ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
隣町も、もっと掘り下げてほしいなぁ。
「ここから不穏なオーラを感じます」
「そうですね……あら?」
二人が向かった先は、二年一組の教室の中だった。
そこでは、虚ろな目をしたフェーリが、クルークに何度もぷよ勝負を仕掛けていた。
彼女の周りには、アコール先生とローザッテが相手していた魔物もいる。
恐らく、彼女が校内に魔物を放った張本人だろう。
「もう一回、しょ・う・ぶ・よ……」
「なんなんだい、今日のキミは!? いい加減しつこすぎるぞ!
ボクはキミとはなるべく関わりたくないんだがね!」
「う、うるさい……! アタシだって……そ・う・よ……」
クルークとフェーリはレムレスを巡って仲が悪い。
避けようとしたクルークだったが、フェーリに見つかってしまったのだ。
「でも……でも……」
「お、おいフェーリ? なっ、ななな泣くんじゃない!」
「泣いてないわよ!」
クルークに泣いていると勘違いされたフェーリは、不穏なオーラを纏いながら去っていった。
「ひえぇ……」
(クルーク君……)
(この様子だと、いきなり入るのはやめた方がよさそうですね)
クルークの様子を見たアコール先生とローザッテは一歩引いて、落ち着くのを見守った。
教える者らしい、賢明な判断である。
すると、クルークの周りを不穏なオーラが取り囲んだ。
「あの女の子と勝負してから何かおかしいぞ。
フェーリはこんな感じだし、ボクの持っている本もなんだか落ち着かない感じだし、
どうしたら……」
本の魔物は暴走し、フェーリまでも暴走し、クルークは慌てふためいている。
アコール先生とローザッテは、クルークを落ち着かせるべく、ゆっくりと教室の中に入った。
「どうしましたか、クルーク君?」
「アコール先生!」
担任教師が入って来たクルークは、当然、驚いた。
「この辺に、魔物の親玉がいると思いましたが……」
「そうじゃないんだよ! なんだか身体がムズムズしてきて……」
「まずは落ち着いてくださいね」
アコール先生はクルークに向けて満面の笑みを浮かべた。
が、その目が笑っていない事は、誰もが分かっていた。
「……分かりました」
クルークはアコール先生に威圧され、半ば強制的に落ち着いた。
「あっ、クルーク! それと、フェーリ! 後、アコール先生に……この男の人、誰?」
しばらくすると、アミティ、ラフィーナ、シグが教室の中に入ってきた。
アミティはローザッテを知らないため首を傾げる。
「あら、アミティさん、こんにちは」
「私はローザッテと申します」
ローザッテはアミティに微笑みながら名を名乗るがすぐに微笑みを消して真剣な表情になる。
アコール先生も緊張を崩していない様子だ。
「……アコール先生、これはどういう事なの?」
「校内に魔物が侵入したので、私とローザッテさんで退治したところです」
『大変だったニャー』
「えっ、そんな! よくここまで来れましたわね」
「そーか」
良く知らないローザッテはともかく、アコール先生も苦戦した様子が伺え、
流石のラフィーナも驚きも隠せない。
シグは相変わらず、ぼーっとしている。
「それでアコール先生、どうすれば魔物はいなくなるの?」
「簡単な事です、親玉を倒すのですよ。しかし、親玉は一体どこにいるのでしょうか」
「う~ん……」
アミティが、親玉がどこにいるかを考えていた時。
「何を……ゴチャゴチャ……言ってるの……」
フェーリが魔物を従えてアミティ達に近付いた。
「い・い・か・ら、勝負なさい……!」
フェーリは不穏なオーラを纏っている。
恐らく、彼女を倒せばプリンプ魔導学校から魔物は退散するだろう。
「……フェーリさん、先程の私と一緒だわ。胸がとても苦しいのよ……」
「そんなの、ほっとけないよっ!」
「うん」
隣町の魔導学校の生徒であっても、アミティはフェーリを放っておけなかった。
ローザッテも「当然です」と言って頷く。
「皆さんはフェーリさんを元に戻してください。私とローザッテさんは魔物を相手にします」
「うん、分かったよ、アコール先生、ローザッテ!」
「やーるぞー」
友達を助けるために、シグがやる気を出す。
これは普段、虫にしか興味を持たないシグでは考えられない事だ。
「何だか分かりませんが、シグがやる気を出している!?
これは私もやるしかありませんわね!」
ラフィーナも、アミティとシグに感化されて共に戦ってくれるようだ。
隣のクラスでありながらも、アコール先生はラフィーナの様子を見てニコニコと微笑んでいた。
(本当に、ここの子供達は健全ですね……)
ローザッテもアミティ達を高く評価している。
自分の教え子と重ね合わせているかのように。
「よく分からないけど……誰が来たって、た・の・し・く……叩き潰すワ……!」
「みんな、いくよ!!」
「さあ、来なさい……!」
フェーリはそう言って、魔物の群れを呼び出した。
お世辞にも頭が良いとは言えないフェーリだが、マールの力の影響で魔力が高まっている。
こちら側にはアコール先生とローザッテがいるが、決して油断してはならない。
「うっ、身体が重いですわ!」
「……?」
メデューサと彼女の頭の蛇は瞳を光らせる。
ラフィーナとポポイは身体が重くなり、シグも気付いていないが足が少しだけ石になっていた。
「ブリザード!」
「う……やるわね」
アミティは両手から吹雪を放ち、魔物やフェーリを凍らせる。
特にメデューサには大きなダメージを与えられた。
「行きなさい……」
「きゃっ!」
「おっと……」
フェーリに命じられたヘルハウンドがローザッテとアコール先生に噛みつく。
この二人はフェーリにとって厄介だったため、先に仕留めようと思ったのだ。
「アレ・クロア」
だがアコール先生はそれを見切っていた。
アコール先生は杖から光の刃を放ち、ヘルハウンドを撃退した。
「エクスプロード!」
「アプライ」
さらに、ローザッテがランタンから光を放ち、魔物の群れにぶつけて大爆発を起こす。
フェーリはダウジングロッドを回し、魔力の盾を生み出して攻撃を防ぐが、
他の魔物は吹き飛び、ヘルハウンドは倒れた。
「くたばりなさい、フー・ダルティ!」
「セルリアン」
ラフィーナが炎を纏った気弾をぶつけ、メデューサを吹き飛ばした後、
シグが青い光を飛ばし、とどめを刺した。
そのおかげでメデューサの石化の瞳は解除され、ラフィーナ達は自由に動けるようになった。
「いっけー、サイクロワール!」
アミティの風の刃がヘルハウンドを切り刻む。
「コンジャンクション」
「あらっ」
フェーリがダウジングロッドを振り下ろすと、二つの星が交差してアコール先生にぶつかる。
アコール先生はすぐに回復魔法を唱えて傷を癒す。
「ジェネラススピリア」
「コンジャンクション」
ローザッテと使い魔が協力して光を放ち、フェーリが二つの星を交差させてぶつける。
魔法は互いにぶつかり合うが、ローザッテの方が威力が高かった。
「後は私がやりますわ! シグ、いきますわよ!」
「やーるぞー」
ラフィーナとシグは協力技の発動に入る。
シグの両手から赤と青の光が現れ、ラフィーナの全身を取り囲む。
「「ファイアーンス・アーク!!」」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラフィーナが全身から光を放ち、フェーリにぶつけると大爆発が起きる。
爆発に巻き込まれたフェーリは大ダメージを受け、吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。
そして、身体から黒い煙が抜け出た後、意識を失い、ばたんきゅ~した。
「「ヒーリング!」」
ローザッテとアコール先生は、ばたんきゅ~したフェーリに回復魔法を唱える。
しばらくして、フェーリは意識を取り戻した。
「はーっ……はーっ……な、治った……!?」
今のフェーリからは不穏なオーラが出ていない。
魔物の気配も、校内から消え去った。
「……くっ、レムレス先輩に気を付けるように言われていた……のに、く・つ・じょ・く……よ」
フェーリはアミティ達に助けられた事で、悔しそうな顔をする。
「それはそれは……ご苦労様です」
「レムレスに!? じゃあ、レムレスは知っていたのか!」
フェーリを労うローザッテと、レムレスが知っていた事に驚くクルーク。
「ト・ウ・ゼ・ン……先輩が知らない事なんてないワ……」
「あら、それは私も知っていましたよ」
「私もです」
もちろん、アコール先生とローザッテもこの異変の詳細を知っていたようだ。
こういう時に、大人達はとても頼りになる。
「じゃ、じゃあ、怪しい女の子の事も?」
「……そこまでは」
「マールさんの事ですか? 今は落ち着いているので結界を張ってから詳細を話しますよ」
そう言って、アコール先生はまず、認識阻害結界を教室に張った。
そして、アコール先生とローザッテが情報交換をすると、アミティは非常に驚いた。
「えええっ!? マールとあの人ってそういう関係だったの!?」
「静かにしてください。とにかく、マールさんは被害者だったんですよ。
皆さん、マールさんを止めるためにもまずは一旦ここを出ましょう」
「ああ、レムレスのところに行こう」
アミティ達は一旦プリンプ魔導学校を出て、レムレスのところに向かうのであった。
ぶっちゃけて言うと、今のぷよぷよ公式に足りないのは、
伏線を回収するやる気としか言いようがありませんね。
次回はアリアとジルヴァのターンです。