール先生に届けるため、プリンプ魔導学校へ向かった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
『校内に魔物が現れるとは予想外だったニャー』
その頃、プリンプ魔導学校では、アコール先生が魔物を撃退していた。
ここで強力な魔法を無闇に使っては校内が崩壊する可能性がある。
だから、アコール先生は大規模な魔法を控え、下位光魔法で応戦しているが、
数は多く流石のアコール先生も苦戦していた。
「結界を抜けて入るとは、いい度胸ですね」
アコール先生は魔物に黒い笑みを浮かべていた。
大事な学校を荒らされる事は、アコール先生にとって許せない事だからだ。
(こうなった時のアコールは、怖いニャ……)
流石のポポイも、今のアコール先生には恐怖せずにはいられなかった。
それほどまでに、怒った時の彼女は恐ろしいのだ。
「きゃっ!」
『アコール、危ニャい!』
その時、アコール先生に虎の姿をした魔物が襲ってくる。
ポポイは咄嗟にアコール先生を庇い、爪で魔物を切り裂いて倒した。
『お前に投げられるだけの我輩じゃニャいニャ!』
「まぁ、ポポイったら、ありがとう」
アコール先生はポポイを優しく抱きしめる。
その時、こちら側に足音が近づいてきた。
「誰です!?」
巨大な魔物が来たのかと思い、アコール先生は飛翔の杖を構えた。
すると、星がついた帽子を被りマントを羽織ったいかにも魔法使いといった男性が現れた。
「貴方は誰ですか?」
アコール先生は彼に見覚えがないようで、飛翔の杖を構えたまま動かない。
すると、男性はにこりと微笑んでこう言った。
「緊張しないでください。私はあなたを助けに来たのですよ。……私は、ローザッテです」
「ローザッテさん……分かりました」
アコール先生はローザッテに敵意がない事を感じると、彼の協力を受け入れた。
「サープルライズ!」
「アレ・クロア!」
アコール先生は光の魔法、ローザッテは闇の魔法を使い、魔物を倒していく。
ローザッテの使い魔とポポイも、二人が倒し損ねた魔物を仕留めていた。
「初対面ですが、あなたの魔法は素晴らしいです」
「ローザッテさんも流石ですよ」
初対面であるにも関わらず、アコール先生とローザッテはお互いに魔法を褒め合っている。
教える者同士、気が合っているのだろう。
「ぐっ……!」
そうしていると、ブラックスパイダーがローザッテの腕に噛みついた。
彼の顔が見る見るうちに青くなっていく。
「大丈夫ですか、ローザッテさん!」
「どうやら毒を浴びたみたいです……うぅっ……」
毒に侵されたローザッテは、どんどん体力が減っていく。
アコール先生はローザッテに解毒魔法を使おうとしたが魔物が襲ってきて呪文を唱えられない。
ローザッテは毒で戦闘不能になろうとする。
魔物も二人に襲い掛かってくる。
「エプルーブ!」
アコール先生は杖を振って光の波動を飛ばし、魔物の群れを弾き飛ばして遠ざけた。
その隙にアコール先生はピュリファを唱え、ローザッテの毒を治した。
「はぁはぁ、ありがとうございました」
「とはいえ、きりがありませんね」
「恐らく、魔物の親玉がいるのでしょう。そいつを倒すのが必要ですね」
「ええ。行きますよ、ローザッテさん!」
「はい!」
そう言って、アコール先生とローザッテは魔物の親玉を探しに向かった。
(アコール先生に情報を教えたいですが、今はそれどころじゃない。
早めに親玉を倒しに行かなければ……!)
次回も魔導学校編ですよ。